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パニッシャー  作者: 黒川 月夜
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罰を与える者

  第一話 選ばれし者集う


 遠く昔から親を殺されたり、恋人を殺されたり売られてしまったりと自分ではどうにも出来ない弱い立場の人々が全財産のわずかな金子を社に置いて願いを言うと叶えてくれると云われていた。

大体の願いは殺しだった、時間や時が変わってもその集団は人を変え有り続けた。

その血は秘密裏に脈々と受け継がれ今、新しい選ばれし者達が集まる。

とある屋敷の裏口に黒い車が五台着き中から黒い服に身を包んだ少年少女が地下に案内された。

「皆様、お揃いに成りました」

黒いカーテンの裏から黒い服を着た少年が出て来た。

「皆、今日は集まってくれてありがとう、僕は第百代リーダーに成った一ノ瀬光、十五歳宜しく」

そう言って座った。

まだあどけなさが残るが凛々しい少年だった。

「二階堂サキ十二歳」

可愛い顔に頭の良さを感じる少女だった。

「三ツ矢海、十八」

背は高くしかし細身で筋肉質の筋肉質の茶髪の少年だった。

「五条唯人、十歳宜しくお願いします」

十歳とは思えない程の頭の良さ、器用さを持って居た。

「七星彩よ、歳は十六歳」

十六歳とは思えない色気と美貌だった。

自己紹介が終わると次々と座って行った。

「皆様のサポートを致します八木達也、二十歳です」

執事の格好の男が自己紹介した。

優しい微笑みで背の高い男だった。

一条家の優秀な男子が十五歳になった時、他の家から優秀な人材が集められる。

産まれた時から海外で暗殺、ハッキングなど裏の仕事に必要な事を叩き込めれる。

選ばれなかった者は家同士で婚姻をし子孫を残す事に成っていた。

一条家を筆頭に二階堂家、三ツ矢家、五条家、六本木家、七星家、全てをサポートする八木家

危ない仕事が多い中、人が居なく成ると別の者が呼ばれるがやはり戦力が落ちてしまう。

過去、全滅が二回有った、これは一族の汚点に成って居た。

勿論、一条家に産まれても下の子の方が能力が有れば上の子は日本に帰って来て一条家の表の総帥に成る。

「今日は、皆と初めて会うから会食にしたんだ、楽しんで欲しい」

光が言うと皆は食事を始めた。

選ばれる家も有れば選ばれない家も有るその時に一番能力がある子が選ばれる。

そして食事が終わりに近付いて来た時、達也が皆の所に箱とメモを置いて行った。

「皆、箱を開けてくれないか?」

光が言うと皆が箱を開ける、其処にはネックレスが入って居た。

「僕の一存で皆の誕生石を埋め込んだネックレスにしたんだ通信機能も付いて居る」

「光君ありがとう」

彩が言うと光が

「名前は呼び捨てで良いんじゃないかな?どう?」

「俺は構わない」

一番年上の海が了承した。

「それと皆様に配りましたメモの所に明日から行って下さい」

これでも全員大学まで出ている。

「了解、今日はこれで終わり?時差ぼけでちょっとキツイ」

海が言うと達也が

「はい、本日はこれで終了でございます」

と答え皆はまた黒い車に乗りそれそれの家が用意したマンションに帰って行った。

光はそのまま奥の部屋に行きドアをノックした。

「総帥、光です」

「入れ」

中に入ると全ての家を取り仕切る一ノ瀬家の総帥が其処に居た。

「光、お前が見た今回のメンバーはどうだ?」

「はい、今回は今までより年齢に幅が有りますが、年若いサキ、唯人は年齢を感じさせない位の腕が有ると感じました、そして年上の彩、海は頼もしいと感じました、とても良いチームが出来ると思っております」

「そうか、誰一人欠けたことの無いチームは今まで無い、しっかり纏めろそれがリーダーの使命だ」

「わかっております総帥」

そう言って光は一条家に用意されたマンションに帰って行った。

一条家を筆頭に他の家も世界に展開している大企業ばかりだった。

達也は八木家に帰って居た。

「長、達也です」

「達也か入れ」

「失礼致します」

「どうだ光様や他の皆様は?」

「皆、年若いですが立派に自分達の役割を理解し戦えると思って居ます、特に光様はリーダーとしてとても優秀でいらっしゃる」

「各教官が言って居たが、今回のメンバーは最強に成ると、しっかりサポートするように」

「かしこまりました長」

達也もマンションを用意され其処に帰って行った。

各マンションには勿論八木家のメイドと執事が付いて居た。

帰りながら達也は考えていた。

「過去最強、しかし光様も皆様もそれに耐えられる心が有るのか?」

まだ十代に成ったばかりのメンバーも居る、叩き込まれた暗殺家業の全てを覚えてもこれから人と接し耐えられるのか心を病んで居なく成ったメンバーも居た。

次の日皆が集まる地上三階、地下二階のビルに入った。

見た目は探偵事務所に成っており対応は達也がする事に成って居た。

皆が集まるのは三階だった其処には最新の機器が揃えられていた。

「凄いや、これ皆一ノ瀬から?」

「そうで御座いますよ唯人様、此処は一ノ瀬のビルでございます、以前の所は取り潰し売りに出しております」

その顔だけ見ると欲しいおもちゃを見た子供の顔だった。

「流石、世界の一ノ瀬何でも直ぐに揃う」

「さあ、皆、始めようか?」

光の声に全ての電源が入り溜まって居た依頼が出て来たが古いため削除された。

達也は皆にハーブティーはを入れ給仕していた。

成るべく心を落ち着かせる為の達也の優しさだった。

一ノ瀬家の裏に黒い車が止まり裏から中に入って行った者が居た。

「総帥、八木でございます」

「入ってくれ、久しいの八木」

「はい、お久しぶりで御座います、敦也様」

「今回のチームはどう思う?」

「はい、各教官から聞きました所、過去最強の人事だと聞きましたが、サキ様、唯人様はまだ十代前半過酷な暗殺に耐えられる器か?海様、彩様は大丈夫だと思っております、達也の話ですと光様は冷静かつ優しいとの事、リーダーとして束ねられますがその優しさが心を痛めないかと心配しておりました」

総帥は少し微笑みながら

「それなら良い、優しさが無ければ只の殺人集団に成ってしまう」

「しかし総帥、光様は大丈夫なのでしょうか?」

「大丈夫だ、あの子は知って居るやらねばいけない事も、守らねばいけない者も」

「そうですね、選ばれし者のリーダーですから」

八木はそう言って家に帰って行った。

「何だか僕らがやらないといけない事件や依頼は無いね」

「唯人、まだ今は初めて此処に来たんだそんなに直ぐに依頼は無いよ」

「そっか、ちょっと楽しみにしてたんだけどな」

「日本はわりと安全な国だからね」

「でも表面上かもしれないよ?恨みや復讐は時代が変わっても無く成らない」

光が言うと皆が頷いた。

初日は何事も無く終わり皆、マンションに帰って行った。


  第二話 連続女子高生婦女暴行殺人事件


 次の日、皆が集まり電源を入れると依頼が来ていた。

「光、依頼が来ている」

唯人がスクリーンに依頼を出す。

「依頼人は殺された五人の女性の親、依頼金は五千万、内容は犯人を殺してくれ」

「光どうする?」

「多数決で決めるのはどうかな?やる?」

光が聞くと皆が手を挙げた。

「警察はまだ犠牲に成った女性の素性しか分かって居ない」

唯人が警察のシステムに入り込み今分かって居る事を言うと他の皆も情報収集を始めた。

事務所は静まり返りキーボードを叩く音だけがした。

「光、犠牲に成った女性は皆、女子高生でバイトの日に居なく成って殺されている」

色々な防犯カメラを繋げて女性達の行動を確認していく。

「皆、見て、こいつ等だこのカフェで前を通る女の子を物色し可愛い子に付いて行きこの先の公園で拉致してる」

海が物色場所を見つけ出した。

「其処からは車で廃倉庫で婦女暴行、腹を刺して殺し色んな所に放棄している」

海の後はサキが探し当てた。

「皆様、依頼人からの入金確認が取れました」

達也が言うと彩が

「ねえ、手っ取り早く私が囮に成るのはどう?」

「彩?」

「この五人位一人でも行けるけど?」

彩が言うと光が

「なるべく安全を優先したい、だから彩が囮に成るなら僕等は倉庫の隣で待って居る」

「心配性ね光は、でも良いねそれで行こうか?達也、髪の毛黒に染めて」

「かしこまりました、どうぞ奥に」

「別に黒くしなくても?」

海が言うとサキが

「海、ちゃんと見て女の子皆、清楚風」

「ああ成程ね、それで殺し方は腹を刺す方法は同じにしてその後に普通に破棄は無いよね?」

海が言うと、黙って居た唯人が

「此処の公園を抜けると駅までの道、商店街を通るんだ、そのアーチにこいつ等を証拠を付けて吊るすのはどう?」

まさか十歳の男子の言う言葉とは思えなかった。

「唯人中々酷い事考えるけど、良いと思うよ女の子達は裸を見られている同じにしてあげないとね」

光が笑いながら言った。

裏から彩が出て来た。

「どう?やり方決まった?」

「彩マジで?」

海が彩を見て驚いた、何処から見ても清楚系美少女だった。

「決まったよ彩、凄く可愛いね」

光が言うと彩は赤くなりながら

「光ってこんな感じなんだ」

言われた光は首を傾げていた。

「今日からこのカフェの前を通ろうと思うの、前の事件から半月立ってる」

犯行は半月に一度行われていた事を彩は見て直ぐに理解していた。

「彩様、此方の制服を着て下さい、今日からですと倉庫の横に待機した方が良いでしょうか?光様」

「いやいやそれより何で制服あんの?」

海は付いて行けてない様だった、達也は微笑みながら

「一応の物は全て揃っておりますが?」

「恐るべし八木家だね」

サキが笑いながら言う。

皆、兄妹が居る事すら知らされていない、知って居るのは一ノ瀬家の総帥と八木家の者達だけだった。

此処だけ見ると仲の良いクラスメイトの様だった。

裏で着替えて来た彩は本当に奇麗だった、その姿を海はずっと見ていた。

「彩様、お時間です」

「行って来るね」

手を振りながら達也に送られ位置に着き歩きはじめる。

他のメンバーは海が運転し倉庫の横に待機した、その間にも唯人が映像を追いかけていた。

カフェの前を彩が通ると男達は彩の後を付いて行った。

「食いついた」

唯人が言うと緊張感が走ったが、その日は何も無かった。

次の日、事務所でその話に成って居た。

「昨日、後を付けられた気がしたんだけど?」

「うん彩に食いついてたよ」

彩は小さくガッツポーズを作って居た。

そんな彩に海が

「彩が目に入らない訳ない」

と力ずよく言う。

「海、力入り過ぎ」

そう言って皆が笑う、光も微笑みながら

「仕方ないよ、彩もサキも可愛いのだから」

その言葉を聞き彩とサキが赤くなる。

「ねえ、どう育ったらそんなセリフをスラッと言えるの光?」

「えっと、僕は何か悪い事を言ったのかな?ねえ達也」

「いいえ言ってませんよ」

「じゃあ今夜も頑張って歩きましょうか」

そう言って夜に成り彩は出かけて行った。

倉庫横で見ていた皆が驚くほど六人目に成ると手慣れていた、彩の口を塞ぎ担いで車に押し込んだ。

本来ならこの位、彩一人で殺せるが光が心配するので手筈通りに弱い女子高生を演じた。

倉庫のマットに落とされた。

「痛い」

「おい見ろよ、今までで一番上玉だ、楽しもうぜ」

一人が言うと他の四人も歓声を上げていた。

その時、倉庫が暗くなり

「何だ、何が有った?」

灯りが着いた時には皆が居た。

「さあお前達の命で罪を償う時間だ」

光の声で一斉に動く、彩も縛られていたロープを軽く解き回転しながら起き上がり後ろから男の腹を刺し殺した。

「ごめんね私、清楚じゃ無くて」

子供だと思い一人はサキと唯人を狙ったが唯人の足払いで倒れサキに馬乗りにされ腹を刺され死んだ。

「私と唯人じゃまだ子供だよね?」

海から逃げていた男は海に捕まり抱え上げられ頭から落とされ腹を刺されて死んだ。

「俺からは逃げるのかよ」

光にかかって行った男は光の蹴りが顎に当り倒れた所を光に踏みつけられ腹を刺され死んだ。

「君達がしてきた事だよ」

もう一人は逃げようとして走ったが達也がロープを鞭の様に使い足を取られ転んだ所を上から大きなガラスを落し腹に刺さり死んだ。

「仲間を置いて逃げるとはイケませんよ」

殺した男達を商店街のアーチ前に持って行く前に唯人が全ての防犯カメラをジャックしていた。

男達を吊るし証拠を付けて初仕事は終わった。

次の日は大ニュースに成って居た。

皆が事務所に来た時、テレビが付いて居た。

「連続女子高生婦女暴行の犯人達が殺されアーケードに吊るされる」

何処のテレビでもやって居た。

「あら結構ニュースに成って居るね、何がいけないの?」

サキが言うと唯人が

「アーチに吊るすのやり過ぎだったかな?」

「全員が女子高生と同じ様に腹を刺され亡くなって居ました」

キャスターが言う。

「良いんじゃないかな?だってさ女の子達は裸を死んでからも晒されて居たのだから」

彩が髪色を戻してやって来た。

「彩、黒髪辞めたの?」

「海は彩の清楚系にやられた様だね」

光が言うと海は赤くなりそっぽを向いた。

「本日は皆様、お早くお帰り下さい、光様は本家に呼ばれておりますので」

「はーい、でも昨日のじゃ筋肉痛にも成らないわ」

「サキ様、お転婆が過ぎますよ」

達也が笑いながらサキに言った。

皆はマンションに帰り光は一ノ瀬家に呼ばれていた、達也も同じ様に八木家に呼ばれていた。

「総帥、光です」

「入れ」

「失礼します」

中に入ると総帥が居た、その前に座り頭を下げた。

「最初の仕事、随分派手にやったね?」

「はい、やはり女性達が怒っておりましたので、しかしあの吊るすのを考えたのは唯人十歳です」

「ほほう、中々キツイ仕置きをする子だね五条の息子は」

「そうですね、今回初めて皆で仕事をしましたが、良いチームが出来ると思います、総帥」

「そうか、でも油断はするなよ、前回のチームは全滅した私の長男、光の叔父なのだから」

「心得ております、これからもっと色々な仕事を共にこなし絆を強めようと思います」

「何か有ったら言いなさい」

「はい、ありがとうございます総帥」

光は頭を下げて部屋から出てマンションに帰った。

達也も八木家に呼ばれ長の元に居た。

「今回の仕置きは誰が考えたのだ達也?」

「今回は女子高生と云う事で彩様が率先し囮に成りアーチに吊るす事を考えたのは五条唯人様です」

「ほう、まだ十歳だろう?唯人様は」

「はい、皆様、とても素早く考え行動し実行していく様は本当に十代なのかと思う程でした」

「達也、頼むぞ、今回光様を失えば後は居ないのだから」

「はい心得ております、この命に代えましても光様はお守りします」

そう言って達也も自宅マンションに帰って行った。

ニュースは連日続いて居た、警察の対応の遅さが追及されていた。


  第三話 幼女誘拐事件


 初仕事が終わり一週間が経ったが今度は違うニュースをやって居た。

「また一人幼い女の子が行方不明になりました、これで七人目に成ります、元県警の林さんはどう推察しますか?」

テレビを見て居た時だった、サキが

「依頼来てるよ、今出すね、今ニュースでやって居る女の子の親七組から依頼金三百五十万、犯人は警察にだって」

依頼金は六等分し残りは事務所のお金に成る。

「スクリーンをじっと見ていた海が急にパソコンを操作し始めた」

「海、どうしたの?」

彩が聞くと、海は

「行方不明の女の子の顔見て、皆、可愛い」

「まさか?」

「やっぱり有った、最悪だ」

海が吐き捨てる様に言いスクリーンに出した動画は目を覆いたくなる光景だった。

「ちょっと、何よこれ」

彩が言葉を強めて言う。

「会員制の幼女AVだ」

海は頭を抱えながら言った、泣き叫ぶ幼女に大人の男が覆いかぶさりその小さな身体を弄ぶ。

「酷い」

流石の唯人もポツリと言った。

「皆、冷静に女の子達はこの公園で誰かに声を掛けられて車に乗ってる」

サキが言うと皆が一斉に防犯カメラを辿る。

「有った、このビルだ、映像会社に成ってるけど、出入りを見ると男四人」

「光様、病院の個室全部抑えました」

「達也どうして?」

「腕に注射の痕がある娘が二名居ましたので」

「最低、こんな小さな子にこんな事して覚せい剤まで、何て外道なの?殺した方が良いんじゃない?」

「彩、依頼は警察にだ、それを無視したら只の殺人集団に成ってしまう」

光が言うと彩は

「この事を親に言ったらどうなる?」

本気で怒って居た、しかしそれは言わず逮捕の方へと光が決める。

「じゃあ今回は私が行くね、達也、良い制服が有ったらお願い」

「かしこまりましたサキ様」

「サキ、僕が女装するから」

「唯人、バレた時が恐い、私が行く、女の子達が居る部屋に入れたら皆に助けが来るって伝えて混乱させない様にしておくわ、光がくれた通信機付ネックレスで何処に居るか伝えるから」

