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九節ノゴ


→草月目線☆


オレは自分の持つ地図と、

ほんとついさっきに久遠寺の立てた推測を照らし合わせた。


そうなるとその部分に重なる所は驚く事にたったの一つしかなかった。


それは大学、

円城寺さんや阿久津さんの活動する……

神父様の所有する大学だけだった。



「……行くか?」


オレと同じ様に旅支度?をしている久遠寺が聞いてくる。

久遠寺のもつ荷物には多分桐乃さんの荷物も含まれているんだと思う、あまりにも量が多い。


「……あぁ」


オレはただ頷いた、

それだけで通じる事を知って居るからだ。


案の定久遠寺はしずかにほほ笑んだと思うとまたくちを開いた。


「分かっていると思うが、連れて行け」


とびっきりと笑顔で、だ。

その笑顔はある意味オレにとって最も強制力のあるモノだった。が……


「今回ばかりは無理だな。……流石にここまで面倒を見てもらう訳にはいかな……」


そこまで瞬間だった、

なんの脈絡もなく、なんの音沙汰も無く。


久遠寺はオレに殴りかかって来た!

とはいってもそれは十分予想で来ていた。


既に逃げる体制が出来ていたオレはその飛ばされて来た拳を間一髪でよける事が出来た。

いつもなら絶対によける事は出来なかっただろう。


それだけに今回の事はオレがマジになっているという事だ。


「……ッチ!」


「ってお前何気に能力使ってやがったな⁈」


久遠寺の能力は単純に電化、

自分の体の一部を電気化させる事ができる力だった。


つまり、それは場合によってはヒトを気絶させる事もできる。


そんな攻撃を久遠寺はオレにしかけて来たのだ。


ただならぬ空気、ピリピリとした緊張感が部屋の一帯を包み始める。


どちらかが、どちらかの言葉を待っている、そんな状態に陥って居た。


だが、そんな状態を破ったのは意外にも久遠寺の方だった。


「……どうしても、行くのか?」


再び、先ほどと同じ様な質問が繰り返された、

しかし、その言葉の重みは本の数分前に行われた会話とは比べ物にならないほど重たかった。


オレはどうしてもその質問にはすぐには答えられなかった、

再び空間に沈黙が流れ始める。


そもそも、何故いきなり久遠寺はそんな事をいって来たのだろうか?

オレに殴りかかって来た事もそうだ。


「なんでだ?」


その事は、様々な意味を溶かして込めたオレ成りの返答、

今の精一杯だった。


久遠寺はそんなオレの答えに意表をつかれたという顔を一瞬したと思ったらまた直ぐに元の表情に戻っていった。


「明日の百より今日の五十……今できる事をやるしかなかったからな、お前も俺も、余裕がないって事だろうな」


……意外だった、

空いたくちがふさがらない。


それほどまでにその久遠寺の答えがオレにとって意外なモノだった。


「なんだよ、その顔は」


い、いやだって……

普段は「天上天下唯我独尊」……な久遠寺が……。


「全部声に出てるぞ、っていうか俺、お前の中てわそんなキャラかよ」


げっ……声に出ていたらしい、

また再び久遠寺が深い笑顔に成っていった。



なんだか今度パンチが来たんだとしたらよけれる自信がない。


とか思っている間にオレの身体は宙を舞って、埃の無い床に落ちて居た。


「イッ……なにすんだよ‼‼」


思わず怒鳴っていた、

しかし、オレ以上に起こっていたのが久遠寺の方だったらしい。


ズカズカと大股でオレの転がっている所まで来たと思ったら、

思い切り久遠寺に胸ぐらをつかまれた。


余りにも突然の事が続きすぎて思考が追いつかない、

更には突然首が苦しくなる感覚に考えがまとまらないでぐちゃぐちゃになる。


「何するか……だと?ソーゲツ、おまえ、分かってていってるんじゃないよな?」


つり上がった目に、眉、

僅かに浮き出た青筋。


それらが全て、久遠寺の怒りを表して居た、

ヒトから向けられる本気の怒りでオレは目を背ける事しか出来なかった。


「そうやって都合の悪い事からはすぐ目を背ける……、俺、始めて会った時に行ったよな?「他人の為に頑張ってるお前がムカつく」って……今のお前、あの時よりもひでぇぞ……?」


静かに言葉を紡ぐ久遠寺、

それが静かなのは冷静だからで無く、

怒りの余りに言葉を喋るのが難しくなっているのだ、

という事が無意識の内に理解させられる。


それほどまでに圧倒的な、怒り。


「お前はお前自身なんだよな?如何にユウカの奴が大事でも、お前はソーゲツなんだろ⁈」


静かに、穏やかにいっていたモノが突然大きな声で怒鳴られる。


掴まれたままの胸ぐらでは久遠寺の左手が放電を起こして居た。


「別にお前はユウカと一緒の人生を作る必要はねぇだろうが!」


再び怒鳴られる、

左手の放電がより激しくなり、オレの服を焦がし始めた。


「だから……そういうお前が、ムカつくんだよ……」


失速した様に沈んで行く声にオレまでどうしたらいいかわからなくなる。


たしかにオレはなんなかの行動で久遠寺を苛立たせてしまったかもしれない。


だけど……!


「今からこの生き方を直すつもりはないし、オレは久遠寺が言っている様になるつもりはねぇよ」


ただ、姉ちゃんが幸せに笑って居てくれるんだったら、それだけで良い。



「あっ……えと、何があったの?」


そのあと現れた桐乃さんに、何故だか散らかった部屋と、うなだれる久遠寺、そしてオレの顔に出来た痣を説明するのに30分近くの時間がかかった。


ーー見ててくれよね、

姉ちゃんーー


『我々は知恵を見出した、彼に勝つことの出来るのは神だけで、人には出来ない』


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