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入学


『じゃあ俺は先に行ってるから、ちゃんと二人一緒に来いよ?』


 ご飯を食べた後、ガリウスはそう言って先にルミナスに向かった。

 俺たちは寮に移動して荷物を預け、言われたとおりに二人で向かう。


「人、多いね。」


「だな。」


 学校につくと、それはもう尋常じゃないくらいの人がいた。

 目に映る人は同じ制服を着ており、ルミナスの学生だということが分かる。ほとんどが俺たちと同じく今日から入学する人なのだろう。


「二人で来て正解だったな。」


「バラバラだと迷子になったかも…。このまま一緒に行こ?」


 アヤメにそう言われ、人の流れに沿って歩みを進めていく。ガリウスが居ればいいと思っていたのだが、ルミナスで何かしら仕事があるらしい。

 考えてみればガリウスも魔法師。魔法師を育成するルミナスでやることがあるのも不思議じゃない。何をするのかは知らないが、ちょうどよかったから途中まで連れてきてくれたんだろう。

 そう思いながら歩いていると、やはり周囲からの視線を感じる。駅でもそうだったが、やはり珍しいのだろう。周りを見ても俺たちと同じような髪と目の色をしている人がいない。


「やっぱり見られるね、そのうち慣れるかな。」


「大丈夫だろ、多分。」


 歩いていて気付くことがある。周囲の視線は感じるが、俺よりも隣のアヤメの方が注目を浴びているような気がする。

 顔を見て理由を考える。見ているとアヤメと目が合った。


「どうかしたの?私顔に何かついてる?」


「別に何も。ただ顔見てただけ。」


「なっ、えっ、なんっ」


 考えても特に思いつかなかったので一回放置しておこう。そうこうしていると、建物の入り口が見えてくる。

 アヤメの様子がおかしい気がする、緊張してきたのだろうか。


「ルミナス魔法学園、入学式の受付はこちらでーす!案内しますので、列に並んでお待ちくださーい!」


「お、案内向こうだってさ。行こうぜ。」


「えっちょっとさっきのどういう…!」


 アヤメが何か言いたげだったが、まぁ後でいいだろう。アヤメの手を引いて案内の列の方へと向かった。





 案内列に並び、少し待ってから受付をするとすぐに会場となっている建物へ案内された。入学者の名簿などがあるのだろうか、手早く名前を確認されたあとに、指示のままついていく。

 会場に入ると、中にはすでに人が数多くいた。内装は豪華ではないものの、歓迎していることを示すよう華やかに飾られている。

 俺とアヤメは続けて受付をしたため、同じ場所にそのまま並ぶ。しばらくすると、会場に声が響く。


「これより、ルミナス魔法学園入学式を開始する。」


 声が聞こえると、それまで騒然としていた会場が静かになる。

 会場の前方、演説用の壇上に人が登ってきた。


「初めまして、新入生諸君。私はこのルミナス魔法学園の学長を務める、カールだ。」


 恰幅の良い体格に、立派な髭を生やした初老の男だ。高価そうなスーツを身にまとい、落ち着いた声で話し始める。


「ここに集まった者の多くは、年齢は違えど、ほとんどが魔法師を志していることだろう。魔法師になるというのは容易な道ではない。だが、ルミナス魔法学園はいくつもの優秀な魔法師を世に送り出してきた。我々は全力で君たちの成長を支える。君たちがこの王国の魔法をさらに発展させ、より素晴らしい魔法師になることを心から期待している。短いが、以上だ。」


 そう言葉を述べ、壇上から降りていく。その後もいろんな人が挨拶をしていたが、正直名前も内容も覚えてられない。

 しばらくすると式典が終わり、それぞれ並んでいる学生の列の前に人が来る。


「これより能力測定試験に入ります。戦闘魔法科の人は左手の扉から、支援魔法科の人は右手から進んでください。」


「あ、私あっちだ。頑張ってねヨヅキ。」


「アヤメもな。時間かかりそうだし、夕飯は寮で一緒にとる感じになるか?」


「そうじゃない?じゃあまた後でね。」


 後ろにいたアヤメが、右の扉の方へと向かっていった。この学園には、二つの学科がある。

 一つは戦闘魔法科。魔力で自身の体を強化し、武器や魔法を使って前衛として戦う魔法師を目指す科。

 もう一つは支援魔法科。魔法で前衛を援護したり怪我人を治療したりする魔法師を目指す科。

 俺は戦闘魔法科、アヤメは支援魔法科として入学したのでお互いが案内された場所は違う。


 案内に従って進むと、外の訓練場のような場所に通された。端の方には訓練用の武器や防具も見えている。さらに訓練場の外周には、多くの大人が集まり、こちらを見ているようだ。