「それでは海様、海様と私は少女達を車に運び私はそのまま八木病院に直行致します」

「良いよ、二台で行こう」

「唯人、この会員全部のリストを付けよう、そして映像は消去して、出来る?」

サキの言葉に唯人は笑いながら

「出来ないとでも?」

サキは唯人に微笑み返した。

「サキ様、制服はこれで宜しいでしょうか?」

「うん、ありがとう達也」

「決行はいつにする?」

光が聞くとサキは笑いながら

「丁度良い時間じゃない?達也送って行って」

「かしこまりました、皆様も同乗して頂きますが宜しいですか?」

「良いよ、早く助けられた方が良いから」

「じゃあ俺は違う車で付いて行く」

海が言うと皆が準備を始めた、そして唯人がノートパソコンを手にしていた。

女の子達が連れ去られた公園に着いてサキが車から降り公園に入って行った。

他のメンバーは海の車に乗り換えて万全にしていた。

早速サキの方に行く男が居るのを確認した。

「彼奴早いなサキに目付けるの」

「サキも可愛いから仕方ないよ」

光が言うと海が少しため息を付いた。

「ねえ君、凄く可愛いねモデルの仕事しないかい?」

「でも両親に聞かないと決められない」

「じゃあお兄さんと少しだけお話して両親に言って貰えるかな?」

「どうしよう?」

「パフェ食べながら聞いててくれれば良いから」

「本当?」

騙された振りをしてサキは男に付いて行くと車に乗った。

「お兄さん、お店無いよ?」

男は無言でビルに車を付けサキを抱えて入って行った。

「いや~」

サキが叫ぶと男はサキを平手打ちし黙らせる、そして三階建ての二階の部屋に入れた。

「今日は凄く可愛い子攫って来たから今までで一番売れるぞ」

「マジかよ、楽しみだな、祝杯だな」

少し経ってから音声が聞こえて来た。

「光、聞こえる?」

「うん聞こえてるサキ何処に居る?」

「二階の一番奥の部屋、外から鍵が掛かって居る、女の子七人全員居る」

「了解、行くよ」

ビルの入り口には五台の監視カメラが付いて居たが唯人がジャックして居て何も映って居ない。

「皆、今から助けが来るから静かにして置いてね」

女の子達は頷いた。

コッソリ中に入り唯人が器用に鍵を開けた。

そのまま海と達也を置いて四人が上に行く、海と達也は女の子達に毛布やカーテンを巻き車に運ぶ。

サキに云われていたからか女の子達は泣くのを我慢して海と達也に抱えられ車に乗った。

「達也、このまま病院へ」

「かしこまりました」

そう言って達也は病院に向かった。

五人は三階に向かいドアを蹴破った。

「何だお前ら」

全員仮面を被って居た、警察に出すのだ顔がバレる事を防ぐためだった。

「さあお前達、罪を償う時間だ」

光が言うと一斉に男達に掛かって行った。

サキは飛び蹴りし相手を倒した、すかさず唯人がロープで縛る。

「さっきぶったでしょ?痛かったわよ」

彩は近くに有った木刀で腹を突き前屈みに成った所を光が後頭部に踵落としして失神させロープで縛る。

「弱すぎる」

海はタックルし男を倒しそのまま縛る、最後の一人は逃げようとして階段から落ちて行ったが連れ戻され縛り上げられた。

「逃げるって何してんのお前」

証拠を残し、買った者のリストも付けて置き帰りにボイスチェンジャーを使い通報した。

帰りの道で警察車両とすれ違った。

事務所に帰ると達也が帰って来ていた。

「皆様、お疲れさまでした」

そう言ってハーブティーを入れていた。

「少女達の事は病院に任せれば大丈夫だと思います」

「でも、あんな事が有ったら忘れる事なんて出来ない」

彩が言うと達也が

「催眠療法が出来る医師もおりますので、あの悪夢を忘れさせる事は出来ます」

「本当に?」

サキが達也を見て言うと達也は頷いた。

「サキ、データはもう消したから警察に有るやつだけだよ」

「唯人ありがとう、達也もありがとう、あんなに心と身体に傷を付けた奴らは本当に許せない、でも、依頼通りにしないといけない、私は殺したかった」

サキが本音を言った、サキの頭を撫でながら光は

「皆が同じ気持ちだよ、許されるなら、殺して良いなら皆、殺したかったと思って居た」

その後、児童ポルノ所持で続々と捕まって行った。

警察は八木病院に聞き込みに来たが、此処は八木家の者しかおらず誰が連れて来たのか分からないと繰り返すばかりだった。

依頼した親達は警察の問いかけには答えなかった、警察の行動の遅さに睨んで

「警察は何もしてくれない」

と言い警察は二回連続で面目丸潰れだった。

「でもさ、警察に突き出したけど、結局早く出てきてしまうか、執行猶予が付くんでしょ?」

彩が不満気に言うと達也が

「彩様、その辺は弁護士が居りますので任せて頂ければ」

「まさか、弁護士も八木家?」

「はい、八木の者が弁護士をしております、チームを組んで罪を重ね今出来る一番重い刑にすると言っておりました」

それを聞いた海が

「八木家は本当にサポートの為に色んな職業の人が居るね」

「そうですね、そうしないと皆様のサポートは出来ません、長い時間をかけ、どんなサポートが必要かその職業が必要かを考え増えています」

達也はそう言いながら皆にハーブティーを入れていた。


  第四話 落とされた女性達


 皆、毎朝九時頃に事務所に通勤して来ていた、それに合わせ達也はハーブティーの用意する。

「皆様、おはようございます」

お茶を配りながら個々に言って行く。

皆は、依頼が来ていないか、依頼を受けるかを考えている。

「光、依頼が来ている、今出すね」

唯人が言いながらスクリーンに映し出す。

「依頼人は女性十人、ホストで掛けをして払えず風俗に連れて行かれる、依頼金は百万、依頼内容は殺しだね」

「皆、どうする?」

「でも自分で行って掛けで呑んで払えないから風俗に行ったんでしょ?自業自得だと思うけど?」

彩が冷静に言うと、唯人が補足する。

「何だか数名のホストと風俗店が繋がっているみたいだよ、女性は店に軟禁」

「ちょっと考える事にしないかい?達也、女性が居る店に行って詳しい話を聞けるかな?」

「かしこまりました」

「達也、じゃあこれを出来たら付けて来て欲しい、カウンター付近と女性が軟禁されている部屋」

「出来るだけやってみます」

「ホストには私が行こうか?」

彩が言うと皆が彩を見る

「だってそのホストが何人居るのか、どうやって女性を口説いて居るのかによって仕事するか決めないとでしょ?」

「そうだね、唯人返事して置いてくれるかい?」

「了解」

「じゃあ俺、ホストとして店に潜り込む」

海が言うと光が頷き

「その方が彩も危険が少ないし、内情が分かり易いね」

「では海様、此方にスーツを出して置きます、彩様裏に」

テキパキと動く達也を見て

「達也って何者なんだろうね?こっちが必要な物や準備が完璧なんだよね、幾ら八木家の者とは云え仕事出来過ぎじゃない?」

珍しく唯人が他の人の事を気にした。

「唯人様、この位出来ないと皆様のサポートは出来ませんよ」

達也が裏から出て来た、彩は今度の髪型がカールをしていて大人びた感じに成って居た。

「彩、髪型で変わるね、飲みに行っても大丈夫だ」

光が言って居ると今度は裏から海が出て来た。

「うわっ海、そう云うスーツに会うね、髪色も変えなくてもホストだわ」

彩が言うと海はちょっと嬉しそうだった。

「海は背が高くて細身に見えても筋肉が凄いからモテるよ」

「光は褒め上手だな」

海は照れていた。

夜になり先ずは達也が女性の居る店に行き何処のホストクラブかを聞いてから海が面接、彩は海が受かったら客として来店する手はずに成って居た。

サキ・唯人・光は事務所で待機に成った。

依頼をしてきたのは真美と云う女性、達也は店に入った。

「ご指名は御座いますか?」

「初めてなので写真か何か有りますか?」

「此方が今居る女の子の写真です、下に名前が入って居ます」

慣れていない様に演技をしながら

「この真美さんお願いします」

「かしこまりました、少しお待ちください」

暫く待つとボーイが来てどうぞと部屋に案内する、待って居る間に盗聴器をカウンターの下に取り付けた。

部屋に入ると元気良く

「ご指名ありがとうございます真美です」

ボーイがドアを閉めカウンターに戻って行く足音が聞こえた。

部屋に盗聴器が有るかもしれないと見たが無かった為、達也は

「ご依頼頂いた者です」

と言うと真美は涙ぐみ

「ありがとうございます」

「すいませんが、真美さんや此処に居る皆さんが行って居たホストクラブは同じですか?」

「はい、同じです、クラブプリンスです」

ネックレスは達也も持って居た、直ぐに海に

「クラブプリンスです」

その声は彩や皆にも聞こえていた。

「すいませんが女性達の待機している部屋に行く事は可能ですか?」

「はい、静かに動きます」

真美に着いて行くと狭い部屋に九人の女性が居た。

人差し指を唇に立てて当て中に入ろうとした時、唯人から

「達也待って、中にカメラが有る今違う映像流すから三数えて付けて」

「了解です」

唯との指示を受け防犯カメラに違う物を付ける、そしてまた部屋に戻って行った。

「皆さんはどうして此処に?」

「払えないと言って居たのですが、無理やり高い酒など入れられ此処に売られました、払い終えるまで此処から出られない、しかも食事代等を引かれるのでホストに支払っているお金は少ないと思います」

「この店の人が支払っているのですか?」

「はい」

海はプリンスに電話し面接の運びに成った、勿論、合格だった。

「達也、結構ホスト居るけど誰?それとも全員?」

海が聞いて来た、達也はそのまま真美に聞くと真美は

「ナンバー5までです」

その事を海に伝える。

「皆、此処に入れられて話をしたらナンバー5までだと分かりました」

聞いてから考える事に成って居たが話が変わって来た。

「達也、そのまま真美さん達に受けると伝えて」

「真美さん、ご依頼お受けします」

達也が言うと真美はまた待機の部屋に行き現金を持って来た。

「内緒で皆で貯めました、お願いします」

「泣かないで下さい、バレますからもう少しだけ我慢して居て下さいね」

真美は頷いた。

「ありがとうございました」

真美に見送られ達也の仕事は終わった。

その頃、海はホストとして働いて居た所、彩がやって来た。

そして彩は海を指名した。

「どうよ海?」

「少しナンバー5までの人に着いたけど本性出してないな」

「仕掛ける?」

「彩、何するの?」

「良いから、海ボーイ呼んで」

海がボーイを呼ぶ

「何にしますか?」

「ピンクのドンペリでシャンパンタワーを海に」

「今日入った子ですよ?良いんですか?」

「ええ彼が気に入ったの」

マイクパフォーマンスが始まった。

「彩姫から海王子にピンドンタワー頂きました~」

「彩姫ありがとう~」

全員で周りに来て言う。

ナンバー5までが来ていたが直ぐに自分の客の所に帰って行った。

そして何かねだって居た。

隣の席はナンバースリーで話が聞こえて来た。

「新人にピンドンタワーやられたんだ、俺の為にやってくれよ、彼女のお前にしか頼めない」

「無理、もうお金無いもの」

「掛けで良いから」

「今日はもう帰るね海、ナンバーに着いて調べて」

「分かった」

会計は達也に渡されていたプラチナカードで払って帰って行った。

報告は次の日に成り、朝、皆が来た時から会議が始まった。

「海、朝まで大変だったよね?大丈夫?」

「ああ、少し眠いけど大丈夫、昨日ナンバー5まで全部着いたけどやっぱり彩が仕掛けた時以外は普通だったよ」

「彩何をしたんだ?」

光が心配そうな顔で彩を見た。

「どうやって客を沈めて居るのか知りたくてピンドンタワーしたのよ、海に」

「やる事派手過ぎでしょ彩は」

サキが言うと海が

「でもその時、直ぐに自分の客の所に行ってねだってた、高い酒入れる様に、客が無理って言うと彼女のお前にしか頼めないとか言ってた、彩が帰った後も客同士で競わせて居たな」

「女性達でしたがチップで貰った金を皆で貯めて依頼して来ました、彼女達は無理だと払えないと言っても聞いてくれなくて高い酒を掛けで入れさせられ、本当に払えなく成ったらあの店に連れて行かれたと聞きました」

「達也が付けてくれた防犯カメラで見てたんだけど、女性達は嫌がると暴力が待って居るねあの店」

「本当に最低だわ、最初は自業自得と思って居たけど変わったわ気持ち」

彩が怒り始めた、達也が胸に手を当てて

「私事ですが、女性達は客からも嫌な事をされています、私はどうしても許せない気持ちに成りました」

「達也が怒るとはこれは問題だね?さて、いつ決行しようか?一気に行くと二手に分かれた方が良い、車は達也と海、僕等も運転出来るけど捕まるからね」

「そうだな、でも、ホストは人数少なくても大丈夫酔ってるから」

「店内を知ってる海と彩で良い?」

「勿論、殺して良いんでしょ?店長もボーイもグルだと思うの」

「そうだねでも二人で大丈夫、そっちは女の子も居るから、車どうする達也」

海が聞くと普通に

「バスがありますから大丈夫です」

と、達也は答えた。

「大型二種免許も有って、バスも有るのかこの事務所は」

海が頭を掻きながら呆れていた。

「今日は最後の方に飲みに行くわ、そうすればそのままヤレルでしょ海?」

「良いね、彩の案でこっちは行く」

海と彩組はやり方が決まった。

「光様、此方は如何しますか?サキ様と唯人様が女性達をバスに乗せたら光様と私に合流にしますか?」

「いいや、サキが女性達をバスに僕は光達と行く、その方が女性が安心する」

「でも見知らぬ子供が行くより面識が有る達也が行った方が女性が安心するんじゃ無いかな?」

サキが違う案を出した。

「じゃあ女性は達也にお願いするよ」

「かしこまりました」

少し時間を空けて光が

「決行は今日から明日に変わる時間に一気に行く、良いね皆」

全員が頷いた。

そして時間に成り皆が動き始める、海は店に出ていた、彩が呑みに来ていた。

「お客様、閉店の時間に成ります」

ナンバー5まで居た、客は彩だけ海とアイコンタクトで動く。

「さあ、お前達の命で罪を償う時間だ」

そう云って素早く彩は奥に行きボーイが片付けていた果物ナイフで首を斬る。

そのまま店長と他の店員を切り殺していく、海は力技で首の骨を折り次に行く。

彩が加わり皆殺しにし車に乗り事務所に帰って行く、勿論、防犯カメラのデータは復元が出来ない。

光達は女性達が居る店に入って行く

「何だお前ら」

そう云って店中の男達が出て来た、達也はすり抜けて置くの女性の居る部屋に行きドアをけ破り

「お待たせ致しました、外にバスが有りますので着替えて乗って下さい」

開かない様に成って居た大きな扉を壊すとバスの入り口に成って居た。

「さあお前達の命で罪を償う時間だ」

サキと光は刃物を持って入った、切り殺していく、唯人は刀で切って行くそして防犯カメラを壊しデータを待ちだす。

「これで全員殺しました?」

「うんもう居ないよ、女性達もバスに皆乗ってる」

「帰ろう」

店には証拠品を置き帰る、途中で女性達を降ろすと皆バスが見えなくなるまで頭を下げていた。

事務所に帰って来てから達也が

「皆様、本日は朝に成ってしまいましたのでお仕事はお休みしましょう、ゆっくり休んで下さい」

「そうだ達也、これ店の金庫から持って来た」

悪びれずに彩が一千万を出した。

「それって強盗じゃ無いか?」

「違うわよ、絵の後ろに金庫が有ったの、イケないお金でしょ?普通の金庫には手付けて無いもん」

「ありがとうございます、分けて入金しておきますね」

そう言って解散に成った、皆、疲れている様だった。

体力の問題では無く時間が遅かった為だった。

そしてまた大ニュースに成って居た、問題のホストがとテレビでやって居た。


  第五話 連続少年殺人事件


 「依頼が来てるよ皆」

サキが言いながらスクリーンに出し始めた。

「連続少年殺人、依頼人は殺された四人の親、依頼金は二千万円、内容は殺して欲しい」

「へえ、十五、六位の美少年だね」

彩が言いながら殺された日や遺体が有った場所などを警察のデータを覗き見する。

「殺された少年は二つの学校だね、二つとも頭が良い学校だ」

海が言いながら有る事に気が付いた。

「皆、見て少年が居なく成る前の日の動画、女が二人全部に映ってる」

拡大してスクリーンに出す。

「彩、警察はどの位まで調べている?」

光が聞くと彩が

「まだ、殺された男子だけ、今は聞き込み中」

「分かったよ」

唯人がスクリーンに映し出す。

「女、二人は三十代で、ネットで知り合っている、美少年愛好家だね、連れ去って弄び殺している」

「はあ?」

サキが変な声を出した。

「犯行現場が分かったよ」

唯人が言いながらスクリーンに出す。

「民家?片方の女の実家だね、今は誰も住んで居ない周りに防犯カメラも無いけど、この家だけ防犯カメラが付いてる、其処に少年を連れ込んで居るのが映って居た」

「じゃあ年齢的に僕が行くよ」

光が言うと達也が止めようとするが

「達也、僕は皆を危険に晒して居る、僕だけ安全な所には居られない、僕が居なく成ったら駄目なんだろうけど僕は皆を信じてる、だから行くよ」

ハッキリと言い切り皆は嬉しそうな顔をした。

「かしこまりました、光様には此方の制服でお願いします」

「女が現れるのは水曜日、木曜日に犯行を犯して居る、明日だよ光」

サキが言うと光は頷いた。

達也はその後、光に何か無いように用意を万全にしていた。

その日は光だけ早く帰らせた、そんな達也が気に成って光以外は事務所に残って居た。

「達也、俺達に何か言って置く事が有るんだろ?」

海が聞くと達也は頭を下げた。

「皆様に察知されてしまうとはマダマダ私は駄目ですね、申し訳ありません」

「良いよ達也、光はもう帰ったんだから私達には言って」

彩が言うと達也はため息を付きながら

「今回、一ノ瀬家には三兄妹居ます、光様のお兄様と妹君です、光様が選ばれたと成ると今回、リーダーの代わりが居りません」

「それで気にして居たのね?私達にはスペアが居るけど光は妹だからスペアが居ない、だから危険に晒したくないって事だね」

サキが言うと達也は頷きまた頭を下げた。

「皆様にとても失礼な事です、申し訳ございません」

他の皆は笑いながら、そして海が

「ちょっとそこの執事さん、俺達の事侮って居るのかい?心配は要らない、俺達は死んでもスペアが居るだから出来る事が有る、光の事は死なせないよ、達也も同じだろ?命に代えても守るんだろ?」

