学園都市マギテリア
「着いたぞ。ここが、学園都市マギテリアだ。」
乗ってきた列車から降り、ガリウスが手を広げ教えてくれる。
学園都市マギテリア。
名前の通り、この街の中心には国が管理している魔法学校がある。
学校の名前はルミナス魔法学園。この町は国の中心からも比較的近く、学校の規模も大きい。
この国で魔法師になる人の大半が、このルミナス魔法学園に入学する。魔法の研究が盛んであるため、魔法師の育成にも力をいれている。
魔法の研究が盛んであると同時に、ここは交易の要所の一つ。人と物が多く、発展している大都市。国内の様々な地方から人がこの街にやってくる。
「列車での長旅はどうだった。」
「俺たちの知ってる列車と違った。」
「もう二度と乗ること無いかも…。」
長旅を終え、列車から降りた俺たちの正直な感想がこれだ。
「なんだ不満だったか?」
「不満を見つける方が難しいだろあれは…!」
ガリウスが用意していたのは、いわゆる高級車両というやつだった。
俺たちが乗った列車には、中に個室が設置されていた。想像していた長い椅子に横並びで座るのではなく、広い個室の中に柔らかいソファと菓子の置かれた大きな机。正直快適すぎた。
恐る恐るソファに腰を下ろした俺たちは、それはもうすごい早さで寝落ちしたらしい。早起きしたとか夜寝つきが悪かったとかがあったにしても、魔法でもかかってるんじゃないかというくらい心地よかった。
「しんみりしたまま向かうのもあれだろ?折角なら少しでも楽しめた方がいい、社会経験にもなる。」
そうガリウスは言っていたが、そんな軽い感じで経験するものではない。二人して起きた後に値段を知って青ざめた。寝たのは少しだけだったが、起きて満喫しておけばよかったとも思う。
「荷物受け取ったな?少し早いが、どこかで適当に昼飯食べてから寮に向かうぞ。」
「ご飯は普通のお店でお願いします…。」
「俺も。」
同じような感覚で高い店にでも連れていかれたらたまったもんじゃない。俺たち庶民にはそういう経験はまだ早い。空気が場違いすぎて何も喉に通らなくなっては困る。
「わかったわかった。うまい定食屋があるんだ、そこにしよう。ルミナスの学生にも人気だぞ?」
「学生も行くなら大丈夫かな…。」
「それならまぁ…。」
笑っているガリウスにそう返事をして歩き始める。先導されるまま、ついていくと色々なものが気になった。
まだ駅の中だというのに、人が多い。流石は大都市、列車も次々に駅に出入りしている。駅内も広大で、何か売り出しているようなスペースもある。どれも今まで見たことが無い新鮮な光景だ。
出口に向かっている途中、やけに人に視線を感じる。アヤメもそれに気が付いたのか、ひそひそと声をかけてくる。
「ねぇ、ヨヅキ。なんだか凄い見られてない?」
「やっぱり?なんかやけに見られるよな。田舎者ってばれた?」
だとしても、ここまで見られるだろうか。すれ違う人も、少し離れた場所からこちらを見てくる人がいる。不思議だ。
「人目にはある程度慣れておいた方がいい。注目されてるのはお前たちだ。」
「俺たち?」
不思議に思っている俺たちに、ガリウスが教えてくれる。
「ここは国の中でも中心に近いから、ヨヅキとアヤメの故郷からはとても遠い。向こうの地方の人をここで見ることは正直全くないからね。」
「そうだとしても、そんなに気になりますか?」
「アヤメちゃんの白髪と薄い紫の目。ヨヅキの真っ黒な髪と銀の目。二人からすると珍しくないのかもしれないけど、こっちだと見ないね。」
「あ、俺たちの目は住んでたとこでも珍しいからちょっとわかんない。」
「目は違うのか。いや確かにご両親の目の色は黒とか青だったな…。」
訂正するとガリウスが振り返って言葉を返してくる。
実際、白髪と黒髪の人はたくさんいた。しかし目の色は別だった。俺はじいちゃんが同じ目の色をしているらしい。だが物心つく前には亡くなっていたので、他に同じ目の色の人を見たことはない。
アヤメは原因不明。白髪は遺伝だが、目の色は全く見覚えが無い。
「まぁだとしても、髪の色は見ないのは事実。別の国でなら、色黒で黒髪黒目のやつはいたがな。」
「なるほど…。」
アヤメはそれを聞いてした納得したようだ。
見られている理由はなんとなくわかったが、俺はそれだけな気がしない。
すれ違う人が時々ガリウスをガン見している。もしかして結構有名だったりするんじゃないか?
