103話・傷痕の後始末
第五章からは、時間軸が戻ります。
つまり、第三章の77話から、続く展開となっています。
広大な夜空にて、星々のイルミネーションが輝き。
レ二ズは、点々と光る夜空を見上げた。
さて、どうしたものか?
森の果て…研究所の方角を見ながら、考えを巡らせる。
色々な作戦を、考えてみたものの。
この壊滅的な状況では、選択肢が少なすぎる。
力尽きたように、寝そべるフラム…
その体は、ズタズタのボロボロ…体中から血が溢れていた。
ゴポ、ゴポ、と吐血しながら。
ひたすら、フラムは「大丈夫だ」と勢い任せに言い続ける。
こうなったのも、水の巨人の仕業であり…
あの巨大な拳に、叩き落とされて、こうして生きている事が奇跡だった。
残ったモンスターたちが、何とかドラゴン(フラム)の応急処置を試みる。
だが、一向に回復する見込みがない。
また、巨大クモのワイズも、フラムの治療に加勢して。
破損した翼に、クモの糸を、包帯のように巻いていた。
そんなワイズの傍らで。
一般人のアントスも、かつての敵を見守っていた。
彼の視線を察すると、ドラゴン(フラム)は、ゆっくりと頭を上げた。
ズタズタになり、見る影すらない…破壊と烈火のドラゴン。
もう、この竜には、ドレッド平原で、遭遇した時の偉大さはない。
「きみ…前に会ったな」
息を荒らしながら、ドラゴン(フラム)は、一般人へ話しかけた。
「ああ…平原で、ね」
不思議と、二人の間に緊張感はなく、すんなりと言葉を交わせた。
尖った眼を緩めせ、フラムが、噛みしめるように呟いた。
「まさか、あの時の『荷物持ち』が、予言の男だったなんて」
その言葉に、アントスは首を傾げた。
「予言?」
すると、レ二ズが横から、口を挟んでくる。
「ソイツぁ、シュタハスの予言だぜ」
そう適当に解説しながら、近くの岩に座ると。
「あのロリっ娘が、ドヤ顔で、ほざいたんだよ」
ほくそ笑みながら、捻くれ者のゴブリンが、代弁する。
「戦士でも、勇者でもない。一般人のオマエが、世界を救う…らしいぜ」
時間軸の解説
一章→「四章」→二章→三章→五章
このように「四章」の時間軸が、少しばかり複雑です。