「はい、この命に代えましても」

「達也、肩の力抜いて、達也が凄い執事だって、チームメンバーだって知って居るだから一人で抱え込まないで達也だって居ないといけない人なんだから」

一番年下の唯人が言うと皆が笑った。

「ありがとうございます、私、このメンバーに成れて嬉しいです」

「さあ、帰ろう、明日からは集中しないとね達也」

達也の腰を叩いてサキが出口に行く。

皆はマンションに帰って行ったが達也は八木家に行って居た。

「長、達也です」

「入れ」

ドアを開けて中に入ると八木家の長は

「何を悩んで居る?」

「長、今回の囮は光様がやると言って聞かず、考え込んで居ましたら、他のメンバーの方々が自分達にはスペアが居るからと言って下さりまして、私は何と愚か者なのかと」

「今回は初めてこんなに歳の差が有るチームだ、幼い二人に光様の上には二人居る、しかし今回は最強のチームだ達也、皆様は大丈夫だ、お前が信じずどうする?こんな事で死んで居たら全滅するだけだ、前回のチームの様に」

「長、申し訳ございません、光様だけはと考えすぎておりました、過去最強に恥じないサポートを致します」

お辞儀をして自宅マンションに帰って行った。

次の日に成りいつもの様に皆が事務所に来る。

光が来た時だった、光は達也に向かい

「達也、僕のスペアが居ないからって甘やかす様な事をしないでくれ、僕はこのメンバーのリーダーだ、皆が居れば、達也も居れば僕は死なない、良いね?」

「はい、申し訳ございません私は皆様を信じております、そしてその一員に成れた事を誇りに思っております」

スッキリした顔で言い切った。

「やっとチームが纏まったな光」

海が光の方に手を置き嬉しそうに言った。

「今日は皆様の好きなドリンクを入れました」

そう言ってそれぞれにドリンクを渡す。

皆は光が帰った後、達也と話をした事を言って居ないが、光は察知していた。

そして時間が来た。

「達也、学校まで送って行って、皆、行こうそして宜しく」

「了解リーダー」

今回の事が有ってから皆の空気が変わった、慣れ合いじゃない、信頼し合っていた。

光が車から降り校門の前に行き帰る振りをして歩き始めた。

すると女に二人組が光に目を付けた。

「やっぱり、光はカッコイイから目に入るよね」

「俺でも良かったんじゃない?」

海が言うと彩が

「海は背が高すぎ、イケメンだけど彼女たちが求めているのは光の様な美少年」

そして偵察が終わったのか女達は帰って行った、明日の為に。

光が車に乗り

「どうだった?」

「美少年の光が目に入らない訳ない、ゲットしてたわよ彼女たちの目線を」

彩が言うと光はちょっと恥ずかしそうだった。

次の日もその場所に行き帰る振りをして歩いて居ると車が急に光の隣に止まり後ろのドアから光を引っ張り入れる、結構な力だった。

「来た、達也、行くよ」

調べて有った家に車が入って行った、唯人がノートパソコンで防犯カメラを操作する。

「カメラオッケーだよ」

光は女二人に抑えられベッドに倒されて手を縛られていた。

「どうしてこんな事するんですか?」

「君が美少年だから、お姉さん達と遊びましょう?」

そう云ってワイシャツのボタンをはずしていく。

「止めて下さい」

「無理よ」

その時だった、こっそり扉の鍵を開け中に入って居た皆がドアを蹴破った。

「何、誰?」

スルリと縄を解き光が

「さあ、お前達の命で罪を償う時間だ」

その声で彩とサキが動く

サキがベッドを使い飛び跳ねて後頭部に蹴りを入れると女は倒れそのまま海が首を締め上げた。

彩は女の腹に膝蹴りを入れ九の字に成った所を両足を首に巻き付けそのまま首を折った。

証拠を残して帰る時、光が死んだ二人を見て

「生まれ変わったら今度は幸せな人生を」

と言って出て行った。

その証拠は警察にも届けられ警察がアジトの家に行くと二人は死んでいたのを発見された。

事件を終えるといつも大ニュースに成って居た。

「光、あの二人の女性の事可哀相とか思ってるんでしょ?」

彩が言うと光は頷く

「でも、依頼だからね、最後に優しい言葉言ってたね、大丈夫、次生まれ変わったら幸せな人生だよ」

「彩、有難う」


  第六話 連続男子高生ひき逃げ事件


 「私、日本って安全な国だと思ってたのね、でもそうでも無いんだなって思った」

「どうしたの彩行き成り?」

「だって結構依頼有るからさ」

「はい、彩、依頼来た、日本は安全な国じゃないみたいだ」

海がスクリーンに依頼を出しながら言う

「連続で男子高生がひき逃げされている、今まで六人、依頼人は親達で依頼金は三千万円、内容は殺して欲しい」

「この男の子達はSNSやってて彼女との写真上げてて、メッセージが来ているんだ、その女と別れてって断ると次の日にはひかれている」

唯人が調べた事を言うと今度はサキが

「車の色は皆違うけど車種が同じ、それでこの自動車工場に持ち込んで居る、スモークが張って有るから分からないけど、唯人が調べた人と同じ人が運転なら女」

「この工場をやって居るのは佐竹って男で金さえ払えば何でもする男だね、逮捕歴あり」

彩が言う。

「ちょっと見て上げてた写真」

唯人がスクリーンに写真を出すと、爽やかなイケメン高校生と可愛い彼女が笑顔で映って居た。

「達也、俺の髪、黒くして」

「かしこまりました」

「海どうしたの?」

「高校生だったら俺だろ?」

「達也の方が爽やかだけど?」

サキが突っ込みを入れると達也は困り顔で

「私が制服を着たらコスプレに成りますが?」

「でも分からないと思うよ達也、年齢不詳の所有るから」

「光と彩も良いよね?」

唯人が言うと海は不満気に裏に行った、暫くすると裏から海が出て来た。

「嘘、海まさかの爽やか系に成ってる」

皆が驚いて居た。

「彼女役は彩良い?」

「勿論」

「ではお二人はこの制服を着て下さい、そして屋上へ」

海と彩は着替えを済ませ屋上に行くと其処は

「うわあ素敵、花畑に成ってる、達也が?」

「はい、何かに使えるかと思いまして良かったです」

「じゃあ彩、近付いて付き合ってる様に自撮りしよう」

撮った写真を唯人が用意して置いたSNSにアップする。

「本当に海と彩付き合ってるみたい」

「良いね、早速上げるよ」

すると直ぐにメッセージが届く

「その女と別れて私と付き合ってって来た、彼女の事が好きなので別れません」

と返すと直ぐに

「殺すって来たけど?」

「明日、何か有るね」

光が言った、そして光が続けて調べ上げた事を伝えた。

「彼女は一年前、好きだった男の子に告白した、その男の子には彼女が居たんだ、それを知らずに告白をして彼女が告白内容を学校中に言いふらし彼氏と苛めを始めた、学校に行けなくなり告白した男の子に似た生徒をひき殺す様に成った、理由は可哀相だけど依頼者は殺された男の子の親達だ、関係無い生徒を殺してはいけない」

海は少し何かを考えていた。

そして次の日の帰り彩と仲の良い恋人同士の様に一緒に歩いて帰る振りをした。

途中から車が近付いて来たのを察知した、その車は急加速して来た。

「彩、危ない」

海は彩を壁に押し付けて守る、海ギリギリを車が通って行った。

直ぐに達也の車に乗り後を追いかけるとやはり自動車工場に入って行った。

佐竹はまだ居なかった、車を降り工場のドアを開けると女の子が居た。

「何よあんた達」

「さあ、お前の命で罪を償う時間だ」

光のその言葉に海が反応し走り出して少女の首にロープを巻きそのロープを天井の鉄筋に掛けそのまま後ろから引いた。

海の行動の速さに驚いて居ると海の殺し方は見ようによっては自殺した様な感じに成って居た。

何も言わず光は少女の下に証拠を残して海の背中を押しながら車に戻った。

「ごめん皆、俺勝手な事して」

海は下を向いて頭を抱えていた。

「可哀相だったんだよね海?今度産まれたらきっと幸せな、彼女を大切にしてくれる人と出会うよきっと」

光が言うと皆は海の背中や頭を撫でた。

「私、正直、海が恐かった、でも海は優しい人で良かったもう怖く無い」

サキが言うと唯人が

「まあ海だから良かったよ僕は好きだよ優しい海が」

「悪い」

彩は何も言わずに海にハンカチを渡した。

依頼とは言え後味の悪い事件に成ってしまった。

海の心をかき乱す様な事件だった。

「海ごめん、僕が仕事前にあんな事を教えなければ海の心をかき乱す事に成ってしまった」

「光のせいでも、海が悪い訳でも無い、本当に殺したく成る事件は少ないと思う」

唯人が言って窓の外を見ていた。



  第七話 振り込め詐欺


 やっとあの事件から気持ちの整理が着いた頃だった。

「依頼が来てるよ、依頼人は二十人の老人達、依頼金は二百万、依頼内容は犯人を警察にだって」

サキが言うと彩が首を傾げ

「まさか振り込め詐欺か何か?」

「彩、当り」

「さあ調べよう、これは情報戦だ」

光が言うと皆一斉に情報を集め始めた、同じグループに騙されたのか?

「振り込んだ口座は皆違うね」

彩が言うと唯人が

「おろしに来たのも違う奴だ」

コンビニの防犯カメラを見ながら言う。

「そいつらをカメラで繋げよう」

光が言うと皆無言んで降ろした奴が何処へ向かうのか、何処に振り込むのかを防犯カメラを繋げていく

「分からない様に色んな口座に振り込んでまた違う奴がおろしに来る、無限ループだ」

海がイライラしながら言うと、お金を送った人のメモの住所に行った男を見つけた。

その男を今度は追いかけて行く。

「見つけた、此処に入って行った」

其処は金融会社だった。

「表向きは金融会社で裏で振り込めをやって居るんだね、きっと普通の金融会社じゃ無いね」

光も追いかけながら言う。

「未来金融、従業員三十人、ブラック歓迎って有るからきっと返せない奴等が出し子やって居るかバイトか?」

彩が会社の事を調べていた。

「これは警察にだよね?だったらこのまま今の情報で行けない?」

サキが提案すると唯人が

「まだ足りない、通帳や指示した証拠が無い」

「出し子は全部で十人、この事務所に帰って行ったのは三人、他はバイトだと思う」

光が言うと海が

「じゃあこの事務所に行けば証拠が有るのでは?」

「そうだね、行こうか?」

「夜九時にはに皆帰るから其処から調べに行く?」

「達也、夜に車の用意お願い」

達也も急ぎ用意を始めた。

そして夜に成り皆で詐欺師の事務所に向かった、事務所は真っ暗に成って居た。

「今、防犯カメラジャックするから待ってて、オッケー」

唯人が言うと皆で事務所の鍵を開けて中に入る。

「凄い量の通帳、スマホも凄いな」

光が驚きながら言うと彩が手招きしている行って見ると

「リスト、これが有れば大丈夫じゃない?」

「どうする、これを皆持って帰って、警察に出す?それとも写真撮って送る?」

「動画にしよう、そうすれば中に有る物、事務所が分かる」

「スマホしか無いけど?」

「私持って参りました、ボイスチェンジャーを使って説明を入れて行くのは如何ですか?」

達也が皆に言うと達也の案で決まった。

撮影を開始した、ビルの外から段々中に入り事務所のドアを開ける、沢山のスマホを映しトークスクリプトも映す、そして大量の通帳、金庫の中、成績が書いて有るホワイトボードも撮影した。

取り終わると警察近くまで行く、近くに居た男性にお金を払い警察に出す様に頼んだ。

その日はそのまま解散に成った。

肝心なのは明日、警察がどう動くかに掛かって来る。

次の日、事務所に集まり警察の無線やデータを見ると警察は動いて居た。

詐欺師の事務所は元に戻して置いた、気が付かれて居ない。

何十人もの警官が事務所に入って行く、そして隠し場所はもう映像でバレているそこを刑事が迷いなく開けて行く合計三十人もの人が捕まって行った。

「此処で緊急ニュースでです、大規模な振り込め詐欺グループが逮捕されました。三十人もの掛け子やグループのまとめ役が警察により逮捕されました」

「警察がこんなに早く動くとは思わなかった、でもこれで良いんだよね?」

「良いと思うよ」

そんな話をしていた、その頃刑事たちは

「今回の映像を提供して来た人は何なんでしょうね麻生先輩」

「さあな、しかし映像通りの場所にちゃんと有った、誰かが逃げたくて撮ったとか?」

「もしかしたら奴等かもしれないな」

「何です奴等って森先輩」

「昔から居る復讐をする集団が居るって聞いた事が有る、依頼内容が殺人なら殺す、前に違う地区で幼女の誘拐が有った時も女の子皆が病院に居た事が有った、誰が助けたのか言わなかったって聞いた」

「初めて聞きました」

「俺も先輩に聞いただけだ、行き成り出て来て行き成り居なく成る、謎ばかりの集団らしい」

「達也、今回の裁判も八木の人がやるの?」

「いいえやりません他の弁護士達が集まって訴訟するでしょう」

「お爺ちゃんやお祖母ちゃんに少しでもお金が返ると良いんだけどね」


  第八話 騙された子連れ風俗嬢事件


 「日本って振り込め詐欺多いよね?」

「そうだね、海外ではありえないと思うよ」

「人が良いのか、家族思いなのか?」

海と彩が話をしていると唯人が

「依頼来ているよ」

と声を掛けた、スクリーンに出しながら説明する。

「依頼はお金を騙し取られてしまった二人の女性から、依頼金は四十万円、依頼内容は殺してお金を返して欲しい」

「騙し取られたって振込詐欺?」

「違うよ、子供が居る風俗嬢の二人、夢が自分のお店を持つ事だった、二階が自宅で一階が店ってやつね、良い物件が安く有るって聞いて不動産屋に行って懸命に働いたお金を払ったら不動産屋と紹介した男が居なく成った後、二人共物件が同じでその場に行ったら他の人の店だった、二人で会って話し合って依頼して来たの」

サキが言うと少し間が空いた。

「結局、幾らやられたの?」

彩が聞くと今度は光が

「二人共、三千万円づつだね」

「あらら結構な額、折角貯めたのに子供も居るのに人の夢を何だと思って居るのよ」

「話を持って来た男はこの風俗を使って居る、名前は偽名だね電話番号だけは分かったよ」

海が店のデータをハッキングして情報を得る。

「不動産屋の番号ももう使って無いね、でも使っていた時の名前分かったよ」

唯人が携帯会社のデータを調べる。

「でも不動産屋は有ったんでしょ?店舗が」

「そうすると人数はもっと居るよね?」

彩が言うとサキが聞く。

「店舗が有った場所はレンタルスペースだった、確認が必要だからきっとこれは本名、髙橋昇」

「風俗に行って居た男は番号から三上洋治」

「後、店には三人居たらしいけど分からないな」

海が調べても店の従業員の名前が分からない。

「有った、髙橋のマンションに良く来て居る男が四人居る」

彩が髙橋のマンションの防犯カメラのデータを見て言った。

「彩、そいつらは何曜日に集まってるとか有る?」

「無いね、殆ど居る」

「じゃあそのマンションに行けば五人居るんだね?」

光が言うと、皆が光を見た。

「お金はマンションの名義人で住んで居る髙橋が殆ど持って居る、他の奴はバイト代位しか貰って無いみたいだ」

「三千万も取られたら何とかして四十万が限界だよね?」

唯人が言うと海がため息を付きながら

「どうする光、金を取り戻さないと行けない」

「唯人、ネットでお金を移動出来る?」

「出来るよ、でも、お金が無くなったのが直ぐにバレてしまう」

「それじゃ唯人が車の中で現金を移動している時に襲撃するのはどう?私が防犯カメラと、オートロックを外すから」

サキが案を出すと他のメンバーが顔を見合わせ

「それで行こうか?達也、サキにもノートパソコンを用意して、男五人なら僕等だけで殺せる」

光が決断した。

「かしこまりました」

「襲撃は今日、男がまた獲物を探す前にやる、海、彩、達也良い?」

三人は頷いた、サキはノートパソコンを受け取り

「サキ、僕等はタイミングを見てやらないと」

「唯人、サキがオートロックを解除し中に入る前に通信する」

「分かったよ光」

犯人と思える奴らが居るマンションに昼間のうちに行く。

サキがオートロックを操作しドアが開き皆で入って行く。

部屋の鍵を達也が静かに開けると光が唯人に合図する。

「送金終わったよ」

中ではスマホに送金の連絡が来たのか騒いでいた、中に入って行くと

「何だよ、何で入って来れらるんだよ、誰なんだよ」

五人の男が皆いた。

「お前達の命で罪を償う時間だ」

五対四の戦い何て遊んで居る様な感覚だったが、騒がれない様にしないと周りの家に気が付かれてしまう。

現場の居る女の子は彩だけだ、男達は彩の元に来た。

「女だからってこんな時だけモテても困るわ」

彩はバク転をしながら男の顎を蹴り上げた、倒れた男に馬乗りになり口に有ったタオルを押し込めてその場に有ったナイフで首を切り殺す。

次に狙われるのは二人より小さな光だった、光はテーブルに飛び乗り素早く後頭部を蹴り倒し背中に乗りそのままポケットの中に有った紐で首を絞めて殺した。

「僕もこう云う時だけモテるな」

海は逃げ様としていた男二人の首根っこを持ち二人をぶつけて倒れた二人を手早くフォークで首を刺して殺した。

「何で俺だけいつも逃げ様とするんだよ、腹が立つ」

最後にひたすら逃げようとしていた男が達也にぶつかったが達也は腕を出して居て男の首が丁度達也の腕に引っ掛かりそのまま首を締め上げられ死んだ。

「どうしていつも逃げようとする奴が居るんでしょうね?」

唯人が用意して置いてくれた証拠を残しマンションを出て車に乗り込んだ。

「はい、防犯カメラ解除」

サキが言うと唯人が

「勝手に決められないから事務所に帰ったら金額決めてね」

と言った、そのまま事務所に帰り唯人が言った意味を聞いた、すると唯人は

「女性達は三千万円が二人でしょ?お金を事務所の口座に移したのは一億円だから」

皆があっけに取られ

「唯人様、それは頂きすぎでは?」

「色んな銀行、海外も居れて有るから足は付かないよ」

「いいえ意味が違いますが?」

光が笑いながら

「三千二十万円をそれぞれに返せば良いんじゃないかな?後は依頼金扱いにしよう」

「かしこまりました光様」

「これで夢が叶って風俗辞められたら良いね」

サキが言うと皆が頷いた。



  第九話 愛人にされた女


 朝、出勤して来る皆にハーブティーを入れながら達也が

「今まで八件の事件をやって来ましたがもう皆様慣れましたか?」

「どうしたの達也突然?」

「いいえ何だか気になりまして、今までのチームの事が書かれて日記が八木の家に有りまして、勿論、私も付けて居ますが中には相性が合わない等有るらしいので皆さんはどうなのかと」

