第37話 アリスと腕枕。~3日前②
謎A ※空(この世界。は謎Zに統合)
謎B マジック・カンパニー
謎C アリス・フターチ
謎D ※空(俺。は謎Zに統合)
謎E 人と魔物の違い
謎F 魔力
謎G 鑑定石
謎H ペーパー
謎I 騎士団第6部隊副団長ハルカ・ビート
謎J 魔石教ジェムズ
謎K 世界ギルド
謎L 指名手配犯罪者
謎M 魔帝国ガラハム と フィフス戦争
謎N アルハール冥界砂丘
謎O 魔剣猫(旧名ニャルヴィング)
謎P カンパニーの森
謎Q 桃神樹
謎R 空
謎S 空
謎T 空
謎U 空
謎V 空
謎W 空
謎ワードのメダカ達は、静かにうねうねと縦に並び漂っている。
俺は何度もそのメダカ達を確認する。
シャドウが、謎X……のはず。
という事は、XとYとZが、あの俺に従わないワガママ錦鯉か!
俺は、サッと視界の隅の錦鯉を捕まえようと腕を伸ばすが駄目。
素早く身を翻し、弧を描いて錦鯉は、死角へ逃げていく。
やはり捕まえられないのか?
気になる。
気になる……気になる……気になる!
これはシャドウの仕業か!?
……いや、違う。
この謎、未知数の登録や解析に関しては、俺の思考権限が圧倒的に強い。
そもそも、解析不可能な事が多過ぎて、その対応の為に、俺の思考の作った苦肉の策が、この謎システム。
分からないものは全て未知数として登録し、俺の思考が意識下で、情報を集めながら解析し続けているのだ。
……考えると恐ろしい。
俺のあの思考が、これだけの未知数である謎を、つまりご馳走を与えられて、かなりの間ずっと沈黙しているのだ。
一体、どれだけ解析作業をしている?
その結果として、俺の思考は、1部の謎を統合したり、新たな謎として錦鯉を作り出した、としか考えられないな。
俺が触れる事が叶わないのは、まだ思考中だから、形として纏まってもいない状態だから触るなと言うことか……。
……気になる。
どうにかして触りたい……。
ん?
よく見ると、並んでいる普通のメダカ達も少し成長してる?
大きさが不揃いだ。
登録した覚えのない『桃神樹』は小さい。
『魔力』や勉強中の『ペーパー』は大きい。
……よし。
俺は、『魔力(謎F)』と書かれたメダカに触れてみる。
魔力。謎F。解析率22%。
この世界の全てに存在する未知のエネルギー。魔力を集めることで、不可思議な現象を起こすことが可能。
魔力量は、この世界の全ての優劣を決める(魔力を持たない個体は、現在、松田良介以外確認されていない)。
個体毎に魔力量は測定可能であり、レベル1~10で階級分けされる。
その魔力は、その持ち主へ様々な影響を与える。
精神的な変化、細胞レベルでの変化、巨大化等様々であり、不明。
細胞レベルでの変化として、肉体のパワーアップ、時間劣化の耐性(老化減速)、回復力増大等様々であり、不明。
魔法、魔方陣を描く為の、魔力を操る為の肉体的に必要な組織ついては不明。
………。
俺の脳内に、魔力についての解説が、フラッシュのように瞬く。
疲れた頭に、かなり重い情報量。
しかし……。
やはり、解析率が上がっているのか。
そして初耳な情報もある。
魔力は、その持ち主へ様々な影響を与える?
細胞レベルでの変化として、肉体のパワーアップ、時間劣化の耐性(老化減速)、回復力増大等様々?
という事は、この世界の連中が何故か総じて力持ちだったのは、魔力が細胞レベルで影響してたからか?
老化減速という事は、1000年も生きているお爺ちゃんは、魔力が高いからか?
そうなのか?
