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前準備


「それにしてもすごかったな。」


「本当にな。お前の背が高くて助かったよ。」


 寮の食堂で端の方の席に座り、シュウにお礼を言う。

 あの後、人ごみからなんとかアヤメを連れ出して早々に学園を出た。

 近くにいた生徒が何か言っていたが、アヤメに急かされていたのでよく聞こえなかった。


「改めて確認なんだが、オレも一緒して良かったのか?」


「全く知らない人なら嫌ですけど、ヨヅキの友達なら。」


「ならよかった。オレはシュウ・ブルベルト、よろしく。」


「ハクダアヤメです。」


 そう言って二人は握手を交わす。

 手の大きさが全く違うので、少し面白い。


「シュウさんは、名前を不思議に思わないんですね。」


「ため口でいいって。そうだな…ヨヅキの名前を聞いてたし、二人とも同郷だろうなってのは想像できた。容姿もこっちじゃ見ないからな。」


「まぁそうだな。と言っても、俺もアヤメも目の色は珍しいんだが。」


「そうなのかよ。」


 ガリウスも似たような反応をしてたな。

 そう考えていると、席に食事が運ばれてくる。

 俺とシュウは薄い肉と野菜を炒めたもの。アヤメは焼き魚を頼んでいた。

 主食はどちらもパン。とてもおいしそうだ。


 ここの寮はとても広く、その中にある食堂もそこら辺の飲食店よりも大きかった。

 料理を頼んだ後に取りに行こうと思ったのだが、利用する人数が多くかえって邪魔になるらしい。注文をしたら席で待っていてくれとおばちゃんから頼まれた。


「温かいうちに食べるんだよ!明日から大変なんだからね、たくさん食べてたっぷり寝な!」


 さっきの恰幅のいいおばちゃんが運んできてくれた。

 俺たちはお礼を言って料理に手を付け始める。


「そういえば、明日ってどうするんだっけ。」


「え。」


「は。」


 ふと気になったことを口にすると、二人に信じられないものを見る顔をされた。


「…嘘でしょ?聞いてなかったの?」


「え、逆になんか話してた?」


「ほれ、学長の話の後にいろんな先生の挨拶あっただろ?そん時に…。」


「ごめん、全然聞いてない。」


「お前なぁ。」


 あのたくさん人が挨拶してたあれ、意味あったのか。

 長くて何も聞いてなかった。


「明日は魔力使える人は9時に学園の西門に集合、使えない人は訓練場だって。私もヨヅキも魔力使えるけど、シュウさ…シュウは?」


「オレも西門だな。何やるかはよく知らんが、毎回怪我人が多いんだと。」


「なんだそれ。いきなり魔物と戦ったりでもすんのか?」


「支援科もいんのに?ないと思うがなぁ。戦闘科ならまだしも…。」


「支援科…あぁ略称か。まぁ確かに。」


 そう言って俺とシュウはアヤメの方を見る。

 口に含んでいたものを飲み込んだ後、俺たちの疑問に気づいたようで話始める。


「支援魔法科とは言ってるけど、普通に戦える人もいると思うよ?事前の説明とか、人の話が聞こえただけだから何ともだけど。」


「そうなの?」


「うん。もちろん魔法とかで支援できるけど、攻撃用の魔法とかもあるから。個人的なイメージは前衛と後衛って気がする。」


「「なるほど。」」


 アヤメの説明に声をそろえて納得する。

 言われてみれば確かにそうだ。 


「ま、どんなことやるのかはわからんが、これからよろしく頼むよ。二人とも。」


 先に食事を終えたシュウが立ち上がり、そう言って席を離れていった。

 俺たちもほどなくして食べ終わり、食堂を離れる。


 女子と男子は当然違う寮なので、荷物を受け取った後にアヤメとも別れる。

 荷物を受け取った際に自分の部屋を教えてもらう。

 部屋は一人部屋で、思っていたよりも広い。快適に過ごせそうだ。

 身支度を済ませ、今日は早めに寝ることにする。




*****


 


 ―――翌朝、西門の前。




「さて、新入生諸君。まずは入学おめでとう。私はマシュー、この学園の教員だ。君たちとは昨日ぶりかな?」


 そう言って金髪の若い男性が話始めた。

 確か入学式で登壇をしてなにか話していた気がする。内容は覚えていないが。


「さて、いきなりで悪いがそこの君。魔法師になるうえで大事なことがある。それは何だと思う?」


「えっ…魔法を使えることですか?」


 マシューに指をさされた生徒が答える。

 魔法を使えるのは魔法師になるうえで重要なことだと俺も思う。


 しかし、マシューは首を振った。


「そうだね、それも大事だ。だがそれよりももっと初歩的で重要なことがある…。」


「重要なこと?…魔力が使えるとか?」


「…ここに集まった君たちは、もう魔力を使うことができるのだろう。素晴らしいが、魔法師としてやっていくためには技術以上に大事なことがある。」


 聞き返した生徒も不思議な表情をする。

 周りにいた生徒もみな同じように不思議に思っていることがわかる。

 技術でないならなんだと。


「魔物を殺せるか。それが、魔法師にとって一番大事なことだ。」


 そう言ってマシューは近くにいた別の教員に合図をする。

 教員たちは木箱を持ってきてその蓋を開けた。


「ここには学園が用意した武器や防具がある。君たちにはこれから私たちと郊外の魔窟(ダンジョン)に向かい、魔物と実際に戦ってもらう。これが最初の訓練だ。」


「…マジかよ。」


 つい口からこぼれた。

 こういうのはもっと訓練してからやるもんじゃないのか。


 マシューの発言を遅れて理解し始めたのか、俺以外の生徒もざわつき始める。


「そんな…まだ碌な訓練だってしてないじゃないですか!いきなり殺すなんて無理ですよ!」


 一人の生徒が立ち上がり抗議する。

 しかし、それを諭すようにマシューは話を続ける。


「誤解がないように訂正しよう、これは実力の話ではない。魔物とはいえ生き物だ、自分の手で殺すことに抵抗を覚える人は少なくない。これは断言するが、魔物を殺せないやつは魔法師にはなれない。」


「だとしても、いきなり魔物と戦うなんて…。」


 それでも、抗議した生徒はまだ引き下がらない。

 周りも多少静かにはなったものの、まだ何かしら不満を言っている生徒がいる。


「現地には魔法師もすでに待機しているし、我々もサポートするため命を落とすことはない。怪我をする可能性は十分あるが、それでも君たちにはやってもらう。魔法師になるために、必要なことだ。」


 マシューが言うと、これ以上抗議する生徒は出てこなかった。

 ここには魔法師になるために来た。そのために必要なら、やる以外に道はない。

 反論していた生徒もそのことを理解したのか、ようやく座りなおす。


「さて、手前の生徒から順番に武器を選んでくれ。欲しい武器が見つからなければ、近くの教員に申し出るように。」


 そう言ってマシューがその場を離れる。

 学園での初めての訓練。そのための準備が始まった。


読んでくださりありがとうございます!

少し遅くなりましたが投稿です。

来週はもしかしたら一回だけかもしれません。メイビー金曜日。


感想やリアクション、評価などくださるとうれしいです!

ぜひよろしくお願いします!!

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