少し間が空き

「僕は今のメンバーに不満は無いよ」

光が言うと皆も口々に不満は無いと言った。

「達也が気にして居るのは今回、メンバーの年が離れているって事かな?」

「そうですね、今までは一ノ瀬家の男子が十五歳に成ったら集められますが、選ばれるのは大体十四歳から十六歳でした、しかし今回は唯人様が十歳、サキ様が十二歳、海様が十八歳、私が二十歳と一番年下と一番年上の私が十歳違う事です」

唯人が考えながら

「僕は一番年上の達也でもやりずらいとは感じない、海だって八歳違うけど同じ感じだよ?」

「俺も唯人やサキが年下だからって嫌だとかやりずらい感じはしない、達也は?」

「私は歳の事を気にする事は有りませんが、こんな事を考えるのかと感心する事は有ります」

初めて年の話や仕事の話を真面目に言った。

「残念、依頼が来ちゃった」

サキが言いながらスクリーンに出す。

「依頼は相手を殺してくれ、後、自分以外の人と結婚した理由が知りたい、依頼金は百万円、十五年付き合って居た男が途中結婚して子供も居るらしい、依頼人は堕胎を五回している」

「最悪な男だね」

彩が言うと光が

「何で交際している女性が居るのに他の女性と家庭を持ったんだろう?」

「普通に考えれば、子供が出来たとか上司の娘だったとか?」

海が答えると

「ただ殺すより難しいな、誘拐して理由を聞いて殺すしかない様な気がする」

光が言うと皆

「光の案でやろう、でもさ理由が理由なら殺さないのかな?」

「聞いてみる」

唯人が依頼人にメールをすると直ぐに返信が来た。

「どんな理由で有っても最後は殺して欲しいだって」

「まあ十五年だもんね、許せないよね結婚すると信じてた人に裏切られそれを知らされないで愛人にされて何度も子供おろしてさ」

彩が依頼人の気持ちを代弁する。

「光、何時やる?断る事も出来るんだよな?」

海は乗る気では無かった。

「海は殺す事に反対?」

「そうだな、理由は知りたいとは思うけど殺すのはやり過ぎな気がする」

初めて意見が分かれた時だった。

「取り合えず誘拐して理由を聞こうよ」

唯人が言うとサキが

「もしもそれでも海の気持ちが変わらなかったら断れば?」

「そうだね、サキの案で行こうか?今日は金曜日だ早速調べて向かおう」

光が言うと皆が動き始める。

「誘拐後、この倉庫に連れて行って下さい、周りに何も無いですし通報の危険も無いと思います」

達也が空き倉庫の事を言った。

「一応、仮面しようか」

「用意出来ております」

皆は車に乗り相手の男の塚田光男の所に向かう。

顔写真は送られて来た物が有った、会社の前では目立つ、家に帰る途中の細い道で誘拐する事に決めた。

塚田の後を車で尾行する、そして決めた細い道に入った時、後ろのドアを開け塚田を押し込んだ。

素早く目隠しと口を塞ぎロープで縛った。

達也が用意した倉庫に向かい、到着するとボイスチェンジャーを皆使い

「こっちに来い」

と言って連れて中に入ると椅子が置いて有った、その椅子に座らせ動画を撮り始める。

口のタオルを取り喋れる様にした。

「おい、何なんだお前ら、俺を誘拐しても金なんて出ないぞ」

「うるさい、お前に聞きたい事が有る、答えろ」

達也が首に刃物を付けていたからか騒ぐ事は無かった。

「斉藤由香さんと云う人と付き合って居たのに何故他の女性と結婚した?」

「ゆ由香とは付き合いが長く成って十五年付き合って居るけど、八年が経って正直飽きたと云うか腐れ縁の様に成って今の妻と出会って惹かれて結婚を申し込んだ」

「では何故、由香さんと別れなかった?」

「別れを言おうと思った、だけど、可哀相と思ったのと、身体の相性は由香の方が良かったし、女性って感じが有った、結婚して不満は無いけど、やっぱり妻に成ると、母に成ると女として見る事が難しかった」

「子供を何回も堕胎させて?」

「由香は泣きながら了承した」

「それはお前が結婚してくれると信じて居たからでは無いのか?」

「そうだと思う、由香が前は泊まってくれたと言ったが、今は仕事が忙しいと言って自宅に帰って居た、妻にバレるのは怖い、子供がお腹に居るって聞いた時、結婚がつまらない物に成ってしまった、俺は何時までも恋人同士の様に居たかったんだ、妻にはもうその感じは無い、だけど由香にはそれが有る」

少し間が空き光が

「十五年、お前にとってどんな時間だった?」

その問いに光男は答えに困って居た。

「由香さんには長い十五年だった、お前との時間を過ごし、お前が別れを告げて居れば彼女は、次の恋に行けただろう、お前の妻だってそうだ、懸命に家庭を家族を守って居るそんな女性に女と見れなくなったなんて言って良いのか?」

続けざまに問う。

「由香には言えなかった、他に好きな女が出来た事を、結婚が決まったら言おう、子供が産まれたら言おうとズルズル由香を愛人にしてしまった、由香には何の不満も無かったのに」

光男は下を向いて後悔している様だった。

この映像は由香にも見せていた、その後、どうするか決めると伝えて有った。

「お前はこれからどうしたいんだ?」

「妻とは別れたくない、好きと云うより家族をバラバラにしたら子供が可哀相だ、でも、由香とも別れたくは無いこうして考えると由香の事は好きだ、都合の良い話だがこのままで居たい」

聞いて居る皆はため息を付いた、自分勝手過ぎる。

その時由香からメールが入る

「殺さなくて良いです、私は別れます、もう限界です彼の気持ちを聞いてくれてありがとうございました、依頼金は入金いたしました」

「良いのですか?」

「はい、音声を出せるなら此処から別れを言います」

「音声出せます、どうぞ」

唯人がメールのやり取りをして皆が見ていた、音声が入り由香の声で

「光男、今までありがとう、長い幸せな時間を夢を見ました、さようなら家庭を大切にして下さい」

音声が切れると光男は泣きながら

「由香、由香ごめん、長い間裏切ってごめん」

そのまま光男を連れて誘拐した場所で降ろし皆が事務所に帰った。

その後、八木家から連絡が有った。

「皆様、大変残念な事が起こってしまいました」

「どうしたの達也?」

「由香様が自殺なさってお亡くなりに成りました」

その場が静まり返った、由香が死を選ぶ事を考えて居なかった。

「どうして分かったの?」

「救急で八木病院に運ばれ死亡確認が取れました、メモでありがとうと書いて有ったのを見て此方に連絡が来ました」

光は俯きながら

「僕達の失敗だ、彼女が自殺をする可能性を考えて居なかった、何故其処まで考えなかったのか」

「ごめん俺のせいだ、俺が反対したから皆の気持ちをかき乱した」

「それを言ったら私も考えないで由香さんに聞かせてしまった」

海とサキが言うと唯人が

「僕等は其処まで考えて行動や案を出さないといけないんだね、今回、由香さんは冷静に光男の答えを聞いて居た、だけどもうボロボロで僕達に依頼したんだ、殺してから聞かせれば良かったのか?」

反省会が始まる、次に同じ様な依頼が有った時の為に話し合って居た。

「私も由香さんが自殺をする事を全く考えて居ませんでした、彼女は気丈に振舞い殺すと云う思いだけで生きて来たのかもしれません、その心が彼の身勝手な思いで折れてしまったのだと思います」

達也も話し合いにハーブティーを配りながら入った。

ずっと黙ったまま聞いて居た彩が

「今回の依頼は誰のせいではなく私達皆の責任だよ、こういった男女の関係の依頼は慎重にしないといけないよね?由香さんを殺してしまったのは私達皆の責任だよ」

彩の言葉で皆が下を向いた。

「皆、頭を上げて、もう由香さんの様な人を増やさない為にもやらないといけない事をしよう」

「達也、由香さんのお葬式は何時?」

「花を出しますか?由香さんのお葬式は二日後です」

「花と、達也行ってくれないかな?依頼金を香典として返して欲しい」

「かしこまりました」

初めて依頼人の依頼をこなす事が出来ずに自殺をさせてしまった事件は終わった。

達也は葬式に出て香典を出し手を合わせて帰った、そのまま八木家に行った。

「長、達也です、お話が有ります」

「何だ?」

「今回、依頼人の依頼を半分こなした後、依頼人が自殺をなさってしまいました、その事で皆様が落ち込んで居るのです、私は助言など出来ませんでした」

「そうか、何時かはそう云った事も有ると思って居た、お前もマダマダだな達也、皆様は発展している途中だ、頭や暗殺の事は何も心配はしていないが、お前が言って居た心の問題だ、依頼と云う形で人と接触する、そして人を理解する」

「はい、申し訳ございません」

「この事を忘れるな、心の成長は今後も続く、お前がしっかりと考えないといけない、あらゆる可能性を考えサポートするしかない、良いな達也」

「はい、ありがとうございました長」

そう云って達也は自分のマンションに帰って行った。

その後、光男は由香が自殺した事を知った、自分のせいで死んでしまったと後悔していた。

自分が選んだ道を由香を不幸にしてしまった事を忘れずに妻を大切にしようと思った様だ。


  第十話 通り魔殺人事件


 まだ由香の事から立ち直っては居ない時だった。

「依頼が来たよ、依頼内容は殺して欲しい、依頼人は通り魔で殺された二十人の親や子供から、依頼金は一千万円」

「通り魔だったら捕まったよね?」

彩が言うと唯人が続けて

「この通り魔、心神喪失で無罪に成ったんだ」

「いつの事件?」

「一年前の事件、当時のニュース出すね」

唯人が当時のニュース映像をスクリーンに出す。

「緊急速報です、三浦通りで刃物を数本持った男が近くに居る人を次々と刺して居る様です、現場はパニックに成って居ます」

キャスターの後ろにはヘリから撮られた映像が流れていた。

「犯人が捕まりました、犯行理由はまだ話して居ない様です、現場は血の海に成って居ます」

映像を止めて今度は違う写真を映し出した。

「犠牲者は合計で五十人、内亡くなったのは二十人、犯人は半田洋治、当時十九歳、その裁判が最高裁まで争って心神喪失が認められた」

「それで私達に依頼して来たのね?」

「そうみたいだね」

「何処かに入院して居ないのこいつ?」

海が聞くとサキが

「退院したみたいだよ、実家から出て来ないで引きこもりに成ってる」

「でもさ、見てこれ」

光がスクリーンに友達と半田のやり取りが出された。

「通り魔やった後、大麻や覚せい剤やったら無罪に成るかな?まだ十九歳だし」

「お前やってみれば?」

「じゃあ覚せい剤用意しとけよ」

「お前が有罪に成っても知らないぞ」

「大丈夫だろ」                                       

そのやり取りを見た彩が

「確信犯?快楽殺人?」

「どうする?」

光が聞くと、皆は一瞬考えた。

しかし全員が手を挙げた。

「唯人、やるって返信お願い」

「さてどうやって半田を外に出すかだね」

「調べました所、半田は実家には居ません、亡くなった祖母の家に居ます、其処にこのメールのやり取りをしていた男も一緒です」

達也が独自で調べた事を言うと皆が達也を見た。

「達也どうしたの?」

「前回の事ですが由香さんの事です、一番年上の私があらゆる可能性を考えないといけませんでした、ですから今回、私に出来る事をしました」

光は微笑みながら達也に

「達也、ごめんね僕らの心の成長が遅いせいで達也が責任を負わされる事に成って居るね」

「いいえ、これは私の仕事、皆様のサポートが私の仕事でございます」

「二人共、依頼の事考えるよ」

彩に言われ二人共スクリーンを見る。

「達也の話だと二人が一緒に居るなら二人共殺すのはどう?依頼では無いけど」

サキが案を出す。

「そうか、こいつが唆さなければ事件は起きなかったのかもしれないって事か」

海が納得する様に言った。

「達也、祖母の家って何処に有るの?家の周りが知りたい」

「隣町の山の麓に成ります、周りに家は有りません」

「じゃあ、依頼には無いけど二人共共犯って事で二人殺そう」

光が決めると皆が賛成の合図で手を挙げた。

「後は決行日、証拠だね」

「証拠はこのメールのやり取りで良いんじゃないかな?アドレスと日付が入って居るもん」

彩が言うと、唯人が

「少し弱くない?」

「大丈夫だと思うよ」

光が言う、そして他の証拠として自宅に居るはずの半田が祖母の家に居て監視して居る者が居ない事を挙げた。

「決行は明日の昼にしよう、そしてボイスチェンジャーを使って此処に帰って来たら連絡する」

皆が頷いた。

そして次の日に成り皆が車に乗り半田が居る家まで向かう。

少し手前で車を降りそっと家の裏に回る。

勝手口は開いていた、二人共、あれから覚せい剤にはまってしまった様だ。

朦朧として

「誰かが居る様に見える」

と言って居た、皆が呆れながら

「お前達の命で罪を償う時間だ」

光が言うと、海は一人を台所に有った包丁で刺し、そして切りつけ殺した。

もう一人は彩が首にロープを巻き背負い投げの様に持ち上げ首吊で殺した。

すんなりと行くと本当にこれだけで良かったのかと思って居たが、依頼に無い一人を殺して居る、

証拠を残してまた勝手口から出て車に乗り事務所に帰る。

ボイスチェンジャーを使って警察に通報する。

次の日にはまた大きなニュースに成って居た。

「警察の発表ではあの通り魔の事件を起こしてから覚せい剤をやった様ですね」

「はい、私も警察関係者から聞きましたが友達と無罪に成るか成らないかを考えての犯行だった様です、そのやり取りが残って居たと」

キャスター達が話をしている時、警察ではまた竹下と麻生が話をしていた。

「この間、森先輩が言って居た奴らの仕業ですかね?」

「きっとそうだと思う、殺しのプロ集団だろきっと」

「何処の誰で何人居てどうやって色んな事を調べて居るのか、全く分からないな」

「奴らが居ると警察が追及されますね」

過去にも警察は調べようとしたがストップがかかったのと、手掛かりが全くなく毎回尻尾すらつかめないで居た。

「これで殺された家族は復讐できたのかな?」

サキが聞くと唯人が

「そう思わないと僕等は殺していく意味が見えなくなるよ」

ハーブティーを入れながら達也は

「まだ世間では十代前半の小学生ですが、お二人の会話は歳に居合わない会話ですね」

笑いながら言うと二人共に微笑んだ。


  第十一話 メリークリスマスの悪魔


 「クリスマスが近付いて来たけど同じニュースばかりやってるね」

彩が不思議そうに聞くと海が

「十年前に一家惨殺事件が有って壁に赤いスプレーでメリークリスマスって書いて有ったんだって、その後は無かったのだけど四年前から一軒ずつ一家惨殺して壁に赤いスプレーでメリークリスマス書いて行く事件が再発したらしいよ」

「何だか日本では珍しいよね?」

サキが聞くと唯人がスクリーンに前の画像を出した。

「うわっ結構、やるねプロ?」

と聞いた時だった。

「その犯人から依頼だよ、名前は坂下百合、依頼内容は後、二軒一家全員を殺してくれ、依頼金は二千万円」

「犯人から?どういう事なの?」

彩が少し混乱していた。

「坂下百合さんは今、八木病院に入院中だ」

唯人が続きを話すと光が少し考えてから

「顔を晒す事に成るけど、話を聞きに行った方が良い案件な気がする、どうする?」

皆も少し考えてから光の言った事に賛成した。

「達也、良いかい?」

「はい、直ぐに車の用意を致します」

車に乗り百合に会いに行くが病室は面会謝絶と書いて有ったが、達也が居て入る事が出来た。

ノックをすると中からか細い声でどうぞと返事が有り中に入って行った。

「初めまして依頼のお話を聞きに来ました」

百合は何とかベッドの上半身をリモコンで起こした。

「来て頂きありがとうございます、初めまして坂下百合、二十四歳です」

達也は皆に椅子を出し座って話を聞く。

「もう調べているかもしれませんが、十年前最初の事件の家は私の家でした、兄が通っていた塾で他の学校の生徒に虐められていました、カツアゲされたり、つかいっぱしりをさせられたりされて居ました。嫌がると暴力を振るわれていました、見えない所が痣だらけで、でも、両親は知りませんでした、兄が両親に心配をかけない為言わなかった」

其処で百合は少し深呼吸をしてからまた話始めた。

「クリスマスイブの日、我が家はクリスマスパーティーをしていました、チキンやピザ、ケーキそしてプレゼント楽しい筈のパーティーに奴らが突然来ました、その兄を虐めていた男は六人、急に家に入って来てケーキを切る為に有った包丁で父と母を切り殺しました、そして兄を殺しました、兄が私に隠れて居ろと言ってクローゼットに押し込みました、何が起こって居るのか理解出来ないで声も出ませんでした」

