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2話
「俺、童貞じゃないよ」
ざわつく周りと同時に、俺の胸もどくりと鳴った。
「素人童貞だけどね」
また同時に笑い声も響く。安堵を秘めて。
「それってどんなかんじだったの?」
「かわいかった?」
「いくら?」
質問攻めの友人と、質問しかない俺の仲間。
一緒なんだと安心する。
でも俺とは違うんだなとも思う、昨日までと同じように接せない。
「行ってみたいけどさ」
けどさ、で終わる自分と、終わらない友人。
何が違うのか。不安が胸を締め付ける。
帰りの電車の中で、検索キーワードを何度も変える自分がいた。
所謂、デリバリーヘルス、ソープランドなにがいいのかわからない。
でも、捨てられる場所。
金銭的にも、行動も限られる中で何度も検索した。