私が『他人を信用できない』事
私は以前はもっと楽観的だった。
『何とかなる』そんな風に常に思っていたし、周りにも言っていた。
だが、歳を重ねて社会や状況が理解できるようになるにつれ『何とかなる』などと思えなくなった。
肉体の老いと共に『心の若さも失った』と感じた。
これは、私が独身で子供もいないからかもしれない。
おそらく、現在の私には『自分を支える何か』が欠如しているのだろう。
他人にとって、それは『恋人』だったり『家族』だったり『友人』だったりするのだろう。
私には『それ』が無い。
私は幼い頃、確か3、4歳ぐらいの時に祖母の不倫を目撃している。
それは特定の人物で、何度もあった。
何故、目撃したかと言えば『私もその場に居た』からだ。
私の両親は共働きで、祖父も仕事で長期に不在の事が多かった。
私の祖父母も両親も若くに結婚、出産したので当時の祖母も40代くらいだった。
おそらくではあるが、遊びにも行けず私の面倒を見るのが退屈だったのだろう。
とはいえ、私を置いて出るのに気が引けたか『どうせ見ても分からない』と思ったのか。
祖母は不倫相手と会う時には私を連れて行ったのだ。
私も祖母の不倫相手は『近所のおじさん』程度には見知っていた。
毎回、おじさんはオマケ付きのお菓子(現在で言う『食玩』)を用意して私を小さな和室に連れて行くと『ここで遊んでろ』と言った。
私も『大人の言う事だから』と静かに遊んでいたが、一度その和室の襖を少し開けて隣を覗いた。
隣の部屋で祖母とおじさんは同じ布団に入っていて、幼いながらも『見てはいけない事』に思えてその後は見ないようにしていた。
それが『祖母の不倫』だと理解したのは中学生の頃だった。
それを理解して以降、私は他人を信用できなくなった。