また少し呼吸をして話の続きを話す。

「父、母、兄を遊び半分で殺し金目の物、財布などを取った後に笑いながら食事をし、ケーキを食べ壁にメリークリスマスと書いて出て行きました、近所の人が悲鳴に気付き警察が来ました、私はその時クローゼットから出ましたが警察の人に話す事が出来ませんでした」

達也は百合の口元に酸素吸引器を近付け空気を吸わせていた。

「その後、私は親戚をたらい回しにされ十六歳で日本のサバイバルチームに入り格闘や銃の撃ち方を教えて貰いました、二年入っていました、その後、本物の銃が撃てる海外に行き本格的な格闘、銃や刃物を使った体術を叩き込みました」

今度は背中を擦りながらまた酸素を吸わせていた。

「百合さん大丈夫ですか?」

光が聞くと百合は頷き

「話せるうちに話をしたいのです、日本に帰って来てから奴らを探し出し一年に一軒同じ様に皆殺しにし壁に赤いスプレーでメリークリスマスと書いて復讐を始めました、私の家族を楽しそうに殺して置いて自分達は家庭を持って幸せに暮らして居る事が許せなかった、しかしご覧の通り現在私は病気に成ってしまい復讐が出来なく成ってしまった、後、二軒で終わるのに」

そう云って今度は上半身をベッドに付け苦しそうにしていた。

「百合さん、ベッド倒しますね」

達也が言いながら百合の楽な様にして居た。

「今日は大勢で押しかけてすいません、またご連絡致します」

百合は頷くのが精一杯に成って居た。

帰りの車の中は無言だった、皆がそれぞれ思う所が有ったのだろう。

「何て酷い事をしたんだろうかその犯人達は、警察は誰が犯人かを調べなかったのかしら?」

彩が事務所に帰って来てから言うと唯人が

「百合さんが話せなかったから分からなかったみたいだ、当時の資料を見ると犯人は全く分かって居ないね」

「でも、百合さん辛かったと思う、十六歳で、もっと前からかもしれないけど復讐を誓って出来る事をやり始めた、海外にまで行って私達とは違うけど自分で殺す事を身体に叩き込んで実行して行った」

サキが百合の事を考えながら言う。

「百合様は道に倒れている所を八木病院に運ばれました、他の病院で進行性のガンだと告知を受けています、治療を拒否して復讐を実行していた様です」

達也が聞いた話をした。

「治療を受けると体力や免疫が低下する、後、二軒って言ってたね、百合さん」

光が言いながら何かを考えていた。

「時期が時期なら、僕らがもっと早く結成していたらこれは僕達の仕事だった筈だ」

「光、でも何で警察は百合さんの復讐は事件として追いかけているのよね?」

彩が言うと光は頷いた。

「多分、連続殺人事件として十年前と同じ犯人だと思って居る」

「子供も殺すんだよな?」

海が聞くと唯人は顔色を変えずに

「そうだね、どんなに小さな子でも赤ん坊でも殺す」

「クローゼットから見た光景は忘れられないと思うそして声を出さずに十四歳の子が耐えられるのか

?」

光の言葉に皆がまた考え無言に成る。

「依頼は受ける?」

光が皆に問いかけると全員が手を挙げた。

「百合さんはきっともう時間が無いと思う、二軒一気にやりたい、我儘を言ってごめん」

光が頭を下げた、そんな光を初めて見た。

「そうだね二手に別れよう、家族構成を調べて班を決めよう」

そして皆が色んな事を調べ始めた。

「光、両家共クリスマスはイブにパーティーするみたいだ、ケーキ店の受け取りがイブに成って居る」

海がケーキ店の予約を調べた。

「二軒の家族構成が分かったよ、一軒は子供を入れて四人、もう一軒が祖父母も居るから七人家族」

彩が家族構成を調べる。

「じゃあ、海、彩の組とサキ、唯人、僕、達也の組で良い?」

「大丈夫、それで行こう」

光の案に海が賛成する。

「決行はクリスマスイブの夜、二組に別れて実行する」

光が言うと皆が頷いた。

「達也、赤いスプレーを用意して置いて」

「もう御座います」

「何でも揃って居るね本当に八木家は仕事が早い」

「お褒めに預かり光栄です」

達也は胸に手を当ててお辞儀をした。

ふと見るとサキが外を見て居た

「サキどうしたの?」

「うん、百合さんの事を考えてたの私達は産まれた時から暗殺に必要な事や勉強を当たり前の様に身体に叩き込まれる、その事に違和感すら感じなかった、でも百合さんは光の年位に家族を殺されているのを悲鳴すら出せずにクローゼットから見ていた、彩の時には殺す術を自分で考えて行動し始めた、そして自分の病気とも戦っている、百合さんの人生は復讐の為に使って居る、最後の望みは後二軒、本当なら誰かと恋愛し、もしかしたら結婚していたかもしれない、そんな幸せを捨てて戦っている、私達には分からない位の血のにじむ様な特訓に耐えながら生きている、それを考えてたの」

サキが此処まで人の事を考えているのは初めてだった。

「僕が普通の家の子供だったら、家族を目の前で笑いながら殺して居る奴を見て居たら耐えられない、泣きだしてしまうだろうな」

唯人が自分に置き換えて言った。

由香の事件で皆が心を考える様に成っていた、心の成長、八木家の長が言って居た事だ。

「私、だったら復讐を考えないで普通に暮らしたかもしれない、百合さんの意志の強さが分かるよね」

彩が自分だったらと考えていた。

「百合さんにそんな時間が有ったんだろうか?」

海も百合の事を考えて言った。

「無かったと思うよ、百合さんを動かして居たのは復讐だ」

光が海の問いに答える。

「皆、無いとは思うけど、今回は絶対に失敗は許されない、相手が赤子でも全員だ」

「分かってる、その日は最後まで全力だ」

海が言った。

そして待って居たクリスマスイブ、夕方から両家の見える所で車で待機する。

「光、どう?こっちは全員家族が集まった」

「此方も集まった、開始しよう」

海と彩は裏口に車で周り周辺の防犯カメラを止めた、海が静かに勝手口の鍵を開ける。

中に入り台所の刃物を持ち楽しそうな声がするリビングに向かう。

家族が全員揃って楽しそうにしていた、其処に姿を出した。

「何だお前ら勝手に人の家に入って来て」

「さあ、お前達の命で罪を償う時間だ」

海が言うと男は

「何の事だ?何の罪だ?」

「十年前、お前がした事を覚えて居ないのか?」

彩が言うと男の顔色が悪くなった。

すかさず妻の口を手で塞ぎ首を切り殺す、次に子供の方に行く、子供は泣いて居た。

「子供はやめてくれ」

子供の前に立ちはだかるが海は男の首を絞めながらそのまま持ち上げ圧死した。

子供の口を塞ぎ二人の子供も首を切り殺した。

そして壁に赤いスプレーでメリークリスマスと書いてその場の写真を撮り裏口に行き車に乗って事務所に帰る、車が防犯カメラの範囲を超えた時、彩がまた元に戻す。

光達は、正面から入って行った。

「何よあんた達」

妻の声が甲高くうるさい

「お前達の命で罪を償う時間だ」

光が言うと皆が一斉に動き出す、サキは子供三人を一気に刺し殺した。

「いや~」

妻の声は達也に塞がれ出なかった、そのまま首を切り殺した。

光は男に向かって行った、男は逃げようとしたが光の速さにはかなわない。

「お前、人を殺して置いて自分は逃げるのかい?」

そう云いながら光は男の腹を刺し他の家族が殺される所を見せる。

唯人は祖父母を一気に首を切り殺した。

達也が赤いスプレーでメリークリスマスと壁に書き写真を撮り帰って行く、その途中で唯人が防犯カメラを通常に戻した。

先に事務所に帰って来ていた彩と海は二つ有るシャワー室で血を流し着替える。

出ると光達が帰って来てシャワーに入って血を落して居た。

皆がシャワーを浴び終わり着替えて百合の元に行った。

病室を開けると百合は酸素を吸いながらもう目を開ける事すら出来ない状態だった。

「皆さんと会う前から話す事もままならなかったのです、あんなに話せたのは奇跡だったんです」

医師が言う、医師の名札を見ると八木だった。

「先生、今後、百合さんはどうなるのですか?」

「力不足で申し訳有りません、出来る治療は全て致しましたが、此処に来た時にはもう手遅れでした、前の病院に問い合わせた所、治療を拒否していたのと若いので進行が早くもう何も」

光は百合の元に行き見れない事を知って居たが写真を見せて

「百合さん、二軒共終わりました、ご報告に参りました」

耳元で報告すると聞こえて居ない筈なのに百合の目から涙が零れた。

帰りの車の中で

「報告した時、百合さんの目から涙が零れたんだ、聞こえて居たら良いなと思った」

光が正直な気持ちを言う。

次の日、皆が事務所に集まった後、昼のニュースが大騒ぎに成っていた。

「此処で臨時ニュースをお伝えします、この数年、日本中を震撼させていたクリスマスの悪魔、血のメリークリスマスの犯人を名乗る人物から報道各社に声明文が届きました」

「どうして?」

事務所の全員が驚きながらテレビに釘付けに成った。

「読ませて頂きます、初めての事件は十年前、私の家でした、兄の通う塾で兄は他の学校の生徒から苛めを受けて居ました、そしてクリスマスイブの日、奴らは私の家にやって来た、両親と兄を笑いながら殺し金目の物や財布の中身を取りクリスマスの料理やケーキを食べて壁に赤いスプレーでメリークリスマスと書き笑いながら出て行った、私は兄にクローゼットに隠されそこから全てを見て居ました、そこから日本の元自衛官がやって居るサバイバルチームに入り色々学び本物の銃が撃てる海外に行き武器の扱い体術を身体に叩き込み復讐を誓いました、犯人は六人、日本に帰って来て奴らの事を調べ一年に一軒づつ同じ様に一家惨殺し壁に赤いスプレーでメリークリスマスと書きました、今回は病気に成り時間が無くなったので二軒一遍に惨殺しました、私の復讐はこれで終わりです、世間を騒がせ怖がらせた事、申し訳ございませんでした、坂下百合」

事務所が静まり返り何が起きて居るのか皆分からなかった。

「皆様、お伝えしないといけない事が御座います」

達也が声を掛けると皆が達也を見た。

「たった今、坂下百合様がお亡くなりに成りました」

「そんな、だって声明文は?」

彩が言うと達也は

「坂下様は弁護士に八木の者を選びました、このメンバーと関係が有ると思ったのでしょう、依頼した後、この声明文を書き弁護士に渡して居ました自分が死んだら発表して欲しいと、そして自分の保険金で依頼金を支払って欲しいと依頼金は頂きました」

何故か皆気が付いて居ないが涙が零れていた。

「何もかも自分のせいにする為に?」

「それか自分で終わらせたと思いたかったのかもしれないね」

彩の問いに光が答える。

「そして坂下様からお手紙を頂いております、代読致します、皆さん本当にありがとうございました。

まだその結果は分かりませんがきっと皆さんはやってくれる、身体が云う事を聞けば最後まで自分でやる筈でした、しかしもう身体が動きません、こんな依頼をしてすいませんですが私は復讐だけを考えて生きて来ました、進行がんに成ったのは復讐の罰だと思って受け入れます、家族を殺され、親戚をたらい回しにされ行く場所さえ無くなりました、ガンに成って無くても最後の家を惨殺したら私は自分で命を絶つつもりでした、今はそれさえも出来ません、最後に彼方達に出会えて本当に良かった、随分私の方が年上ですが分かりあえる友達が出来た様で嬉しかった、あのクリスマスから嬉しい、楽しい何て感情は有りませんでした、だから最後の最後で友達が出来た様で嬉しかった、ありがとう」

その手紙を聞いてまた涙があふれ止らなくなった。

「本当は優しい人だったんだね百合さん」

サキがポツリと言った。

「達也、葬儀は?」

「行いません、行って下さる親戚も無いそうです」

「僕等で葬儀を出来ないかな?家族葬で良いから」

「弁護士と話して来ます」

光が涙を拭きながら言うと海が光の肩に手を置き

「皆、同じ気持ちだよ光」

「弁護士と話が着きました、家族葬で見送ってあげて欲しいと、明後日、斎場とホールを抑えました」

「達也ありがとう」

その日が来た、皆、喪服で百合に棺に花を入れて行く色とりどりの花を入れる。

「苦しまなかったんだよね百合さん」

彩が聞くと達也が

「はい、眠る様に逝かれたと聞きました」

「良かった、まるで花畑に居るみたい」

火葬が終わり納骨を済ませ事件は終わった。

由香と同じ様に心に残る依頼者に成った。

「見て、虹が出てるきっと百合さんが通って居る」

光が言うと皆が虹を見てまた涙を零した。

「百合さん、さようなら、天国でご家族と会えたら良いな」

サキが言うと海がサキの頭を撫でた。


  第十二話 ホテルで殺された母


 百合の事件から数カ月が経った、その間探偵事務所の仕事の浮気調査や猫探しなどをしていた。

「依頼が来たよ、依頼者は被害者の子供で依頼内容は殺し、依頼金は五百万円」

「親が殺されたって事?」

「そうだよ、しかもホテルで」

「それって防犯カメラやフロントで分かるんじゃない?」

サキが言うと唯人が

「女性は分かって居るけど男性は裏口から入ったみたいで防犯カメラやフロントは分からないって」

「依頼して来たのは子供だよね?何歳?」

彩が聞くと今度は海が

「十七歳、母親は三十二歳、十五歳の時の子供だね」

スクリーンに色々出しながら唯人が説明する。

「このホテルは内側から開けると非常階段から入れるんだ、予約したのは母親だね」

「密会?それとも」

「後の方だよきっと、売春だね」

唯人が言うとサキが

「スマホに客の連絡先分かるんじゃない?」

「うーん有り過ぎて分からないって感じみたいだ、本名じゃ無いし、電話番号で探すには多すぎる」

光も調べながら皆と話し合う。

「この人、デリヘルに勤めてるね、其処の客を店を通さずに直で取って居るんだ」

「こんな事、娘は知って居るの?」

サキが驚きながら聞くと

「知って居るみたいだ、数人は家に直接来てホテル代が無い分、貰う金は多くなる、しかもスマホも二台持って居て使い分けてる」

海が言うと彩が

「仕方ないのか、戸籍見ると父親が誰か分からないし十五歳で産んでずっと風俗やキャバクラで仕事して居るしね」

「その母親がホテルのベッドの上、裸で首を絞められて殺されている、此処は個人営業用のホテルに使って居たのかもね」

海が言うと、唯人が最近通話した記録とメッセージのやり取りをスクリーンに出した。

「凄いなこの連絡の多さは」

光が驚きながら言う。

「本当に有り過ぎて分からない、でもさ個人の営業だったら何回か店を通して安全な人を選ぶんじゃ無いか?今までの人だったら殺さないよね?」

「金を多くしてくれって話が拗れたか、店では安全だったけど個人営業で豹変したか」

光が言った言葉に彩が答える。

「これは全部調べないとダメだね、防犯カメラにも映って居ない、フロントも通って居ないと成ると周りの防犯カメラもこの辺は無いし」

光が言うと皆が色々な方法で調べ始めた。

「最近、店には出て無いね、一週間前までは出てた」

サキが店の情報を調べる。

唯人はひたすら二台のスマホのメールを見ていた。

彩は登録された電話番号の持ち主を調べる、海はホテルに一番近い防犯カメラを円形状に調べる。

光は家に来ていた男を調べ始めた。

達也は皆に飲み物を配って居た。

何とかして犯人を見つけ出したい、皆の気持ちは同じだった。

途方もない時間が掛かると思って居た。

「せめて何か手掛かりが有れば違うんだけどな」

海が伸びをしながら言う。

そんな時だった、彩が

「これは?電話番号の契約者は議員、だけど他の政党の議員も居るの議員は二人だけ」

「彩、名前は?」

「高木太議員と会田実議員」

「メールにフーちゃんとみっちゃんが居て最近やり取りしているんだ」

唯人が彩の番号と一致するメールを見つけた。

「高木と会話した後に会田と会話して、その後直ぐに掛かって来ている番号が有るの、会田の秘書」

彩が番号で調べると出て来た初めての番号だった。

それを聞き海が

「その連絡は何時の物?」

「亡くなる二日前」

海は議員の行動を監視カメラで見つける。

「見つけた、亡くなった日に秘書がホテル方面に向かっているけどホテルに入ったかは分からない」

「秘書の名前は友田祐介、保険会社のドライブレコーダーに映って居るホテルの前に有る駐車場に車を停めている、時間は死亡時間と同じ時間だ」

光が保険会社の特約で貸し出して居るドライブレコーダーの動画を見つけた。

「ほぼこの男で決まりだけど決定的な物が無いね」

光がため息を付いて言うと唯人が

「一回拉致して吐かせる?」

と提案をするが光が何かを考えていた。

「後、一歩何か有れば良いのだけど」

「光、これは駄目かな?」

唯人がメールのやり取りで会田議員と電話した後に娘に

「恵梨香、大学行けるかもしれないよ、お金稼げるからって送って居る」

「じゃあ相当な額を請求したって事か」

海が言うと光が決断した。

「唯人が言って居た誘拐して吐かせようか?達也車をお願い」

「私が誘拐して倉庫に連れて行きます、皆様は倉庫で仮面をしてお待ちください、海様運転お願いします」

「分かった、じゃあこの倉庫で待って居る」

地図の倉庫を指さし達也に言うと達也は頷いた。

夕方に成り秘書が仕事を終えて出て来た所を後ろから目隠しと口を塞ぎ手は後ろに縛り後ろの座席に押し込み倉庫に連れて行く、乱暴に言葉は発する事無く秘書を連れ倉庫の中に入り椅子に座らせ椅子と手を縛り直す、口を塞いで居たタオルは取り目はそのまま隠していた。