それから少し歩いて、駅を出る。
外に出ると日はすっかり登り切っていた。駅の周辺には乗る前に見たような住宅は見えず、人が多く出入りする店のようなものがたくさん並んでいる。
出店の近くを通れば、食欲を刺激する匂いがする。たくさんの人が並び、それはもう美味しそうに頬張っている。
歩いている人も、ガリウスのような金髪の人もいれば、青だったり赤だったりする髪の色。服装も俺たちが普段来ているような服とは違うものだ。
人通りもただでさえ多いのだが、それと同じくらいに荷物を大量に積んだ馬車の往来がある。今まで見てきたものとは全く違う世界。目に映る全てのものが気になる。
隣のアヤメも同じように、正確には服やお菓子、果物などが特に気になっているようだ。
「色々気になるのはわかるけど、それはまた今度。目的地はあっちだ。」
「ちょっとぐらいいいじゃん!」
「少しだけだめですか!」
「残念ながらダメです。時間に余裕もないからさっさと行くよ。」
二人で駄々をこねたがダメだった。少しぐらい別に間に合うんじゃ…
「俺だって本当は寄ってあげたかったけど、どこかの誰かが寝坊したから。」
まずい。
アヤメがこちらを向いてくる。
「列車乗るんだから別に少しじゃ変わ」
「待ってる間に一つ逃したからなぁ。お店の一つくらい寄る予定だったんだが、残念だ…。」
「ヨヅキ?」
「痛い痛い!!謝るから!後で何か買ってくるから!!」
ギリギリと手を抓られる。
その様子を見て余計なことを言った原因が笑ってる。いや元をたどれば俺のせいなんだけどさぁ!
「休日の楽しみにしておきな。二人でゆっくり見て回ればいい。」
「…そうします。」
提案を聞いてアヤメは機嫌を戻してくれたらしい。手が解放されたが、すっかり赤くなっている。
ありがとうガリウス。余計な事言うなよガリウス。
「お腹が空いたならもう少しだから我慢してくれ。」
そういうガリウスの後を、気持ち足早になりながらついていく。
しばらく歩くと、定食屋の看板が見えてくる。昼食には早いが、美味しそうなものをたくさん素通りしてきた。
とてもお腹が空いている。頼むからあの見えている店であってくれ。
「あれだ、入学式前にたくさん食べていきな。もちろん俺が出すから好きなものを食べるといい。」
とてもお腹が空いていた。二人より一足先に店に入る。
中に入ると、料理のおいしそうなにおいがした。後から入ってきた二人とともに店員に案内される。
席に着いたあとは、思い思いに好きな料理を頼んだ。
運ばれてきた料理は温かくとてもおいしいものだった。おそらく行きつけになるだろう。
それはそうとして、食べすぎには気を付けようと思った。食べ過ぎて寮への移動が少し辛かった。
二人には呆れられた。
…仕方ないだろ!!お腹減ってたんだよ!!!
こうして俺たちのマギテリアでの一日が、静か?に始まった。
読んでくださりありがとうございます!
投稿ペースはしばらくはこのくらいで頑張りたい。
次回は入学式です!説明多くなるかも??できる限り読みやすくします!多分。
ブクマとか感想くれたらうれしいです。
誤字報告などもあったらお願いします。




