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3‥逃走

翌朝…

目が覚めると紫織の姿はどこにも無かった。


家中探したが紫織はいないよく見るとテーブルの上に置き手紙があった。


『買い物に行ってきます』


俺は胸を撫で下ろし

寝汗で肌にまとわりつく嫌な汗をシャワーで洗い流した。


浴室から出て居間に戻ると紫織はテレビを見ていた。


『あっ、潤一お早よう』

紫織は笑顔でそう言った。


紫織は思いの外明るかったが強がっているのかもしれない…。


俺は紫織に何をしてあげられるのか…。


『潤一お腹すいたしょ??今何か作るね。』

そう言うと紫織はキッチンで料理をし始めた。


俺はニュースが気になり

テレビのチャンネルを回してみた。


おかしい…あれほどの事件なのにニュースに取り上げられていない…。


単にマスコミに漏れてないだけなのか…何か他の理由があるのか…知られてはいけない理由が…。


俺は直観的に嫌な予感がした…今すぐここを離れたほうがいい…。


『紫織!!今すぐ身仕度をしろ、ここを出るぞ』

俺はそう言うとすぐに身仕度を始めた。


『どうしたの潤一!?』

紫織は怪訝な顔をして俺を見てきた。


『話は後だ、嫌な予感がするんだ…早くここを離れた方がいい…今は俺を信じてくれ』

俺は説明などできるはずはなかった、ただ俺の直感がそう告げていた。


『わかった…。

潤一を信じるわ…。』

紫織は黙って身仕度を始めた。


身仕度が終わり俺達は急ぎ玄関を出て車に乗り込んだエンジンを掛けその場を離れた…。


『ねぇ…どうしたの潤一

さっきから黙って…。』

紫織は心配そうに俺を見つめている…。


『いや…大丈夫だ。

いずれ分かるから今は何も言わないでくれ…頼む。』


『分かったわ…。』

紫織はそれからずっと俯いていたままだった。


俺は暫らく当てもなく車を走らせ続けた…。


車内はずっと沈黙していた紫織が何気なくラジオをかけた時だった…。


『…なお容疑者は今も尚

逃走中との事です…。

新たな情報が入りしだい

再びお送りします。』


『何が会ったのかしら…』紫織は不安そうにそう呟いた…。


まさか…俺は他のラジオも回してみたがさっきのニュースは流れることはなかった。


気のせいだ…

そんな事が起きるはずはない…考えすぎだ…。

俺は自分にそう言い聞かせ考えることをやめた。


俺は今…


容疑者の家に向かって車を走らせていた…。


内心ではそんな事ありえないと分かってはいるが…。

証拠がある以上はそうは言ってられない…。


『驚いたよ……ナイフから出た指紋と昨日の女の子の指紋が一致した…』


俺はあの鑑識の言葉を聞いた時愕然とした…。


あんな犯行をあの子が出来る分けはない、そんな事

子供でも分かることだ…。


それよりも…

どういう事なのか…。


どちらにしてもあの女の子が事件の一部始終を見ていたのかもしれない。


『それにしてもな…あんな子が殺人犯だなんて可笑しな話だよな?』

助手席で座っている相棒の南竜一はタバコの煙を窓の外へと吐き出しながらそう言った。


こいつは茸みたいな髪型をしてるが顔は男の目から見ても格好良い部類に入るだろう。

身長も俺と同じ位ある

それにしても…

自分ではその髪型がイケてると思っているみたいだからな…変わった奴だ。

まぁ刑事としては頼りにしてるんだがな。


そう考えているうちに車は有森紫織の家へと到着した

俺達は車から降り足早に有森紫織の家の玄関前へと向かった。


竜一は俺の後ろでコートのポケットに手を突っ込んでいる。


こいつには緊張感と言うものが無いのか…と改めて思った。


昔こいつと組んである事件の犯人を逮捕するもこいつは緊張感の欠片もなかった肝が座ってるというか…

楽観的というか…

まぁそれがこいつの良い所なのかもしれないな。


『有森紫織さん!!

中欧署の者ですが!!』

俺は玄関を何度も叩き

呼び掛けたが一向に返事は無い…。


まさか逃げたのか…。


いや…まだ報道されてはいないはずだ。

留守なだけなのか…。


いやまてよ…。

普通に考えてあの子が

この家に帰ってくるはずはない…。

この忌まわしい家に…。


『おい竜一!!車に戻れ』俺は急いで車に乗り込むとエンジンを掛けた。


『ったく…いきなりどうしたんだよ。家に入らなくていいのか?』

竜一は不服そうに顔をしかめた。


『有森紫織は鏡潤一と一緒にいるはずだ。』

俺は確信を得ていた…

あの二人は必ず一緒に居るはずだ。


『なるほどな…じゃあ

早くそいつの家行った方がいいんじゃねぇか』

竜一はそう言うとタバコを取出し火をつけた。


俺は鏡潤一家に急いだ…。


暫らくして

鏡潤一の家に着いた。


俺達は車から降りると鏡潤一の家の玄関に向かった。

『中欧署の者ですが…』

玄関を何度も叩き呼び掛けたが反応はない。


『鍵開けて入っちまおうぜ連中がグルだったらどうすんだよ??もしかしたら中に居るかもしれないしよ』

竜一はそう言うと、手慣れた様子で鍵を開けた


『はいイッチョ上がり』


竜一はそう言うと部屋の中へと入っていった。


俺も後に続いたが家の中を探しても誰もいなかった。


台所には作りかけの料理が放置されており、寝室に行ってみるとタンスが開きっぱなしになっていた。


これはやはり…

逃げた可能性が高いな…

でも何故だ…。

まだ報道されていないはずなのに何故逃げることが出来たんだ…

犯人だからなのか……?


『おい、こりゃ逃げたっぽいな。早いとこ署に連絡しとこうぜ!!』

竜一はそう言うと足早に玄関の外へと出ていった。


本当にあの子が…。

俺は家を出て車に乗り込んだ。


『どこに逃げたんだろうな…あの二人』

竜一は窓の外をじっと見ている。


この事件は全く何がなんだかわからない…。

有森紫織が犯人だとはどうしても思えない…。

何故ナイフから有森紫織の指紋が出てきたのか…。

あの二人はどこに行ってしまったのか…。

今はあの二人の行方を探すしかないか。


俺は一旦署に戻ることにした。




男は暗闇のなかソファに座り目を閉じていた…。


その時携帯が鳴った。



『…俺だ…。』



『次は誰だ…。』



『了解した…終わりしだい連絡する。』


男は携帯を切った。

『あの女も始末しなければ全く不運な女だ…。




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