117話・感染デビュー!ゴーレムくん☆
そして…
ゴーレムの視線の先には、アントスがいた。
真っ向から、ゴーレムの姿を見たとき…
アントスの背筋がゾッとする。
その岩石の体から、ジュルジュル…と。
感染の証である、緑の液体が、流れていたから。
コイツ!感染している?!
緑の液体を見て、このゴーレムが「感染ゴーレム」であると確信。
説得の通じないのは、明らかだった…
感染ゴーレムは、次の獲物を見つけると。
その巨大な拳で、暴君の如く、地面を殴りつけた。
山積みになっていた、十字架の模型が、ドッと空中に舞い上がる。
十字架だらけの床から、更なる脅威が顔を出す。
その脅威は、感染オークたちで…
一体、五体、十体…と更に数を増してゆく。
迫りくる、感染オークたち。
そして、目の前には、山のような感染ゴーレム。
ゴーレムの殺意とオークの殺意。
両方の脅威が、ただの男に集結していく。
この様子だと…
巨大スライムの時みたいに「仲間割れ」はしないだろう。
そして、左脚の傷から血が流れ。
大量の失血により、左脚が痙攣する…とても逃げられそうにない。
そんな容態など、敵(感染者)は待ったなし。
きっと瞬く間に、哀れなウサギ(アントス)は、ペシャンコにされるだろう。
だとしても、アントスは、必死の抵抗を試みた。
冷や汗だらけの手で、風のメイスを握る。
何の根拠も、勝機もない、ただの愚行。
それでも、決して諦めはせず、迫りくる脅威と対峙した。
だが、放たれた…ゴーレムの一撃は、予測の範囲を越えており。
一般人のアントスでは、反応する暇すらなかった。
隕石のような拳が、スローモーションで迫ってくる。
あ…まずい。
そう思った瞬間、彼の数センチ手前に、ゴーレムの拳があって。
スローモーションの視界のなか、ハッキリとした「死」を垣間見た。