しかし、……頷ける。
理論的な事は一切なしの、ファンタジーな未知のエネルギーと諦めてしまえば、だが。
そうか。
魔力が、人の身体に影響を与える、か……。
だとすると、色々と気になる事が……。
俺は、改めてSOMの便利さに感心する。
シャドウの知識や、俺の思考が解析した内容も更新されているようだし、時々はチェックした方が良さそうだ。
であれば、次は『桃神樹(謎Q)』だ。
登録した覚えのない桃神樹(謎Q)。
俺の思考が、新規登録したくなるのは分かるが……。
俺は漂う『桃神樹(謎Q)』に触れる。
『桃神樹。謎Q。解析率8%。マジック・カンパニーに数本しか存在しない貴重な神樹。
この魔木チップから、特徴的なペーパーを作る事が可能、不明。
桃の香りがするが、松田良介にしか感じられない、不明。
第9エリアのバリア3と4の間に、桃神樹が存在している、不明。
1000年に一度、実を1つつける、不明。
その実を食べた者は、欠損部位や病魔から完全回復し、魔力量を増大させ、秘めたる力を得るという伝承がある、不明。
第9エリアにおいては、1000年前、この桃神樹の実に関わるトラブルが発生した、不明。
よって、第9エリアの桃神樹は、トラブル防止の為に、その場所を完全に秘匿し、その実の安全を確保している、不明。……』
……。
俺は、SOMの情報に、空いた口が塞がらない。
驚きである。
なんだ?
今の情報は?
……シャドウの知識、か。
先程の魔力の情報といい、俺の思考……、閉じ込めたシャドウから情報を得ては、SOMBOXというデータベースに蓄積しているらしいが……。
それとも、シャドウが、また恩を売っているのだろうか。
アイツ、今も俺の思考を通して、リアルタイムで状況を知っているはずだ。
故に、俺に情報をわざと流した!?
……こっちの方がしっくり来る、が。
鑑定石やペーパーの情報も、SOMを通じて俺に教えてくれたのもシャドウ。
俺は、右腕の腕時計を見る。
この腕時計の魔法契約……。
閉じ込められたシャドウ。
お爺ちゃんとの約束。
俺は、大きくため息。
契約する気はないし、思考の監獄に閉じ込められたと言っても、また会うことになる予感はある。
それより、今はそれどころではないか。
今は、桃、だ。
予想外な、この新たな情報……桃神樹の実!?
1000年に一度!?
ヤバくないか!?
これを、手に入れたら、今度こそ俺も魔法使いになれるんじゃないのか?
魔力量が増大とか、どんな魔法の実だ!?
工場長代理の異常な対応、何か隠していると思ったが、間違いなく、正に今、その実がついているのだ!
その実を守るために動いているのだと考えれば、全てに合点がいく。
それを手に入れる事が出来れば……。
……いや、まてまて。
俺は興奮しかけた感情を一旦静める。
俺が魔力を手に入れても、魔力を放出する肉体的な構造や組織がない。
……余計なトラブルの種か。
……あくまでも伝承だ。
……強くはなりたいが、明らかすぎる危険な行為だ。
実際は、桃神樹の魔木チップを入手しようと目論んでいるだけでも問題なのだ。
俺が桃の実を食べるなんて、カンパニーの歴史的大事件になりかねない。
即死刑もあり得る。
俺は、そう判断し、桃の実については知らなかった事にする。
そのぐらいの分別はある。
その時だった。
目の前を、錦鯉が横切ったのだ!
とっさだった。
俺は、右手を伸ばすと見せかけて、左手を時間差で動かす。
錦鯉が避けきれずに、俺に尾ひれを捕まれる。
これだけ何度も避けられ続ければ、ある程度の動きの予測は可能!
『運命 謎Z』
は?
運命?
その瞬間、掴んだ錦鯉から、眩しい輝きが溢れる。
視界を覆い尽くす黄金の輝きを、俺は知っていた。
これは、オンリーワンワールド(一人きりのボッチ世界)で見た、思考のきらめき!?
激しい衝撃と焼けるような痛みが、俺の脳を襲う。
そのまま、俺は、意識を失った。




