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男は最凶の勇者か魔王か  作者: ミイナ
1/23

誕生

こちらは時間があるときに書いています。

そのため、更新が遅くなりますがお付き合いいただければ幸いです。

神々の戯れで造られた肉魁は人の姿をしておらず、ただの肉の塊だった。


成功すればそれで良し、失敗なら廃棄すればいい。ただそれだけの存在だ。

神々は自身の治める地より優秀な血を集めこの肉魁に与える、人類の最高傑作を造り神を殺せるか試すためだ。


神に刃を向ける勇者など数多くいる。

魔王を倒し、力に溺れもっと力を寄越せと迫ってくる。


それがいかに愚かな行為なのか想像すらせずに。

神が治める地に出現した魔王など所詮は弱体化した魔王なのに、だから魔王は活動範囲を広げるために世界を汚すのだが、それでも世界は魔王に反発する。


それは神々にとって雑務だがやらなければならない。


何故って?


そうしないと、面白くないじゃないか!


魔王を倒し、増長した勇者をいたぶる。

本気で向かってくる勇者を神が与えた力で向かってくる姿はとっても愉快だった。


たまに魔王の力をその身に宿した勇者が来るが、それが更に滑稽さを増す。

神域に魔の力で挑む、さらに弱体化した勇者が生まれるだけなのに。


とは言っても神々も魔界にいけば逆の事が起こる。

だから神々はここから出ることは無いし行く必要もない。


各々が治める地に舞い降りる勇者、馬鹿な魔王。

聖と邪は表裏一体、そういうシステムである。


話は戻すが神々に傷をつけた者は存在しない。

なら神々が協力してそんな存在を造れないか、それはそんな思い付きで始められた実験だった。


神に挑む勇者の残骸から血と肉を採る。

その血と肉を数々の勇者から集め形を作る。

男でも女でもお構い無く。


聖だけでは最高傑作にならない事から魔王の血と肉も混ぜる、そうして出来たのがコレだった。


人の形にならない肉魁を神々は興味なく見つめている。


ーやはり、無理なのかー


ーそのようですね。でもコレで解ったでしょう、我々に勝る存在は無しとー


ーならコレは捨てるか?ー


ーそうですね、もはや必要もないー


ー我々の関知しない世界に捨てましょうよー


ーそうだな、こんな失敗作は我々の世界に有るだけでも煩わしいー


ーなら送りましょうゴミをー


神々が何かを唱える、肉魁の回りに光が集まり肉魁がこの世界から消えた。


それは流星となり地に落ちる。

高度な文明の発達したこの星に今日、ひとつの都市が消えた。


宇宙から降ってきたこの塊が発見されるまで10年の歳月が流れていた。

地中深く潜ったこの塊を見つけた研究者は胸の鼓動が高鳴るのを意識した。


一つの都市を消滅させた物体が脈々と鼓動を打っていたのだから。


その塊を見つけた研究者は自身の研究室にそれを運びこんだ。

塊の大きさは人間の子供ぐらいで、重さもそれに等しく研究者でも一人で運べるぐらいだったから。


誰の目にもとまらないように研究者は自身の研究室で黙々とこの塊の研究を始めた。


