114話・巨大スライムが現れた?!
アントスの怒りが燃え上がり。
その敵意を感知する、感染スライム集団。
だが、敵(感染スライム)の方は、直ぐには襲いかかってこない。
一匹、また一匹と、一か所に集結してゆく。
瞬く間に、大量の感染スライムが集結。
そして…
粘土をコネ合わせるように、スライムたちが合体し始めた。
まさか?!
そのまさか…感染スライムたちが「融合」して。
一つの完全体、「巨大」感染スライムに変貌したのである。
スライムにも関わらず、敵はかなりのスケール。
超重量級のスライムが、米粒のようなアントスを見下ろす。
立ち塞がる、緑の壁…
それでもアントスは、風のメイスを握り絞めた。
そして遂に、巨大スライムが、攻撃態勢に移った。
醜い液状の体を、歪ませながら、アントスに迫りくる。
だが、巨大な脅威をまえに、アントスは一歩も退かなかった。
「おおおおおおおおおおお!」
力一杯叫びながら、巨大な相手に挑む。
だが、次の瞬間…
床全体から「バギィ!」という、悲鳴を揚がった。
足元が崩れて、視界が一気に反転してしまう。
その衝撃により、アントスと巨大スライムは…木の瓦礫と共に、真っ逆さまに落ちていった。
そう…
保管庫の床は、腐敗して痛んでいる為。
巨大化したスライムの重さに、耐えられなかったのだ。
崩落の衝撃によって、保管庫の天井が揺れる。
その上、道具が散乱して、辺りが滅茶苦茶になった。
瓦礫の音が隅々まで響き、レ二ズとワイズに緊張が走った。
崩落した場所は、レ二ズの位置から離れており。
こっち(レ二ズの方)にいた、感染スライムたちが…衝撃音の方角へ集結してゆく。
この隙に、レ二ズは扉に近づくと、ドアノブを乱暴にひねった。
扉は、素直に開いてくれて、薄暗い廊下が広がった。
廊下の先に、敵の気配は感じられない。
レ二ズは無言のまま、ガッツポーズをすると。
まだ、保管所に残っている、アントスとワイズに呼びかけた。
「おぅし、クリアだ!おまえら!そっちはどうだ?!」
感染スライムたちの意識が、逸れている今こそチャンス。
しかし、ワイズが遠くから、問題を叫んだ。
「ダメだ!できないっアントスが落っこちた!!」
「はあァ?!」
最悪な返事に、レ二ズが間抜けな声を上げた。