他の皆はボイスチェンジャーを使って質問して行く。

「お前は女性をホテルで殺しただろう?」

「殺して居ない、誰なんだお前達は?」

「お前の車がホテルの近くに停まって居た、女性が死んだ同じ時間に」

男は無言に成った。

「会田議員の秘書をしている友田祐介、会田の命令か?会田は女性の客だったな」

友田は皆にも聞こえる程の音で唾を飲んだ。

「女性から高木議員の事を会田議員は聞いて居たのだろう?それで強請られたか?」

友田はまた無言で下を向いた。

「会田議員が女性に電話した後、直ぐにお前は女性に電話して居るな?もうバレている逃げられないぞ」

「あの女が悪いんだ、先生を脅して娘の大学費用を払わせようとして、だから、そんな女だから殺されるんだ」

「お前が殺したんだろう?それとも先生が殺したのか?」

「俺が殺した、あの女念書を書けって、本当に金を出すのか疑って書かなければ先生が女を買って高木の情報を得ていたと週刊誌に言うと脅して来た、だから念書を書くって言って呼び出し殺したんだ、その後裸にしてどうせ風俗で働いて居る女だ、俺は誰だか気が付かれない様にしたのに何で?」

その告白は映像に撮ってあった、其処で撮るのを辞めて達也がそのまま首を絞めて殺した。

証拠を残しその場所から去って行き、警察に通報した。

依頼金は入金されていて、メールで

「風俗で働き、父親も分からない様な母でしたが私には優しい母でした、ありがとう」

と入って居た。

議員が関連した事件に成った為、テレビは連日の様に放送されていた。

「今回は疲れたな、バレない様に周到に準備したんだろうな」

海が伸びながら言った。

「皆様、お疲れさまでした、本日は早めに帰って疲れを取って下さい」

達也に言われ皆、早めに帰って行った。

「森先輩、麻生先輩、今回も連中なんですかね?あの坂下百合の事件も坂下自身は入院して亡くなって居たし」

「そうかもしれないな、でも、其処は見つけようとしない方が良いと思うぞ、前に週刊誌の記者が見つけようとして色んな情報を警察に上げてたけど、その記者が海に浮いて居た」

「そんな、殺しの集団?を野放しにして置くんですか?」

「竹下、死にたく無ければ自分の地域以外の事件を突くな」

今回の事件は議員が絡んで居た為、一ノ瀬家の総帥に報告してあった。

そして二人の議員は病気の為引退した。


  第十三話 海外に売られた少女達


 「依頼が来ているよ海外から」

「海外?」

海が言うと皆が驚いてスクリーンを見る。

「依頼人は誘拐されて海外に売られた少女達十五人、依頼金は百五十万円、内容は日本に帰りたい」

「ちょっと待って、誘拐なんてニュースに成って無いよね?十五人も居なく成ったらニュースに成る筈じゃない?」

彩が言うと、唯人が調べ始める。

サキも光も調べ始めた、一気に居なくなったのか、一年に何人居なく成ったのか警察の誘拐情報を覗き見るが、有力な情報は無かった。

海は何とかその少女達にメールして情報を得ようとしていた、そして

「今、海外に居るのは十歳から十六歳までの女の子達だ、場所は分からない、客を取らされている、言葉は多分英語、一番長く居るのは十六歳の子で十歳の時に誘拐されている、皆、十歳で誘拐されて居るね」

「海外の風俗って事?」

「多分そうだと思う、ホテルに連れて行かれて部屋に入る前に男が金を貰い女の子は相手をする、依頼金はチップを貯めたらしい、この連絡も客から貰ったスマホからだそうだ」

「これか?」

光がスクリーンに出して行く、十歳の女の子が行方不明、家出か?

の文字が出て来た、週刊誌の記事だった。

「場所もバラバラ、ただ十歳だけが共通しているね、顔写真出すよ」

十五人の写真がスクリーンに出される。

「うん、皆、可愛い子だね、特にアジア人は若く見えるから幼女が好きなら良いのかもしれない」

彩が言うとサキが

「今回は囮に成りずらいね、どうする?」

「一人帰って来る、十六歳の子だ、そしてまた十歳の子を攫うのか?」

海がまだ連絡を取り合って居た。

「組織犯罪だね、何処の組織だろう?」

「待って、一人じゃない皆帰って来るらしい、向こうの警察に目を付けられたみたいだ」

「じゃあ日本に帰って来た時を狙えば開放されるよね?」

「飛行機とは限らないよ、こんなにも居るんだったらきっと船だと思う」

海が頭を掻きむしりながら

「何でいつも女の子が犠牲に成るんだ」

「分からないけど、日本に帰って来るだけで良いのかな?」

サキが言うと唯人が

「依頼は日本での解放だよ、僕は殺したいけどね」

「明日、船に乗って日本に帰って来るらしい、やっぱり船か貨物船の可能性が高いね」

海が聞きだした事を皆に伝える。

「一週間位かな?何処の港に着くのだろう?」

光が調べ始めた。

「海外に居る教官達の情報です、アジアのマフィアの様です、一時期中国や韓国の女の子が誘拐されていた様です」

達也が教官たちの情報を伝えた。

「貨物船が付く港が分かったよ、横浜」

「男達は三十人居るらしい、皆、振り込め詐欺もやって居るって」

「最低の上乗せ」

彩が吐き捨てる様に言う。

「動くとしたら夜だよね?」

サキが皆に聞くと光が頷いた。

「でもさ、日本に来て一人開放したら警察に駆け込まれるよね?もしかしたら殺される?」

彩が思った事を言うと海が

「きっと、殺される、その場面を見せて逃げられない様にすると思うよ」

「しかし、女の子を売るのと振り込めを同時にやるなんてマフィアと言っても中々無いよね?」

冷静に光が考えて言う。

「そうですね、港を調べます、横浜では無いかもしれない」

達也は裏に行き港を調べ始めた。

そして裏から出て来て

「皆様、貨物船、一週間後に九州に着く小さな船が有ります、それでは無いでしょうか?中身は貿易会社の英雄商事と云う会社に全て納品され、三日後に隣の国に行きます」

「その情報は確かなの達也」

「はい確認しました、そしてその英雄商事の裏の顔はやくざです、一緒に覚せい剤や大麻を運んで居る可能性が有ります」

「やりたい放題だな、いくらやくざでも一線を越えたらいけない、悪いけど僕は実家に行くから帰る、達也車を呼んでくれ」

「かしこまりました」

数分後、車が来て光は一ノ瀬家に向かった。

「どうしたの光は?」

「ちょっとご機嫌を損ねる事が有ったのではないでしょうか?」

サキの言葉に達也が答えたが皆ちょっと分からなかった。

「総帥、光です、宜しいでしようか?」

「入れ」

中に入り全ての家の総帥が居た、もう既に引退しているがその力は未だ健在だった。

「ご相談が有り参りました」

「何だ?」

「今回依頼が来ました十代前半から十六歳までの日本人の女の子が誘拐され海外で売られています、今回その少女達が日本に戻って決ます、が、十六歳の女の子は殺されるでしょう、達也の情報では英雄商事と云う九州のやくざが絡んで居ます、掛け子も三十人戻って来て三日日本に居てまた違う国に行きます、その時また十歳の女の子が攫われる、そして船の積み荷には覚せい剤と大麻が有る可能性が有ります、依頼内容は日本に帰りたいです」

「ほう、手広く商いをして要るんだねその会社は、光、依頼は受けろ、しかし依頼金を貰うなその場所にも行くな良いね?この依頼は私が受けよう」

「かしこまりました、総帥、女の子達を」

そう云いかけた時、総帥の目に光は背筋が寒くなった。

その後、光は事務所に帰って来たが皆が心配する程の顔色の悪さだった。

「光、どうしたの?気分が悪いの?」

彩が心配して暖かいココアを入れて来てくれた。

「皆、聞いて欲しい、今まで僕は一ノ瀬家に居た総帥に今回の事を相談したんだ、依頼は受けろ、しかし依頼金は貰うな、その場にも行くなと言われた、女の子達だけは助けて欲しいと云いかけた時、総帥の顔を見てしまった、背筋に嫌な汗が流れる程、見た事の無い顔をしていたんだ」

達也はクスクスと笑いながら

「光様、総帥の怒った顔を見てしまったのですね?」

「怒って居る様には見えなかったけど」

「八木の長の話では総帥は穏やかな顔をして怒ると一番怖いお方らしいので、今回は多分警察や他のやくざ、議員、水上警察、総動員して潰すでしょうね」

「だからその場に行くなと言ったの?」

「一ノ瀬家総帥に出来ない事、動かせない者はおりません」

「でも一ノ瀬家の総帥って裏に選ばれなかった人が成るんだよね?」

唯人が疑問に思って居る事を聞くと

「ですから一ノ瀬家で裏に選ばれる者が十五歳なのです、お兄様が表の総帥に成るまで永遠に総帥としての役割、人脈等を若くから叩き込まれる、お父様ですら今修行中なのです」

皆が黙ってしまった。

「達也、今回相談して良かったんだろうか?」

「良かったと思います、壊滅させないと永遠に終わらない、そして今回の事で警察に光が当ります、日本の警察は優秀だと世界に広められる、日本が安全な国だと」

唯とは依頼を受けるとメールした、そして依頼金は無料ですと付け加えた。

その頃、警視総監室に一ノ瀬家の総帥が来ていた。

「一ノ瀬様にお会いするのは三回目ですね、今回、此方にいらした御用とは?」

「有る筋から情報が入りましてね、少し警察の方々のお力をお貸頂けたらと思って居ます」

「それは勿論です、全力でやらさせて頂きたい」

「やはり日本の警察は優秀で行動力に優れている、素晴らしいですね」

そんな言葉を言われると嬉しく成る、それほどまでに一ノ瀬家総帥は日本を動かして居る存在だった。

そして船が九州に入って来た時だった。

船を付けロープで船を固定して居た時、周りが光で照らされる。

周りは警官で囲まれ逃げる場所は無い、海側には水上警察が居て船もさせない。

同時期、倉庫で待って居たやくざは同じ様に光に照らされ驚き逃げようとしたが警察が囲んで逃げる場所が無い。

船の中には女の子達がやはり居た、そして掛け子として連れて行かれていた者達も居た。

船の荷はやはり覚せい剤と大麻だった。

これは警察のお手柄と大々的にニュースに成った。

最近、光達の事で無能と云われていた警察が汚名返上した事件に成った。

女の子達は近くの病院に入院していた。

「今回はこれで良かったのかもね、依頼は帰りたいだったんだから」

「でもさ、総帥ってすごい人なんだね見た事無いけど」

彩が云うと達也が

「そうですね、一ノ瀬家の総帥に会える機会は余り無いですね、総帥が警察を動かし警察の汚名返上させる、総帥の怒りを買った者が悪いのですよ、やくざでも光様が言った一線を越えてしまったら潰される」


  第十四話 虐め


 「前回の事件は総帥が潰したから私達は何もしていないんだよね」

「でもさ、銃とかテロとかが無いだけで意外と色んな事件が有るね、依頼だよ」

海がスクリーンに出す

「依頼人は自殺した女の子の親四組、依頼金は六百万円、依頼内容は虐めた子供と親に謝って欲しい」

「この制服は花丘女学院の制服だよね?」

「よくご存じで」

サキが言うと達也が答えた。

「虐められて居たのは四人の十二歳の女の子六年生だね、此処は幼稚園から大学までのエスカレートのお嬢様学校、四人は途中から成績で入学した子、学費免除が有るから成績が良い子は途中から入れるけど、その子達が虐められてる」

海が説明する。

「普通の家の子は来ないでって事でしょ?学校の品位とか家柄とかの話で虐め殺して居るんでしょ?」

彩が言うと海が頷いた。

「じゃあ、今回は僕が行くよ」

「唯人聞いてた?女学校で十二歳、私で決まりでしょ?」

サキが唯人に云うと唯人は不機嫌だった。

「いつも囮は彩かサキの女の子が危ない事をする、光も行ったけど僕はそれが嫌だ」

海が唯人の頭を撫でながら

「唯人は良い男に成るな、優しく強い男に成る」

「でもさ、二階堂で行く訳には行かないよね?」

「そうですね、二階堂を出したら頂点に行ってしまいます」

達也は考えながら

「サキ様の家は工場を経営して居る事にしましょう、小さな町工場です、家は傾きかけている、家は此処に成ります、暫くは此処に帰ってからマンションに帰って下さい、八木の者が家族を演じます」

「苗字は真中でお願いします」

「分かった、真中サキね」

「はい、直ぐに用意いたします」

達也は八木に連絡し役に会う人物を長に選んでもらう、そして八木家が持って居る工場をそのまま使う事にした、サキの転校手続きも終えていた。

「サキ様、用意が出来ました、此方が制服です」

「虐めの証拠が欲しいね」

彩が言うと唯人が大きなリボンを数種類用意して居た。

「サキ、これを付けて毎日登校して、此処にカメラが付いて居る」

「ありがとう唯人」

リボンを受け取りバッグに入れる。

「これで虐められればいいんだね?」

「そうです、お気を付けて」

サキは一足早く帰って行った。

「今回はサキに全部任せるしかないね」

「サキが怒って殺さないか心配だ」

海が言うと彩は笑いながら

「有りそうだね、でも大丈夫、サキはちゃんと証拠を持って来てくれる」

そして次の日、サキは試験を受け転校にに成った。

先生がそのまま教室に連れて行く、他のクラスより少ない人数、虐めで四人死んでいるクラスに入る。

「今日からこのクラスに転校してきた真中サキさんです、皆さんお願いしますね」

「真中サキです、宜しくお願いします」

頭を下げて一番後ろの席に行く、勿論、唯人がくれたリボンをしている。

お昼は学校給食で食事のマナーの時間、今日はフランス料理が並んだ。

サキは分からない振りをし、皆のしている様に真似をしてみる。

スープの時に音を立ててみた、皆の尖る様な視線を感じる。

「サキ上手い」

此処に居るメンバーは皆、演技指導も受けている。

ナイフとフォークを使う時、ナイフに音をさせる、また皆がサキを見る。

お昼休みに成り早速サキへの虐めが始まった。

「真中さんちょっと良いかしら?ついて来て」

「はい」

屋上に連れて行かれる。

「ねえ、真中さんのお家って何をしているのかしら?」

「工場を経営しています」

「ふーん、町工場ね、真中さん転校する学校を間違えてないかしら?」

相手は四人

「ちゃんと試験受けて入りましたけど?」

「そうじゃ無いのよ、頭の話じゃ無いの、家柄が学校に会わないって言って居るの分かる?」

「家柄って項目は有りませんでしたけど?」

「確かに勉学で優秀な子は転入出来るわ、学費免除で、それってお金が無いからよね?」

サキは黙って下を向いた。

昼休みが終わるチャイムが鳴る。

クラスに帰ると皆がサキを可哀相な目で見ていた。

虐めて居るのはさっきの四人に決まった。

唯人が急いで四人を調べる。

「唯人どうしたの急に?」

ぼんやり見ていた彩が聞くと唯人は

「あの四人で決まりだろう?虐めている子って、家柄を調べているの」

帰りにもサキは屋上に呼ばれていた。

「あの何でしょうか?帰って勉強がしたのですが」

「ハッキリ言うわね貴女の為に、この学校から転校して下さる?」

「何故ですか?」

「何度も言わせないで?家柄が合わないのよ、貴女が居るせいで私達も低い家柄だと思われたく無いのよ」

サキは走って逃げて行った。

そして事務所に帰って来た。

「サキ、これ」

唯人がサキに調べた事を書いた紙を渡す。

「唯人ありがとう」

「サキが怒って殺さないか心配してたよ海が」

彩が言いつけるとサキは笑いながら

「殺してやろうとは思ったわ」

海はガクッと頭を下げ

「やっぱりね」

と言った。

「そうだ、達也お願いが有るの」

サキが達也の居る裏に顔を出した。

「何をご用意しますか?」

少し話会って居る最中に彩が

「ねえ、この位で自殺するかしら?」

「多分、もっとえげつない事すると思うよ」

唯人が言うと、サキが戻って来てから

「何をされても大丈夫よ、唯人がくれた資料見るとたいしたこと無い家柄なんだけど?」

裏から達也がハーブティーを入れ皆に配って居た。

「此処に居る皆様の家柄と比べられたら何処も大した事無い家柄ですからね」

「後、サキ調べて分かった事なんだけど、皆、転入して一週間位で自殺しているよ」

唯人が調べていた。

「唯人、色々調べてくれてありがとね」

唯人は嬉しそうにしていた。

「まさか唯人の好みはサキなのか?」

海が言うと

「そうかもね、サキは可愛いから」

光が話に混ざる。

そんな事を言われ唯人は顔を赤くした。

サキはちゃんと毎日学校に行っていた、勉強は本気を出して良いと云われていた毎回満点を出して居た、ちゃんと大学出ているせいか笑いが出る程簡単だった。

それがまた虐めグループのかんに触った様だった。

毎日呼ばれ続け五日目の放課後、遂に本性を出した。

「ねえ、本当に居なく成ってくれないかしら?目障りなのよ真中さん」

そう言いながらドンドンサキに近付いて来る、サキは後ろに下がるしか無かった。

手摺まで下げられてもう後ろに下がれない、そして突き飛ばし始めた。

「辞めて下さい」

「此処から飛び降りなさいよ、転校出来ないなら」

「何故?」

「何度も何度も言っているわ」

「左から佐竹亜美さん、お父様は政治家、次は野間美紀さん、お父様は野間工業の社長さん、一番文句を言って居る貴女は本郷朋さん、お父様は医師会会長、右の貴女は森小百合さん、お爺様は元首相でお父様は議員、こうやって四人を自殺に見せかけて殺したのね」

