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105話・崖っぷちの作戦会議

三章の後編にて。

シュタハスが、水の巨人にさらわれました。

今回の作戦会議は、彼女の救出が、目的となっております。


 作戦会議と言っても…


モンスターたちの殆どが、立ち去っていた。


多くの者たち(モンスター)が、目的を見出し、自らの居場所へと旅立っていく。

そう、もう彼らに、黄金のシュタハスは、必要ないのだろう。


 残されたのは、レ二ズ、ワイズ、アントス。

そして、二体のゴブリン兵と、重傷のフラムのみ。


ガランとした荒れ地に、虚しい風が流れてゆく。

あまりの静けさゆえに、先程の戦いが、幻想のようにさえ感じられる。




 夜空の星々の下、レ二ズの声が、淡々と続いていた。

彼(レ二ズ)の説明が始まって、数時間…

アントスとワイズも、考えられるだけの案をだした。


 その傍らでは、フラムが回復に専念しており。

二体のゴブリン兵が、治療の手伝いをしている。


 レ二ズの情報はどれも、悪い内容ばかりで。

一つは良い情報、もう一つは悪い情報…とか言う、お約束は一切なし。


すべてが最悪で、絶望的な状況であった。


 まず「水の巨人」の目的地。

レ二ズの推測によると、方角から見て「研究所」で間違いない。


 そして…研究所こそ、このパンデミックの元凶。

Pウイルス(プランターウイルス)の根源なのである。


ゆえに、研究所の有様は、地獄の底の底…

その悪夢は凄まじく、誰にも想像できない。


 そして、一番最悪なのは、高濃度のPウイルスが、研究所の周りを包囲している事だ。


このPウイルスは「霧」に変化しており…

ハッキリと直視できる位、濃度が高い。

実際、この霧に触れて、感染したモンスターは数知れない。


 次々と出てくる悪い情報、それでもアントスは、できる限り考えた。

「研究所に通じる、地下とかは?詳しいんだろ?」


「いいや、俺の情報は、聞いたモノが殆どだ。あそこにゃ、近づいた事もねぇ」


「だが、逆に言えば…」


「『俺』が見た、情報じゃないからな…ご都合よく、ズレがあるかもしれねえ」


 つまり、レ二ズは、自分の情報が、間違っている「かもしれない」から。

一か八か…研究所へ進行しようと、言いたいのだろう。


どのみち、三人で、出来ることなど限られている。

ここで、賭け(ギャンブル)に踏み込むのも、一つの選択肢かもしれない。


 だが、フラムが咳き込みながら、現実を告げた。


「いや、霧の情報は、間違いない」


弱々しい声で、霧の証拠を裏付ける。


「グラスが見たんだ…その霧を、研究所でな」


 その真実に、レ二ズは苛立ちながら、言い返した。


「なら、どうしろってんだ!」


 確かに、感染者ならまだしも。

感染の根源…Pウイルスそのものが、行く手を拒むのだ。

研究所に侵入する事は、もはや不可能だろう。


どうしようもない現実に、ワイズとレ二ズの表情が陰る。



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