え?俺捕まんの?
「あ!夏野さん!拓哉さん!おかえりなさい!」
拓哉と夏野は待ち合わせ場所の喫茶店に着き、マナと合流した。
「う、うん。ただいま」
「あれ!?拓哉さん怪我してるじゃないですか!どうかしたんですか?」
「うん、ちょっとね・・・」
拓哉と夏野はマナに先ほどあったことを伝え、小刀を見せた。
「それで、これを持ったら体が勝手に動いたんだけど・・・」
「少し貸していただけますか?」
「うん」
そういい拓哉はマナに小刀を渡した。
「これは・・・少し魔力が宿ってますね」
「ま、魔力?」
急に異世界っぽい単語を聞いた拓哉は少し興奮した。
「はい、この世界には魔力というものは存在しているんです。多分これは『オートスキル』の魔力を持った刀ですね」
「お、オートスキル?」
「はい、刀が自動的に相手に反撃、攻撃をしてくれるものです。
しかし扱いが難しいので魔法を使える人の中でも発動することは難しいのですが・・・」
「へぇ・・・つまり俺は魔力を扱う力があるって事?」
「そうなりますね・・・珍しいです」
「え?珍しいの?」
「はい、一応魔力というものは存在しているのですが、実際にそれを操れる人は少ないのです。」
「だから盗賊は魔法を使わなかったのか・・・すこし興奮してきたな、魔法を使えるって」
「あまり浮かれてばかりいられないわよ」
「え?」
夏野が拓哉に向かって真剣な口調で話しかける。
「そうですね・・・」
マナもすこし困った表情になる
「え?なんか困る事でもあるの?」
「はい・・・魔法を扱える人は数少ないので、あまり世間に馴染みがなくて、恐れられているんです」
「そうなんだ」
「はい、そこで、魔法を資格制にして、無許可に魔法を使った人には罪に問われる事になるんです」
「え?俺使っちゃったよ」
「そこが問題なんですよね」
「どんな罪になるの?」
「そうですね・・・正当防衛とはいえ、人を怪我させてしまったわけですから」
「うん」
「死刑ですかね」
「死刑!?!?!?」
「え?死刑になるの?俺」
「た、多分・・・」
焦る拓哉にマナが焦って励ます。
「あっで、でも!スキルカウンターは一見魔法と判断しにくいものなので、相手が魔法と気づかなければ通報されるとは限りませんよ?」
「そ、そうか・・・」
拓哉はそれを聞いて少しホッとする。
「でも困りましたね・・・これからもバレないとは限りませんし」
「え?もうこんなの捨てたいんだけど!」
そう言って拓哉は汚いものを触るかのように指の先で小刀をつまむ
「それは無理ですよ、一度手にして魔法を使ってしまったら死ぬまで離れませんから」
「・・・マジで?」
拓哉は半泣きで助けを求めるように夏野を見る
「諦めなさい」
「そんなぁ~」
拓哉はその場で跪く
「・・・それじゃあどうするんだよ、これからもしさっき見たいな事があったら・・・」
「簡単ですよ!」
「え?」
「資格を取ればいいんです!」
「えぇ・・・」
拓哉は少し面倒くそうな顔をした。
「面倒くさいなぁ・・・」
「でも!資格取れたらカッコいいですよ!」
「え?そうかなぁ?・・・取っちゃおうかなぁ!」
拓哉はやる気が出たように元気よく言った。・・・チョロい
「でも辛いわよ?少し魔法が使えるくらいでは資格は手に入らないの、確か倍率500倍だったっけ」
しかしそこに夏野が現実を突きつける
「・・・マジで?」
「マジで」
拓哉は顔から笑顔が消えた。
「で、でも!スキルカウンターを使える人はそうそういませんよ!自信持ってください!」
マナは必死に励ます。
「・・・分かった、取るよ!資格!!」
拓哉は宣言した。
「そうですか!」
マナは満足そうに微笑んだ。
「では、明日から特訓ですね!」
「はい?」