材質から内部を透しして、中を確かめる。

様々な実験をこの塊でした。

分かったことはこの星には存在しない物質で、どんなに悪状況化でも存在できる未知の塊だった。


これまでに得たデータを解析するだけで、自分の生涯はそれで終わるだろう事が分かる。


研究者は塊を電磁水槽にいれて置くことにした。

この塊が生きているのなら音楽や映像などに反応するかも知れないと考えて、塊をネットでつなぎ情報を垂れ流しにして自身は研究に没頭した。


それを誰の目にも触れさせないように研究室の秘密の地下に隠して。


どれ程の時間が経過したのか、消滅した都市が復興しそれがなん世代も続いた。

塊を研究してい研究者は亡くなるまで幾つもの成果を世に残した。


その研究室は何代も入れ替わり、その誰も秘密の地下に隠された塊に気がつく者はいなかった。


長い年月が過ぎてその研究施設も閉鎖された。

全ての電力が停止し、野晒しにされた研究施設。

その地下で隠された塊は静かに活動をしていた。


ーなんだ、ここはー


意識が生まれた日、塊は自身を強く意識した。

流し込まれる情報、言葉や音楽など様々な情報がながれこんでくる。


ーなんだ、この映像は?学ぶ?帰る?全てを滅ぼせ?………なんの事だ?ー


塊は自我を持ち始める。

自身の境遇に現在の状況など急速に飲み込み始める。


そして全てを状況を悟るのに時間はかからなかった。


ー人間、この種族が一番繁栄している?生命の進化、男に女………私は何だ?ー


塊は自身の姿が水槽に映るのを見る。


ー人………ではない、虫………いや鉱石ではないのか?何故ここに居る?ー


それから塊はあらゆる情報を検索し始める。

そしてあることに気づく。


ー物を動かすエネルギー、ここは閉鎖された施設。なら何故?ここは動いている?ー


不思議に思った塊は周囲に意識を配ると、自身に繋がった線が光を発している。

光は線を辿って塊に世界の情報をおくっていた。


ー私がやっているのか?何故?ー


塊が意識すると世界の情報が更に速く深く情報を塊に送る。

そこで知った魔法の力。


ーこれは魔法か?しかしこの世界には魔法はアニメや物語にしか存在しないはずだー


疑いつつも塊は更に魔法がつくものを探す。

年代を遡り、それをじっくりと見た。

時間だけはあったから。


ーやはり、コレは魔法のようだ。この施設は完全に閉鎖をされている。電力はとっくに通っていない。この体から発する光がエネルギー源となり動かしているようだー


時おり夢を見る。天上の彼方から聴こえる声、期待から侮蔑に変わる。

怨念と屈辱が入り交じる声が奴等を殺せと告げる。


ー誰だ私は?この記憶は?ー


今ある現在の情報を全て網羅した塊はある結論にたどり着く。


ーこの体を人間に出来ないか?、魔法の力があればできるはずだー


それから塊の試行錯誤の時間が過ぎた。


ー何故できない。人を形作る事は無理なのか?………………無理なことなどないはずだ!………………なら人形を作る!今は無理でもいつかは………なら理想の体を作ってやるぞー


