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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

夏のホラーコンテスト2015の二本目です。

サイレントヒルみたいな感じを出したいとおもって執筆しました。

「フォアをもっと正確に打て!」

「うっす」

「もう大会まで時間はないぞ!」

「うっす、わかってまっす」


一学期の終業式を前に、今日も校内のテニスコートで市内大会に向けた林田高校テニス部の朝練が行われていた。


「おら、ラスト一本!」


テニスのラリーが続き、最後にスマッシュを決める。


「よーし、今日の朝練終わり。一年は後片付けやっとけよ!」


林田高校テニス部一年生の高田修一は、他の一年とコートの後片付けを行い、コートの整備を始めた。


「あー、今日も疲れた~」

「修一は一年の中じゃエースだもんな。そりゃ先輩方も気合入れて鍛えるよ。」

「俺、試合とかどうでもいいからさ、ずっと練習だけしてたいんだよ。」

「そりゃ、無理だろ。数年前に顧問が変わるまでは、うちは名門だったんだし。」

「朝練のせいで全然寝てねーよ。」

「そんなこといいながら、お前も本気で先輩の球打ち込んでたじゃん。」

「まぁ上級生になめられたくねーもん。」

「マジメかよw」


修一は愚痴をこぼしながらコートの後片付けと整備を済ませ、部室に移動して着替えた。

そして他の一年とたわいもない会話をしながら、ちゃっちゃと着替えていく。


「なぁ、週刊少年ショットで一番面白い漫画はなんだと思う?」

「ストライカーじゃね?」

「俺は勿忘草の方が好きだな。」


「あ、今日国語の教科書忘れた。修一のクラスは三限目だろ?貸してくれよ。」

「拓馬のクラスは五限目だったな。いいぞ。」

「わりぃ、サンキュー。」


そして修一は一人で職員室に行き、教室の鍵を借りて教室へ向かう。

暑さの中、蝉の鳴き声が聞こえる。


(もう夏だよなぁ。今年の夏こそは彼女つくって、デートして、キスして、そっからあわよくば・・・)


教室に着き、鍵を開けてドアを開けた。


「ふぁ~あ、今日もまだ俺一人か。HR始まるまで、机で寝とこっと。」


蒸し暑い教室の窓を全て全開にし、熱気を外に逃しながら修一は国語のノートをうちわ代わりにして水筒の水を飲む。

その時睡魔が襲ってきた。

うつらうつらとしながら、今日の昼食は食堂で何を食べるかを考える。

そうこうしているうちに暑さに耐えて机に突っ伏して眠りについた。


少し経ってから、何か異様な気配がして、修一は目を覚ました。

何か教室の様子がおかしい。


天井から青やら紫の臓物のようなものが垂れ下がり、壁も床もピンクのぐにゃぐにゃした何かで覆われ、血管のようなものが脈打っている。

卵が腐ったようなおかしな臭いもしている。


机やイスはそれらの上にあり、教室のドアや窓も形を確認できた。

掃除用具入れのロッカーに、黒板、教卓もある。


とりあえず、気持ちが悪いので修一は教室の外に出ることにした。

床を踏むと「ぶきゅっ」という音がして何かの粘液を噴出した。

まるで自分がいつも一人でエッチなことをしている際に股間から噴出す”例のアレ”のような感じもするが

何か嫌な臭いがした。


廊下に出ても、変わらない。

天井、壁、床がピンクの何かと血管のようなものに覆われている。

修一は窓から外を見てみた。

外は曇っており、グラウンドなどはいつも見慣れたグラウンドだ。

校舎の中だけが明らかにおかしい。

サッカーゴール、奥にはテニスコートも見える。

ただし、人の姿は一つも見えない。


廊下を少し進んでいくと、何か灰色のテーブルのようなものが廊下の奥に三つ見えた。

いや、姿からして犬のようだ。

何かに群がり、動いている。


一匹がこちらに気づき、犬のようなものがこちらに小走りで向かってくる。


「!?」


何かやばい気配がしたので、急いで元の教室に戻り教室のドアを閉めた。

急いで隠れ場所を探す。


(教室の用具入れのロッカーがあった!)


