幼馴染は異世界転生してました
「え・・・?し、死んだ?」
突如現れた行方不明だった幼馴染で、拓哉の初恋の相手、夏野水希に突然死の宣告を受け、脳がオーバーヒートした。
「そう、死んだのよ。まあ正確には死んで、この世界に転生したって感じね。」
「転・・・生・・・?」
「そう、転生」
「・・・まじで?」
「うん、マジマジ」
「あのハーレムになれるやつ?」
「いや、それは人によるけど・・・」
少しずつ冷静さを取り戻した拓哉は、もう一つあることに気付く
「あれ?じゃあお前は何でいるんだ?まさかお前も・・・」
そう、拓哉が死んで転生したから異世界に来たということは、夏野も死んで転生してきたことになるのだ。
「いえ、私は死んでないわよ、あの日散歩してたらなぜかここに来ちゃっててね」
「・・・ほう」
どうやら死んではいないらしい。いやまあ散歩してたら異世界に行っちゃったとかどうしてそう簡単に異世界に行けるか不満なのだが。
「ほら、だって私は姿変わってないでしょ?」
「え?なにその俺は姿が変わったみたいな言い方。」
「変わってるもの。」
「・・・は?」
拓哉は急いで起き上がり、スマホのインカメラによって自分の姿を確認する。
二人の会話を静かに聞いていた美少女は
「わっなんですかその薄い箱!」
と興味津々だが今はそれどころじゃない。
「嘘だろ・・・?」
元が黒上メガネの根暗系男子だった拓哉は、金髪で瑠璃色の目をした色白系さわやかイケメンになっていたのだ。
「俺イケメエエエエン!!!!!」
拓哉は歓喜のあまり叫んだ
「俺イケメンじゃん!」
「あーそうだねー」
拓哉はキメ顔をしながら夏野に向かってウィンクをする。
しかし夏野はそこまで興味がないっぽい。
「・・・なんだよ夏野、その興味なさそうな顔は、イケメンだろ?」
「うん、まぁイケメンはイケメンなんだけどさぁ、」
「なんだよ」
「この世界にはたくさんいるんだよね、今の拓哉よりイケメンな人が」
「・・・まじ?」
「まじ、拓哉って大体元の世界で顔面偏差値48って言われてるじゃん?」
「まぁそれぐらいかな。」
「でね、生まれ変わっても、偏差値は変わんないんだよ。」
「え?」
「周りの人がすっごいイケメンばっかりだから平均も高くなって、だから平均ちょい下の拓哉でも、
前の世界に比べてはイケメンになってるってこと。だから偏差値は変わんないんだよ。」
「なんかわかりずらいけど、なんとなくわかった。」
知らない方がよかったな、その事実。
そして、少し落ち込んでいると、ふと気になることがあった。
「あれ?でも俺の顔変わってるのになんでお前は俺が拓哉だって知ってるの?」
「あぁ、それはね、マナに教えてもらったの。」
「マナ?」
「そう、あの子」
夏野は、さっきから会話についていけてなくて少し戸惑っている猫耳美少女を指差した。
「あの子が教えてくれたの。」
「誰あの子?」
「私がこの世界に来た時に助けてくれたの。まぁ命の恩人ね。そして今私はここで暮らしているの。」
「へぇ・・・なんでマナは俺の前世を知ってるんだ?」
「なんかマナは魔法使いらしくてね、そういうのがわかるんだって。」
「へぇ・・・」
適当な設定だなぁ・・・
拓哉はマナに恐る恐る声をかける。人見知りとかではなく、絵に描いたような猫耳美少女で、緊張してるのだ。
「ま、マナさん?」
「な、なんですか!?」
マナは耳をピンッと立てて驚いている。人見知りのようだ。
「た、助けていただいてありがとうございます。」
「い、いえ、とっ当然のことをしたまでです。」
自然の両方正座になり、ミネは顔を真っ赤にしている。
「そ、それでですね拓哉さん」
「はっはい、なんでしょう」
「たっ拓哉さんは今日泊まる場所ってありますか?」
「ないですね」
「よかったら、うちでくらしませんか?」
「マジッスカ!?!?!?」