この地下には塊が求める材料や薬、そして人を作る機材があった。

塊は世界中の情報をくしして人形作りに没頭した。


ーやはり男が良い、力強く格好いい男が。髪は長く銀髪が良い、年齢は20で固定する。不死に不老か………………ー


だが、思いのほか人形作りは難航を極めた。

思い通りの姿にならない。


ーいきなり大人の姿にするのが失敗の理由か?ー


塊はそう考えて情報を漁る。

ならばと人を形作る前の状態、精子と卵子が結合するまで遡り人を作る。

時間は十分にある。

成功するまでやればいいのだと塊は考えてそれに没頭した。


次第に形作られていく物に塊は自身の血と肉を混ぜていく。

第一段階の血と肉の定着。

第二段階の成長と促進。

第三段階の魔力経路の促進と発達。

第四段階の塊との融合。

第五段階の覚醒。


長い時間をかけて第五段階まできた、理想の体を造りその中に入った。

これはあるロボアニメを見て参考にしたのだが、思いのほか上手くいったと感じた。


体の中に入り接続。


………………………………。


ーむ?動かない?感覚は………ある。ふむ………………なら待つかー


塊は出来上がった肉体の中で眠りについた。

あせる事は無い、塊は内部から魔力を微妙に流しながら眠りについた。


ーう、なんだ?体が重い?………………ああ!筋肉が無いのか?ー


塊は目覚めて直ぐに自身の状況を悟った。

造った体は予想通りの成果を出した、後は動き回る筋肉を作るだけだと塊は考えて地下を這いずり回る。


数週間後、塊は地下の部屋を歩き始めた。

出来ることが増えると加速度的に鍛える事が出来た。

「あ、あ~!」


喉を震わし声をだす。

塊は地下から抜け出し荒れ放題の研究施設を歩き回る。


寒さや暑さなどほとんど気にならないが、全裸は不味い。

映像を見ると人間は服を着ている。


「服か、どうするかな。外に出るには服と移動手段が要るな。………金はどうとでもなるか」


塊が思案していると無人の研究施設に人の気配がした。


「なんだ?………人間だと?………………フ!アッハハハ!!丁度いいじゃないか、そいつらからいただこう!」


塊は大声で笑うと人間の気配のする方へと歩いていった。


「リーダー、本当にこんな場所に宝なんて有るんですか?」


「ああ、間違いない。大昔の研究者が秘密りに研究していた物があるだとよ」


「幾らなんでも、もう腐ってるでしょうよ」


「なぁに、データさえあればいいんだよ。ほんの一部でも大金になるんだからな!」


………………………


眼下に3人の人間が見える。

全員が男だ、何やらここを探索しに来たらしい。


(武器は………銃か、それにナイフといやに古風だな。だが好都合だ初の実践、試させてもらうぞ)


塊が下に飛び下りる、三階から見ていた塊は一階まで音も無く着地した。


ふわりと靡く銀髪を手で整え、塊は近づいてくる光を見つめる。


スゥーと音も無く移動すると3人の内、最後尾の一人の背後をとると頭を鷲掴みにして潰した。


以外なほど呆気なく殺せた事に塊が驚く。


(なんだ………これでは服が着れないではないか、こんなにも人間は弱いのか?)


肉体の力では綺麗な状態で捕獲出来ないと感じた塊は、魔法を使う事にした。


(束縛するやつがあったよな?)


塊はアニメで見た、足元を地面に縫い付けるのを参考に魔法を作り上げる。


ガゴン!!


二人目の人間を出現させた壁にて押し潰してしまった。


(くそ!また失敗だ!)


「ひあ!………おいなんだ?………どうしたおい………なんだよこれ?」


先頭にいたリーダーは背後からの轟音に振り向くと壁に挟まれたらしい仲間の血を見て腰を抜かす。


「………おい、誰だ!もう一人の仲間をどこにやった~!」


ヒステリックに叫ぶとリーダーの耳に足音が聞こえる。


「へ?………アアアア!?!」


変な叫び声をあげてリーダーは足音が聞こえた方向に銃を乱射した。


「は、はあ、………どうだ?」


火薬の煙で視界が悪く、近づいていた足音の主がどうなったのかリーダーには分からない。

リーダーは息を止めて、微かな音も見逃さないように集中する。


「………………やったか?」


「やってないぞ」


「!」


バッと後ろを振り返るリーダーはそこに全裸の銀髪の男がいるのを見た。


「なんだ!テメェは!」


「なんだだと?………さぁな、俺が聞きたいぐらいだ」


「はあ!な、何を言っ………アガッ!」


今度は潰さないように心がけながら男の顎を掴み持ち上げた。


「死にたいか?」


「………ア、ガ!」


必死に首を横に振る男。

それを冷たく見つめる銀髪の男がニヤリと笑う。


「そうか、ならその服を脱いで去れ」


「???………………えっ?」


顎から手を離した銀髪の男がさっさとしろと言う。

リーダーの男は恐怖に震えかながらも全裸になった。


「こ、こ、これで良いのか?」


銀髪の男が頷くのを見て、その場を大きく後ろに下がる。


「これで、こ、殺さないよな?」


それに銀髪の男が頷くのを見てリーダーは早くこの場を離れなければと思った。


「あ、あんたの名前は?」


何を思ったかリーダーの男がそんな事を聞いた。


「?、名前か?………………そうだな、ウィザー、俺の名前はウィザーだ!」


何かの本か、アニメかふと思い付いた名前をウィザーはリーダーの男に言った。


それを聞いてリーダーの男は一目散に逃げた。

この悪夢から一刻もはやく逃れる為に。


「フフフ、ウィザーか」


ウィザーは笑いながら、置いていった服を着ると外に向かって歩き始めた。


始めて見る外の世界、この瞬間に世界の滅びが始まる。




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