急いでロッカーを開けて中に潜りこんだ。


修一がロッカーのすきまから見ていると、先ほどの犬のようなものが教室のドアをガリガリとひっかき、

そしてドアを開けて中に入ってきた。


犬じゃなかった。

それは、四つんばいになった人間二人を向かい合わせ、二人の上半身を切り落として下半身と下半身だけを鏡に映ったかのように接合したおかしな何かだった。

灰色の姿をしている。

頭部もないのに、それがこちらに向かってくるなんて。

それが歩いているという不思議。

いや、頭部はその生物の中央の側面にあった。顔だけだが。

目、鼻、口、耳もある。


目をきょろきょろさせて、修一を探しているようだ。

口をもぐもぐさせており、口からぽとりと何かよだれと一緒に落とした。


何かぶつぶつとつぶやいているが、何を言っているか聞こえない。


それはしばらく教室の中を探っていた。

しかし、修一の姿を確認できなかったためか、教室のドアから外に出て行った。


それから少したって、修一は用具入れのロッカーから這い出た。

慎重に。

音を立てずに。


(さっき落としたのは何だったんだ?)


修一はさっきの生物が何かを落としたところへ近づき、見に行ってみる。


青白い細長いもの。

端に黒い飾りがついている。


よく見てみると、それは人間の指だった。

黒いのは爪だ。

声が出そうになるが、堪える。


ここは一体どこなのか?

元の世界に帰りたい。


「修一、修一!おい、起きろ!」


ふいに自分の名前を呼ぶ声がして、修一はそこで目が覚めた。

朦朧とする意識の中、ゆっくりと自分の周囲を認識していく。

そこは、いつもの教室だった。

見慣れた顔、クラスメートの橘慎也だ。


安堵した。

まわりにももうクラスメートたちが登校しており、HRと一限目の準備を始めながら、談笑している。

修一は制服からスマートフォンを取り出そうとしたとき、制服のポケットに何か入っている感じがした。

その何かを取り出してみて、心臓が飛び出しそうになった。


それは、先ほど夢の中で拾った人間の指だった。

冷や汗が噴出した。

そして声をあげそうになったとき、クラスメートの橘が笑いながら言った。


「修一、それはおもちゃのボールペンだろ?ジョークグッズじゃん。」

「え!?」

触ってみると、先の方がキャップになっており取り外してみるとペン先が出てきた。


(ふぅ、何だ。夢だったか。)


そしてHRが始まり、一限目の社会が終わった。

そこから二限目の数学の授業中、修一は再び強烈な睡魔を感じ頭がゆらりゆらりとなって、そのまま机に突っ伏して眠ってしまった。


異様な臭気と「ぐっちゃぐっちゃ」という不快な音がして起きてみると、そこはさっき見たはずの世界だった。

またピンクの何かで覆われた教室の中。

誰もいない教室に机とイスが並んでいる。


そして、運悪く、例の生き物が教室の中に集まっていた。

何かに群がって、むさぼっている。

「ぐっちゃぐっちゃ」と音をたてて、肉のようなものを喰いちぎっている。


犬のような灰色の何かは修一に気づき、ゆっくりこちらに近づいてくる。

そいつらがむさぼっていたのは、クラスメートの橘慎也だった。


橘慎也は血溜まりのなか、それに身体中を喰いちぎられ、身体から臓物をはみだして無残な格好になっていた。

犬のような灰色の何かたちが、修一に向かって距離を詰めてくる。

イスを持って、構えた。


そして犬のような灰色の何かが、いっせいに修一にとびかかり、修一はイスで殴る間もなく押し倒された。

それらの身体側面の顔が涎を垂らしながら、修一の身体中に喰らいつく。


修一の身体中に痛みが走った。

修一は腹の肉を喰いちぎられ、腸を引きずり出される感触を味わい、激痛にうめき声を上げる。


(誰か、俺を早く起こしてくれ・・・・・)


そう思っていたら、一匹の顔が修一の耳元で何か囁いた。


「モウニガサナイ」


うーん、あんまりプロット練ってないのがバレバレだな。

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