 少し待つと全体の移動が終わったのか、訓練場にいた男から集まった学生に説明がなされる。


「ここでは新入生の皆様に模擬戦を行ってもらい、戦闘能力を測定します。」


 ガリウスから話は聞いていたがこんなにいきなり始まるのか。

 周りも同様のことを思ったのか、ちらほら不安そうな声が聞こえる。


「模擬戦は具体的にどのようにやるのかね?まさか、説明もなしに殴り合いをするわけじゃあるまい?」


 どこかから厭味ったらしい声が上がる。同じ学生のはずなのに随分偉そうな感じだな今のやつ。

 しかし説明していた男はとくにとがめることもせず、そのまま続ける。


「…今回の試験についての詳細は、試験官の方が今から説明をしてださいます。」


 そう言ってその男は端の方へと引いていった。訓練場の俺たちがいる向かい側から、人影がやってくる。

 前の方にいる学生は姿が見えたのかざわついている。反応を見るに有名人なのだろうか。

 そう思って眺めていると、隊服のようなものを身にまとった背の高い、金髪の男が目に入る。


「新入生諸君、まずは入学おめでとう。」


 見覚えのある姿、聞いたことのある声に俺は驚く。

 やってきたのはガリウスだった。


「試験内容の詳細については俺が説明する。立ちっぱなしで疲れただろう、地面で悪いが座って聞いてくれて構わないよ。」

 

 ガリウスがそういうと、集まっていた学生は地面に腰を下ろす。

 周りから「ガリウスさんだ…。」みたいな声がずっと聞こえてくる。

 やっぱり有名人じゃねぇかお前。


「今回の試験だが、聞いての通り模擬戦を行う。もちろん、いくつかルールがあるので聞き漏らさないように。ルール違反者は成績は無しとして扱うから気をつけろよ。」


 その言葉に、先ほどまでざわついていた学生が静かになった。


「――さて、ルールを説明するぞ。」


 場の空気が変わり、ガリウスが訓練場を一望する。


「まず最初に、魔力の使用は禁止だ。今回見るのは純粋な戦闘能力だけ、魔力の使い方を知らないやつも多いからな。次に、使用する武器はここにある訓練用の物のみ。それ以外の獲物を使うことは許可しない。それからもうひとつ、どちらかが有効打を入れたらそこで試験終了。意図せず追撃のようになってしまったら止めるからね。」


 ここまで説明したところで、どこかから手が挙げる。


「質問です。有効打というのはどこからでしょうか。腕や足でも有効打になりますか?」


「いい質問だ。」


 ガリウスは笑って答える。


「有効打は頭、首、胴体、それから急所。貸し出す武器には魔法がかけられているから、痛みはするが大怪我はしない。容赦するな。ただし、手足への攻撃で動けなくなる、もしくは武器を落とした場合も有効打とする。手足を狙い続けるのも作戦としてはありだ。」


 その発言で全体に緊張感が走る。俺も例外ではない。

 覚悟しているとはいえ、痛いものは誰でも嫌なのだ。


「じゃあ最後だ、制限時間は三分。時間内に勝敗が付かない場合は引き分けだ。ルールは以上かな。何か追加で質問は?」


 ガリウスが聞くと、俺の近くにいた大柄な男子生徒が手を挙げる。

 その生徒をガリウスが首を使って促した。


「模擬戦の相手は誰に?年齢差や性別の差もあると思うんすけど…。」


「模擬戦の相手はこちらが決めている。男女は別で年齢も考慮しているよ。年齢は最小14歳、最年長が16歳だ。圧倒的な差は無いように調整している。…まぁ勝ち負けよりも全力でやることを第一にしてくれ。成績に影響は多少あれど、後から簡単に巻き返せる。ここからスタートだからな。」


 男子だけではなく女子もいるのは知っていたが、14歳からでも入れたのかこの学校。

 年齢は一律だと思っていた。少し意外だ、あとで聞いてみようか。


「他にはなさそうだな?それじゃあ15分ほど休憩時間を挟む。その間に、使う武器を選んで準備しておいてくれ。――解散!」


 ガリウスの号令を皮切りに、集まった学生は各々移動し始めた。



いつも読んでくださりありがとうございます!7話目!!

投稿ペース良しだけど説明多めでしたね。できる限り少なくしたい所存。

感想とかブクマとかしてくれるとうれしいです。よろしくお願いします~!

次回は模擬戦~。(多分)

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