「なっ何よ自殺よ、殺して無いわ」

と言いながらサキを押す。

「思い通りにしてあげる」

そう言ってサキは手摺から落ちる様にして落下した。

下には空気の入ったマットが置いて有りサキが落ちたと同時に横にずらし片付け車に乗った。

四人が下を見た時には何も無かった。

「どういう事?」

達也も一緒にサキと事務所に帰って来た。

「サキ、驚いた本当に自殺したと思ったよ」

唯人がサキの事を抱き締め確かめた。

「わお、唯人君、大胆な子なのね」

彩が驚いて海を叩く。

「サキ様はお転婆でいらっしゃる」

「達也これをこの間頼まれてたの?」

「はい、驚きましたが、サキ様が決定的な物が欲しいとおっしゃって、家族の振りをしていた者達と用意致しました」

「これをどうするの?」

「依頼は親と子供に謝って欲しいだから映像を見せて謝らせるしか無いよね?」

「それで謝る?」

「じゃあメディアにぼかし入れて送ろうか?中々ニュースに成る親だよね?」

光が言うと唯人が大賛成した。

「どうしたの唯人、今回力が入って居るね?」

海が聞くと唯人は複雑そうな顔をした。

「此処で新しいニュースです、小学生が謎の自殺者を出して居た小学校で虐めによる物と判明いたしました、親、親族が有名な方々のお子さんが、成績で入って来た子を虐めていた様です」

そんなニュースが始まりモザイクが掛かった映像が出るとネット民がモザイクを外し親の職業も晒された、親子で亡くなった子の家を周り謝って居た。

「今回の依頼通りに成ったよね?」

サキが言うと

「成ったと思うよ、でも自殺じゃ無くて事故で終わらせようとしているみたいだ」

光が言う何だか光もモヤモヤしていた,

しかしこんな事件を総帥が放って置くはずは無い政治家は役職が無くなり、医師会会長は辞任、野間工業は取引会社が減って居た。


  第十五話 結婚詐欺


 暫く裏の仕事が無く、その間は探偵の仕事をしていた。

「でもさ、浮気する人多いよね」

「本当に、男女関係なく多いね」

彩と光が話して居ると海が

「依頼が来たよ、依頼人は十人で依頼金は一千万円、内容は殺しだね」

スクリーンに出しながら説明する。

「結婚詐欺に会った人達で女性、五人ずつ男が二人で女が一人居る」

「何?詐欺師が三人で被害者が合計十人の女性って事?」

「そう、皆、同じ結婚相談所で出会って騙されている、男の名前は全部違う、女が経営者」

詐欺師と相談所の女の写真を出す。

「結構若いね?二十代中頃?」

サキが聞くと海が頷いた。

「でも、顔は普通だよね?優しい系なのかしら?」

彩が聞くと海は

「それは分からないな、女性達は皆、男性が会社経営して居てお金が足りなくて貸してくれって、その事が終わったら結婚出来るのにって言われるらしいよ」

「ふーんそうなんだ、私が登録しようか結婚相談所だし」

彩が言うと海も

「俺も行く、二人詐欺師が居るんだったら人数必要だろ?」

「私も行きます」

達也が手を挙げた。

「どうしたの達也」

光が驚いて聞いた。

「経営者を含め三人ですよね?でしたら此方も三人の方が良いのではと思いまして、次の土曜日にパーティーが有ります、其処に行って見ませんか?」

海と彩が頷いた。

「じゃあ、唯人、サキ、僕は相談所の中を見に行こうか、何か証拠に成る物が有るかもしれない、男二人は同じ家に住んでるね、其処も行けるかな?」

「朝から行けば女の家も行けるよ光」

唯人が案を出す。

「それで行こう、良いねサキ」

「良いよ、三人で何か探そう」

「今、パーティーの参加を致しました、海様も彩様も会社を経営して居る事に成って居ます」

「達也は?」

「私は病院長の息子と云う設定です」

「了解それで行こう」

海と彩が了承した。

光達は何処から回るかを相談していた。

そして待って居た土曜日が来た、光の運転で移動していた。

会場に着くと二人の男の所に女性が集まって居て他の男性はポツンと立って居た。

会場に入ると、彩の元に一人で居た男性達が集まって来た。

「流石、彩、早速男達を虜にしてるね」

「そうですね、彩様はお奇麗ですから目立ちますね」

そんな話を海と達也がしていると二人の元に女性が集まり始めた。

「ふふ」

そんな二人を横目に彩は微笑んだ。

「彩さんは何をしているのですか?」

「美容系の会社を経営しています」

「どんな男性がタイプなんですか?やっぱり社長ですか?」

「社長?そこには拘って無いの、自分をしっかり持って居る男性が良いな、優しかったら尚好きかも」

いつの間にか彩の元に男性が集まってしまった。

「海さんは何をなさって居らっしゃるの?」

「僕はスポーツジムを運営しています、今、全国展開しようとして居ますね」

「達也さんは何をなさって居るの?」

「私は父が病院をやってましてそこで勤務医をしています」

「じゃあ将来、お父様の仕事を継がれるの?」

「ええ、そう成りますね」

女性は四分割に成って居た。

「彩さんはもしも結婚したら新婚旅行は海外ですか?」

「別に海外って考えてはいません、相手が海外が良いなら海外で、国内でも素敵な場所が沢山有りますし、温泉で二人でのんびりするのも良いですよね?」

超が付くほどの美形、若いのに会社経営、そして庶民的、次々と質問が飛んで居た。

その中に詐欺師二人が入って居た。

「彩さん、僕達も話に入れて下さい、僕は泉谷浩志、二十六歳で会社を経営しています」

「私は東谷晶、二十五歳、私も会社を経営しています」

「よろしくお願いします」

二人が来ると男性達が何だか気落ちしている様だった。

「彩さんとは会社経営の話がしたいな」

浩志が言って来る、そうやって他の男性達を遠ざけるのだろう。

海も達也もその事に気が付いて居た。

「此方で皆さんでお話しませんか?」

達也が二人の元に沢山居る女性達と一緒に男性達も呼び大勢で話をしていた。

彩の所は詐欺師二人に成って居た、彩は好都合と考えていた。

「お二人はお友達なんですか?」

「ええ、この相談所のパーティーで仲良く成りました、しかし二人共、出会いが無くて」

「モテそうですけど?さっきも沢山の女性に囲まれて居ましたよね?」

「でも、この人って方にお会い出来なくて」

そんな話をしている最中、光達は結婚相談所内に防犯カメラを操作し鍵を開け入った。

「何か証拠に成る物無いかな?」

「見てこのパソコンのリスト、新規の女の人に印が付いてて、カモに成りそうな人は花丸に成ってる」

「本当だ、花丸皆、依頼者だ」

「その情報をメールで送って居る」

その写真を撮る。

「こっちの手帳見て」

普通の手帳かと思いきや小遣帳の様に成って居て二人から入って来る金額が書いて有った。

「通帳も有ると良いんだけど、会社のしか無いや」

唯人が言うと光は

「次に此処の社長の家に行こう、通帳はそっちかも知れない」

そしてちゃんと鍵を掛け、防犯カメラも解除し女の家に向かった。

海や達也の計らいで女性達と話が出来て男性達は女性を誘い二人で話したり出来ていた。

受付をやって居る女が社長だと分かって居る、一人で経営をしているからだった。

一方で彩は二人の会話に飽きていた。

経営論を語っているが本当に経営して居ないのは明白で中身の無い会話、しかし分からなければ信じてしまうのかもしれないと感じて居た。

事務所の直ぐ近くに女の住むマンションが有った。

防犯カメラを操作し、また鍵を開け中に入る。

「うわっ汚い部屋だな」

唯人が引き気味に言う、他の二人も同じ思いだった。

色んな紙を掻き分けて行くとテレビ台の引き出しを開ける。

「有った、通帳個人的なやつ手帳と同じ金額が入ってる」

其処は映像にした、引き出しを開ける所から始めた。

「他には何か有るかな?」

光が聞くとサキが

「無いと思う、後は男の家に行って二人がどうやって女性達からお金を貰って居たかだよね?」

「そうだね早くしないと三人が帰って来られないからね」

また元に戻して男二人の家に向かった。

「彩さんは海外挙式とか興味ないのですか?」

「興味は有りますよ、でも呼ぶ人の事を考えると日数とか有りますから、それに日本でも良い式場は沢山有りますしね」

海と達也の元に行きたかったが、詐欺師二人を連れて行くとまた女性が四等分に成ってしまう、他の男性が女性と出会えなく成る、そんな事を彩は考えていた。

詐欺師二人の部屋に行くと社長より良いマンションに住んで居た。

唯人が器用に防犯カメラを操作し鍵を開け中に入る。

「こっちは結構奇麗に住んでるね」

唯とは汚いのが嫌だったみたいだ。

「三人で別れて探そう、唯人と私はそれぞれの男の部屋、光はリビング」

「良いよ、さあ探そう」

探し始めるとスマホが二台ずつ有るのが分かった、其処には女性とのやり取りやお金の入金先のメールが残って居た。

「光、スマホが二台ずつ有る、今も持ってる筈だから一人三台だね」

「パソコンのネットバンキングの履歴が有る」

その履歴をコピーする。

「これはどうだろう?」

光がリビングで三人の契約書を見つけた、騙したお金は三等分にする事と書かれ本名でサイン捺印がしてあった。

「決定的な証拠だね」

「良し、殆ど証拠が揃った、帰って話し合おう」

帰りも鍵を閉めマンションを出た所で防犯カメラを解除した。

「海、彩、達也、終わったよ」

「こっちも終わる所」

「彩、二人のスマホ掏れる?」

「任せて」

パーティーが終わり数組のカップルが誕生していた。

二人に追いかけられない様に途中で二人を撒き海と達也の乗る車に乗り込んだ。

事務所に帰り着替えて直ぐに殺しに行く事にした、無くなって居る物が多いからだった。

「海、彩、達也、疲れて居るのにごめんね」

「大丈夫、行こう」

三人は相談所に居た、防犯カメラを切り、鍵を開け中に入り灯りを消す。

「何?停電?こんな時に」

女が怒った様に言う、次の瞬間灯りが付くと

「彩ちゃん?」

男二人が気付くが

「さあ、お前達の命で償う時間だ」

光の声に反応し海が素早く男の後ろに回り首を力で折る。

「女性達はもっと痛かったんだ」

彩は男の股を蹴り上げ踵落としをした後にペーパーナイフで首を切った。

「私に殺されて嬉しいでしょ?」

女は唯人とサキが連携して腹を蹴り九の字に成った頭を鈍器で殴り殺した。

「肥えててのろま」

証拠を置き相談所を出てから防犯カメラを直しボイスチェンジャーで通報した。

弁護士がチームを組んで騙されたお金を少しでも返して貰える様にして居た。

事務所に帰ってから彩が

「本当に中身の無い経営論とか恥ずかしいから言わないでって思ったわ」

「彩つまらなそうだったものね」

「詐欺師二人と社長の通帳に入って居たお金で結構戻るよね?」

「戻ると思うよ、結構残ってたから」

唯人が聞くと光が答えた。

「じゃあこれは僕等の分、はい達也」

「唯人様、これは?」

「あの事務所の床下に隠してあったイケないお金」

「唯人様まで」

達也はガクッと肩を落とした。

テレビのニュースなどで女性達はちゃんとお金を回収出来た様だった。


  第十六話 売春させられる少女達


 「皆、依頼が来てるよ」

サキが言いながら依頼をスクリーンに出す。

「依頼人は十五歳の女の子達十五人、依頼金は三十万、内容は殺して欲しい、美樹」

「何?何されているの?」

「これが添付されて来た」

添付された物を見ると其処には下着姿でポーズをとる女の子達が居た。

唯人がそのホームページを辿って誰が管理人かを調べる。

「普通の風俗じゃないみたいだね」

そのページは探してもヒットしなかった。

「管理人が分かったよ、半グレ集団の資金源だ、行き場の無い女の子攫ってやらせているんだ」

「客はどうやって此処を見つけるのよ」

サキが言いながら調べるが分からない。

「でも、ホテル街に呼び込みみたいのが居るはず」

「では私がそのホテル街を歩いてみましょう」

達也が言うと皆が達也を見た。

「海様では多分、若いですから私が会社員姿で行けば声を掛けて来るのでは?」

「ありがとう達也、お願い」

「はい、かしこまりました」

「達也が声かけられた数日後、私が囮に成って女の子が何処に居るか突き止める」

「彩」

唯人がまた悲しそうな顔をした、いつも囮に成れない自分が嫌なのだろう。

「そうだね、女の子達はスマホとか持たされて無い可能性が有るね」

光が言うと裏からスーツに着替えた達也が出て来た。

「いつも燕尾来てるからスーツが新鮮に見える」

サキが達也を見て言う。

「暗く成って来ましたので行って来ます」

そう言って達也は出て行った。

「唯人、囮に成る事だけが仕事じゃ無い、防犯カメラの操作や鍵を開ける事も立派な僕等の仕事だ、唯人に囮をお願いする時も有る」

「分かって居るよ光、でもありがとう」

達也がホテル街の入り口辺りに着いた時、後ろに人が居る事は分かったが普通に通り過ぎようとした時だった、声を掛けて来た若い男性が居た。

「お兄さん、女の子と遊ばない?」

「キャバクラ?」

「違うよ、裸で遊ばないって事」

「へえ、どんな子が居るの?」

興味を示すと男はQRコードを達也のスマホに読み込ませた。

其処は添付されていた物と同じだった。

「こんなに若い子居るんだ」

「此処だけの話、皆十五歳」

「本当に?今は皆、居るの?」

「はい、今は皆居ますよ、どんどん指名で居なくなっちゃうから早く選んだ方が良いですよ」

「うーん、じゃあ美樹ちゃんが良いな」

「此処で待ってて下さいね、女の子到着したらお金払って下さい、後はホテル代だけで良いので」

数分待つと男が少女を連れて来た。

「それで幾ら?」

「八十分で三万円です」

達也は三万円を払って美樹とホテルに入った。

少女とホテルに何も付いて居ないか確かめてから

「ご依頼を頂きました者でございます」

「来てくれた」

美樹は泣き崩れた。

「八十分、お話を詳しく聞きたいのですが大丈夫ですか?」

美樹は何度も頷いた。

「皆さん本当に十五歳なんですか?」

美樹は頷く、達也は美樹にジュースを頼んで持って来て貰い

「どうぞ」

と、テーブルに置くと美樹が三十万円渡して来た。

「皆でチップを隠し持ってお客さんにスマホを借りてお願いしました」

「何故、此処に居るんですか?攫われた?」

「ホテル街に入る所の近くに小さな公園が有って家出の子や終電逃した子とかが集まって居るんだけど十五歳の子だと分かると男を呼ぶ奴が居るの、お小遣い稼ぎで、それで泊めてあげるって女の人が言ってくれてその家に行くともう風俗の事務所に成ってて荷物全部取られてそこから出れなく成るの、下着で写真撮られて、下着は毎回新しいのをくれるんだけど、多分、売ってるんだと思う」

