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第一話

インスピではじめたが後悔はしていない。

「南西より距離35。対象急激に接近しています」


「魔導方をヤンチェップ区外壁に集めろ、『箒飛ブルーム隊』をそちらに向かわせた」


「了解、対象距離30あと10分で第一結界線域に到達します」


「了解」


暗がりの中、青年の目の前にある水晶から音割れのした壮年の声が聞こえる。

この通信玉が開発されたことによりこのジルベール魔法都市の防衛機能は飛躍的に向上した、と通信玉を置く監視塔の司令室の中でジルベール防衛本部ヤンチェップ区司令官エルロイはひとりごちた。


「総員、対象は後10分でここに到達する、魔導砲9機を南西へと転換、残り6機を半分ずつ南・西方向に転換しろ」


「司令官、すべて南西へは向けないのですか?」


伝声管へと指示を飛ばすエルロイへ向けて司令室につめていた女性司令が疑問を投げた。


「アイラ君、君は防衛本部へ異動になってまだ2ヶ月だったね、これでいいのだよやつらのことは『怪異ストレンジ』のことは君よりよく知っている」


エルロイの鼻にかけたような笑いにアイラと呼ばれた司令はむすっとした顔で表示窓スクリーンへと向かいなおした。


「対象、見えます!!」


「映せ」


男性司令より叫び声に似た報告を受けエルロイは眼前の大型表示窓スクリーンへと目を向けた。


「魔力感知器の異常値を確認、『怪異ストレンジ』と断定します、しかしこれは・・・」


「42番・・・射出カタパルトか、またここに来るとは」


大型表示窓スクリーンに映し出されるそこには丁度ヤンチェップ区外壁から見える双子山から顔をだした巨大物体が写っていた。

体長はおそらく50m、黒色の卵型の体表には幾何学模様が浮かびいくつもの穴が開いていた。


「やはりすべて魔導砲を向けなくて正解だったか」


「敵移動速度上昇します、第一結界線域到達まで5,4,3,2,1到達!!」


瞬間、爆音とともに監視司令室へ衝撃波による揺れが起こった。


「被害報告!!」


「第一結界線域消失!射出カタパルトは・・・ダメージを負っていません!」


爆発の土煙から射出カタパルトがゆっくりとしかし確実に進む。

その体表へは傷が一切ついていなかった。


「砲撃開始します。」


男性司令の言葉とともに射出カタパルトへと向けていた魔導砲9機が一斉に火を噴いた。


「着弾、確認!射出カタパルト本体にはやはり効果ありません!」


「ちっ、やはり魔導兵器では25番以降は無理か」


「敵、攻撃来ます!」


射出カタパルトは対表面の幾何学が発光したかと思うとそのあいている穴から小さい黒い物体がいくつも射出された。


「魔導砲すべてはあの小型を狙え、攻撃が効かないのは本体だけだ」


「迎撃開始します」


魔導砲から伸びる赤、青、黄、緑の弾丸がそれぞれ南・西からも向かってくる射出カタパルトから射出された数百の小型と接触・爆発する。


しかし、魔導砲15機だけでは数百の小型には対処できなかったのだろう、何機かは外壁へと到達し、小規模の爆発を起こしていた。


「90%の迎撃を完了、最終結界線域に軽微な損傷、魔導砲が2機破壊されました」


キィィィィィィィィィィィィィィィイーーーーーー


射出カタパルト、咆哮。もう一度同じ攻撃来ます」


「迎撃体勢!!」


射出カタパルトがもう一度体表面を発光させる。


しかし、


数百の光の弾丸が射出カタパルトの体表面の穴へと向かっていった。


「これは!」


瞬間、大規模な爆発が射出カタパルト内部より起こった。

その衝撃波は先ほどの第一結界線域の爆発の比ではなかった。


そこへ通信玉から重厚な声が聞こえた。


「助太刀いたすぞ、エルロイ」


「バルト!お前ら来るのが遅いぞ!」


「すまぬ、なにぶん本部とヤンチェップだと全速で30分かかるのだ、それに・・・」


エルロイの剣幕に少し押され気味なバルトと呼ばれた男は軍用箒に乗りながら隣を『走る』男へ目を向けた。


「第4位がなかなか起きてくださらないものでな」


第4位、その言葉を聴いただけで司令室内は水を打ったかのような静けさになった。


「だ、第4位だと?」


エルロイがかろうじて乾いた口から言葉をつむぐ。


その言葉に笑いが出そうになるのを押さえ、バルトは射出カタパルトへと『跳んで』行った背中を見ながら答えた。


「そう、魔法都市位階序列第4位、『無音』にござる」

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