「十五歳以外は声かけられないの?」

美樹は頷く、やせ細り栄養が足りて居ないのが分かる、達也はメニューを見せて

「何か食べませんか?」

と、聞くと美樹は驚いて

「良いんですか?」

「好きな物を頼んで下さい」

そう言って食事を取らせた。

「食事とかはどうなっているの?」

「お客に付いた次の日の朝はお弁当を買ってきてくれる、でもお客に付けないと食べる物は無いの、だからお客に付いた子が皆に分けて居るの」

「外から鍵が掛かって居るのかな?」

美樹は食べながら頷く。

「男は何人居るか分かる?」

「男が二十人で女が五人」

「一か所に集まって居るのかな?その二十五人は」

「夕方に成る頃に集まって男達は客引きして女は公園に行くの」

「そうか、ありがとうございます、もう少しだけ待って居て下さい、必ず助けますから」

美樹はまた泣きながら達也にしがみ付いた。

「ありがとうございます、皆、この時を待って居ました、お願いします」

「バレない様に仲良く出て行きましょう」

「はい」

達也は美樹をエスコートする様にホテルを出ると、迎えの男が其処に居た。

「じゃあ美樹ちゃん、またね」

「うん、また指名してね」

手を振って男に連れて行かれる、男を追いたいが周りに仲間が居るのが分かった。

そのまま大通りを通り事務所に帰って行った。

皆はもう帰って居た、達也も自分のマンションに帰って行った。

次の日、事務所に皆が集まった時、昨日の事を報告する。

「食事もままならないのか?これはもう囮を入れている時間は無いね」

光が言うとパソコンで何かしていた唯人がスクリーンに出しながら

「昨日、達也にお願いして女の子、美樹さんに追跡機能が付いてるシールを貼って貰ったんだ、事務所の場所が分かったよ」

「唯人凄い、これで直ぐに行けるね」

サキが嬉しそうに言うと今度は海が

「問題なのは殺してから女の子を救出すると死体を見ないと行けなく成る」

「そうか、それを考えて無かったわ」

彩が言うと唯人が

「大丈夫、二階建てで女の子は二階に居る、一階で集まっている時に殺してドアを閉めて置けば見られないよ」

「証拠は?」

「昨日の話を録音して有ります、私の声を加工して貰えますか唯人様?」

「良いよ、それとこの映像で十分じゃ無いかな?どう光」

「良いね、それで行こう、結構は今日の夕方、でも女の子は行く当ても無い子が居るのでは?」

「こんな思いをしているのです帰るか誰かの家に行くと思いますよ」

達也が光の問いに答える。

「それじゃ皆、宜しく、今回は人数が多いからね」

「了解」

全員が声を揃えて言った。

そして夕方に成る少し前にその場所に着き中に全員が居るかマイクロスコープで確認する。

唯人が外から車の皆に手招きした、見に行く前にちゃんと周りの防犯カメラをコントロールしていた。

そして皆が揃いドアを開け一階のドアを蹴破った。

「何だお前ら、皆やっちまえ」

「さあ、お前達の命で罪を償う時間だ」

光が言うと皆が一気に動く、部屋は狭いがドアの鍵をした、誰も逃げられない。

唯人はテーブルに滑り乗り有ったハサミで首を刺して殺して行く。

サキは足払いをして転んだ奴をカッターで切り刺して殺して行く。

海は二人まとめて頭をぶつけ合わせ側に有ったロープで首を絞め殺して行く。

彩はキッチンに有った包丁を使い首を切り殺して行く。

達也は手早く後ろに回り首を折って殺して行く。

光は持って来ていたサバイバルナイフ二本で首を切り殺して行く。

其処に女性が居ても関係ない、皆殺しにして行く。

そして全員が死んだ後、達也は二階に行き鍵を開けて少しだけドアを開け洋服や荷物を入れて行く。

そして血まみれに成った服を着替え手と顔を拭きまた二階に戻りドアを少し開け

「皆さん着替えましたか?」

「はい、着替えました」

その声を聞きドアを開けてると次々と女の子が出て来て

「ありがとうございます」

と言いながら頭を下げ逃げて行った。

一気に少女達が出て来た事を不思議に思った連絡係的な男が二人事務所に入って来た。

女の子達が逃げるまで一階に居た五人は入って来た二人も殺した。

「女の子達は全員此処から逃げました」

達也が言い車を入り口に付けると五人が後部座席に乗り込み去って行った。

警察が女の子が売られていると情報を得て事務所に向かうとあり得ない光景を目にした。

「二階には誰も居ません、居た形跡は有るんですが、うわっ何だこれは」

「奴らは何人居るんだ?此処に死んでいるのは二十七人だ」

「神出鬼没、何処から情報を得て何人で殺して居るのだろう、竹下、麻生」

「分かりません、しかしこれだけ殺すのは銃も使って居ないのにどれだけの時間で殺したんですかね?」

「本当に殺人集団だな」

事務所に着き、シャワーを浴びて着替えてハーブティーを飲んで居た。

「久々に狭い部屋で大人数を相手にしたね」

「うん、狭かったね」

光が言うとサキが答えた。

「達也、女の子の荷物にお金少し入れて上げた?」

「光様の仰せの通りに入れましたよ」

「イヤイヤ、いつそんな事してたの達也?」

「中間位の時ですね」

彩が驚きながら言うと達也が微笑みながら答えた。

「本当に一番謎なのは達也だね」

そう云って皆で笑って居た。


  第十七話 歩行者専用道路への暴走


 「最近猫探すのが早くなった気がする」

サキが言うと唯人が笑いながら

「僕も同じだ」

そんな平和な会話がなされていた時だった。

「依頼が来た、依頼人は殺された十四人の親族、依頼金は一千万円、依頼内容は殺してくれ」

「これかな?今ニュースでやってるやつ歩行者専用道路にトラックが突っ込んで行ったって」

海が内容を言うと彩が丁度見ていたニュースを指さした。

「そうだ、その事件、犯人は捕まって今拘置所に居る」

「それで犯人は何て言ってるの?」

「仕事もクビに成って恋人にも振られて何でも良くなった、誰でも良かった」

海と彩の会話にサキが入って

「最低ね」

ポツリと言う。

「精神鑑定に成るみたいだ」

唯人が言うと光が

「拘置所に潜入する事に成るかな?」

皆で考える、これで精神鑑定で無罪に成ったら外で殺した方が良いと考えたが、親族達は今殺して欲しい様だった。

「拘置所に入って行った方が早いよね?」

「十四人も殺してその他にけが人も居る、誰でも良かったなんて何故言えるのか?」

サキが言うと彩がまた言う。

「どうするの光?」

少し考えてから

「供述調書とか見たいな」

そう言うと唯人がスクリーンに出した。

「これだよね?」

調書を見ると、受け答えはしっかりしている。

「何でこんなちゃんと答えて居るのに精神鑑定をするんだ?」

光が少し驚きながら言うとサキが

「この暴走車両を運転して居たのは会社の社長で良い弁護士を付けたみたい」

と答えた。

「このままじゃ無罪に成りそうだね」

また光が言うと、今度は唯人がスクリーンに拘置所の設計図を出しながら半分は拘置所内の映像を流した。

「丁度、此奴が居る部屋は換気口が天井に有るんだ僕ならこの中に入れる」

「唯人、本当に行く気かい?」

光が聞くと唯人は頷いた。

「だったら防犯カメラは私が操作するわ」

サキが立候補した、唯人の意志は強くそうするしかなさそうだった。

「毎日調書を取られて居る、部屋に帰って来るのは夕方から夜」

唯人が言うと、サキは何処に防犯カメラが有るのかを調べていた。

「唯人、行けそうだよ、中に入ったら唯人しかいないから気を付けて」

「結構は明日の夕方から夜に掛けてで良いかい唯人」

「分かって居るよ光、サキありがとう」

そして皆、その日はマンションに帰って行った。

車で送り迎えの者も居るが、彩は近いと言って歩いて事務所に来ていた。

次の日、皆でハーブティーを飲みながらテレビを見ていると、今回の事故で被害者の会が出来ていた。

弁護士達が集まり被害者の会の弁護チームが出来、精神鑑定を阻止しようとしていた。

「これで阻止出来るのかな?でも被害者の会の人達が依頼者なんだよね?」

彩が聞くと、海が

「そうだね、でもさこうやって広めないと向こうの弁護士にやられるからじゃ無い?」

と言った。

そして夕方近くなり皆で拘置所の近くまで移動して来た。

唯人は黒い服を来て黒い帽子を被って居た。

「唯人、黒のイメージ無かったけど似合うね」

「サキ、ありがとう、元気が出るよ」

今まで光の気持ちで集団で行動して居たが、今回は唯人一人で行う事に成る、久々の個人行動で少し緊張して居たのだろう。

「じゃあ行くよ、サキお願いね」

「任せて」

拘置所付近の防犯カメラと拘置所内のカメラを操作する。

唯人は拘置所の外のダクトまで来ていた。

通信機でサキが唯人に合図を送ると唯人はダクトを静かに開け中に入って行った。

クネクネとしたダクトを器用に登って行くとやっと目的の部屋の上に来た。

拘置所内の防犯カメラを操作する、そしてまた唯人に合図を送る。

空気口から座って居る男の首にロープを慎重に降ろして行く男は座りながら寝ていた。

丁度首にロープが掛かり一気に鉄の棒に通して引き上げた。

「うっ」

男は力いっぱい身体を動かすが、足がギリギリ届かない所まで持ち上げられていた。

暫くすると男は動かなくなった、ロープをそのまま鉄の棒に巻き付けて縛り自殺したかの様な格好に成った。

唯人が帰る時にはまだ見回りは来て居なかった。

外に出て皆の居る車に乗り込む、少し進んでからサキが防犯カメラを操作した。

「殺して来たよ」

「お疲れ様唯人」

そのまま夜に成って居たので達也が各マンションに送って行った。

次の日のニュースは大騒ぎだった。

「拘置所に居た犯人は首を吊って亡くなって居た様ですが自殺でしょうか?」

「警察関係者からの話では首を吊ったロープは天井の上から伸びて居て自殺は不可能だと思います」

拘置所は大混乱だった。

丁度精神鑑定の許可が下りた所で危うく責任能力が無いと判定されてしまいそうだった。

「唯人が早く決断してくれて良かった、ありがとう唯人」

光が言うと唯人は少し微笑みながら嬉しそうだった。


  第十八話 少年連続殺人事件


 「最近、少年が殺されて居るよね?ニュースでも凄く大々的にやってるね」

彩が言うとサキが

「これで何人目?皆、十代前半だよね?」

「そう、今回殺された子で十三人目」

そして海がスクリーンに出しながら

「依頼だ、今話題の少年連続殺人事件の犠牲者の家族十三件から依頼金は三千万円、内容は殺して発表してくれ」

「発表って何よ」

彩が言うと海が

「殺されましたってニュースにしてくれって事じゃ無いか?」

そう答えた。

「じゃあ、死んだ子の場所の防犯カメラを辿って誰か特定しないとね」

光が言うと皆がパソコンで調べ始めた。

少年はその場で殺されていた事が分かったが、同じ人物を探すのに難航していた。

人が多い所で刺し殺されて居た為だった。

「顔認証に掛けようか?」

光が言うと皆一斉に顔認証に掛ける、すると三人まで絞れた。

「三人が何処に帰るか、何処に行くのか辿ってみよう」

唯人が言うとサキ、彩、唯人が三人の足取りを防犯カメラで繋いで行く。

海は殺された少年達に何か共通点が無いか確認していた。

「少年達の共通点は小学校から大学までのエスカレートで行ける頭の良い学校に通って居るね、後は十代前半って事だけだ」

海が頭の後ろで手を組みながら言うと光は

「その中でも成績が良い子が多いね、何で調べて少年を絞っているんだろうか?」

そう言いながら他に何か無いか調べる。

「こっちの男性は普通に営業で会社に帰って居るよ」

彩が言うとサキが

「この女性は買い物して家に帰ってる」

「こっちの少年はそのまま家に帰って居るけど、途中で公園で手と何かを洗っている、後ろしか見えなくて分からないな」

唯人が調べて言うと一番怪しいのは唯人が追った少年だった。

「この男の子中学生だ、学校には行って居ない様だね」

「じゃあこの子が一番怪しいよね?」

サキが聞くと唯人は頷いて、スクリーンに出した。

「小島龍、十三歳、中学一年生で受験に失敗して公立の中学に行っている筈なんだけど、不登校、時々家から出て来ている」

「受験失敗が頭の良い男の子を恨む原因かしら?」

彩が聞くと

「多分そうだと思う、だけど少年事件だ、公表は出来ないよ光どうする?」

今度は唯人が光に聞く

「困ったね、殺す事は出来るけど公表は可哀相な気がする、だけど依頼は殺しと発表だ」

光もその発表が気に成って居た。

「交渉してみるね」

彩が言いながら相手と交渉し始める。

「もしも、相手が未成年だったら如何しますか?」

すると直ぐに返事が返って来た。

「未成年だとしても犯人を公表して欲しい!だって、遺族は誰であろうと許さない感じだね」

「そうか、可哀相だけど公表するしかない様だね」

彩が交渉したが決裂してしまった、光は仕方なく公表を決断した。

「もう少し、ちゃんとした証拠が欲しい、その男の子が犯人で間違えないけど、誰が見てもこの子だって分かる映像や証拠が欲しいな」

光が言うと皆は光がもしも違ったらと考えているのだろうと思いが伝わった。

皆は、小島龍の外に出た日の行動を全て防犯カメラで追う、が決定的な物が見つからない。

「ねえ、小島は月二で犯行を決行して居るよね?一日と十五日、今日は十四日、少年達の学校は成績をネットで公表している、上位三人までは顔写真が出ている」

ずっと少年達の方を調べていた海が言うと

「じゃあ、僕がこの成績優秀者で顔写真を出せば狙って来るよね?」

唯人が言うと光が反対した。

「こんなに人が多い所では唯人が危ないよ」

「大丈夫、僕を周りから見て決定的な所を動画で撮ってくれればちゃんとした証拠に成る、その後、小島を拉致して犯行を告白させれば良いんじゃ無いかな?」

少し皆が考えたが決定的な証拠が無い事も確かだった。

「唯人、怪我するかもしれないよ?それでもやるの?」

光が聞くと唯人が頷いた。

「仕方ないか、じゃあ唯人の案で行こう、唯人お願いね」

光が言うと唯人は学校の成績と写真を操作して自分が二番目の成績にして写真を自分の写真に変えていた」

次の日に成り学校の制服を達也が用意し下校時間前に学校まで乗せて行く、車から降りて皆に

「皆、お願いね」

そう言って唯人は学校の門に行き帰りの振りをして歩き始めた。

人通りが多い所に入ると車から皆が車から降りて唯人が見える所で動画を撮影し始めた。

男が唯人に近付いて来たのが分かった。

それは唯人も気が付いて居た、男が唯人の後ろに付き刃物を出して一気に刺そうとした時だった。

唯人は身体をクルっと回し腕が少し切られてがそのまま男の手首を捕まえた。

皆が唯人の元に集まり車に乗せ廃工場に連れて行った。

男を椅子に座らせロープで縛る、そして動画を撮りながら

「十三人の少年を殺したのはお前か?」

光が聞くと小島は

「そうだ、何が悪い?俺は受験に失敗したのに何であいつ等は優秀な成績で顔まで出して良い気に成って居るんだ?俺は合格まで一点越されてだけなのに、俺の上の奴が一問間違えれば俺が入って居たのに」

「理由はそれだけか?」

海が聞くと、小島は

「塾に行き遊びたいのに勉強をして家庭教師も付けて、落ちたと分かった時、父親が何て言ったと思う?お前に掛けた金はドブに捨てた様な物だな、お前にはガッカリさせたれた、そう言ったんだ、兄は優秀で学校に入った後も成績優秀で顔写真が毎回出ていた」

「お前の兄はどうしている?」

「一番最初に殺した、家の裏に有る山に捨てた」

「いつまでこんな事をやるつもりだった?」

今度は彩が聞くと小島は

「俺の恨みが無くなるまでだ」

其処で録画は終わりにした。

「お前の命で罪を償う時間だ」

光は悲しそうに言った、サキが普通に小島に近付き

「貴方は貴方で普通に生きて行けばそれだけで良かったのに、可哀相な人」

サキに言われ小島は何故か涙を零した、こんな言葉を掛けられたのは初めてだったのだろう。

サキがそのままロープを首に巻き後ろから背負い投げの様に首を絞めた。

事務所に帰り達也が唯人の傷の手当てをしていた。

「今回は、警察ではなくネットに流そうと思う、警察や報道機関に流しても少年Aで終わってしまうからね、どうだろう皆?」

光が言うと唯人の手当を手伝った居たサキが

「良いと思うよ、ネットなら直ぐに拡散する、警察も本人の犯行を知って家の裏山を捜査すると思う」

他を見ると海と彩も手を挙げていた。

「唯人、大丈夫?これ痛み止め、病院に行かなくて平気?」

サキが腕から血を流した唯人を気にしていた。

「サキ、ありがとう大丈夫だよ」

「縫う程では有りませんが傷は深いので安静にして置いて下さいね」

「うん達也ありがとう」

光が動画をネットに流した、どんどん拡散され夕方には少年Aとしてニューズに成って居た。

「まさか少年が自分より年下の少年を殺して居たとは思いませんでした、元刑事の佐野さんはどう思われますか?」

「そうですね、犯行動機が自分は合格しなかったからって言うのは逆恨みでしか在りませんね、亡くなった少年達とご家族にご冥福をお祈りいたします、最近は少年犯罪も増えていますね」

キャスターとパネラーが話会って居たが予想通り名前は出て居なかった。

警察は映像の供述通りに家の裏山を捜索し一番大きな木の横に遺体が埋まって居るのを発見した。

両親は長男が居ない事は気が付いて居たが二男が恐くて聞けなかったと供述していた。

二男が長男を殺して居たと気が付いていたがそれを言うと家で暴れ手が付けられなく成るのが恐かった様だった。

「でもさ、兄を殺す程、悔しい物なのかしら?」

彩が聞くと皆が首を振る、龍の行動が理解出来ないで居た。


  第十九話 結婚


 「皆様、明日は此処には来ないで正装をして一ノ瀬家に行って頂きます」

「正装で一条家?黒い服で良いの?」

サキが聞くと達也は首を振りながら

「サキ様、彩様はドレスで、光様、唯人様、海様はスーツでお願いします」

「達也、明日は何が有るの?」

「光様の兄上で一ノ瀬家長男の侑様の結婚パーティーが御座います」

「僕にお兄さんが居るの?」

達也は皆にハーブティーを入れ配り、自分も座って話始めた。

「一条家には長男の侑様【十八歳】光様【十五歳】妹の南様【十三歳】です、二階堂家にはサキ様【十二歳】妹のユキ様【十歳】弟の颯様【八歳】三ツ矢家には海様【十八歳】妹の真希様【十七歳】弟の空様【十五歳】五条家にはお姉様の美雪様【十七歳】お姉様の七海様【十五歳】お兄様の直人様【十四歳】唯人様【十歳】六本木家には春香様【十八歳】まなみ様【十六歳】三奈様【十四歳】七星家にはお兄様の仁様【十九歳】彩様【十六歳】妹の友様【十四歳】これが八木家以外の子供全員です、侑様が真希様、美雪様、春香様とお見合いをして春香様を正妻にする事が決まりました」

少しの間、無言の時間が流れた、皆が初めて知る六家の子供達の存在。

「待って達也、正妻って何?」

光が聞くと達也が

「言いずらい話ですが、一ノ瀬家に男の子が出来なければ成りません、ですから普通の奥様に成るのは春香様、春香様に男の子が出来ない、又は一人しか男の子が産まれなければ侑様が次に選んだ真希様か美雪様を側室として迎えるのです、その時は身内だけのパーティーに成ります、そして一ノ瀬家に数人男子が産まれなければ最高で五名まで側室を娶ります、一ノ瀬家本家の裏の広大な庭に五個の屋敷、本家より小さいですが家が建って居ます」

行き成り色々な家の情報が入り混乱していた。

「何だか女性が可哀相だ」

光が言うと達也が

「古からの決まりでございます、裏に選ばれなく、スペアでも無い女性は結婚する事を教えられます、そして今回、光様が選ばれし者に成った為、お兄様は表の総帥に成るべく修行を致します、そして総帥が選んだ女性と見合いをして正室、側室を選びますが、春香様に男の子が二人以上産まれれば側室候補の女性は他の家の男性と結婚致します、そして一ノ瀬家に産まれた女性、今回は南様は日本で産まれ日本で育ち花嫁修業を致します」

「そう成ると侑様も殆ど選べないって事だよね?」

彩が聞くと達也は頷いた。

「何だかおめでとうって言いづらいパーティーだね」

海が言うが仕方のない事だとは分かって居る。

次の日に一条家に行くと凄い人の数だった、政界などの各界から見た事の有る人ばかりが居た。

そしてカラードレスを着た美雪、まなみが立って居た。

光は初めて見る兄に挨拶に行った。

「初めまして侑兄様、光と申します、この度はご結婚おめでとうございます」

「初めまして光、侑だ、ありがとう、そして妻の春香だ」

「初めまして光さん、春香です宜しくお願いします」

華やかで美しい女性だった。

少しだけ挨拶をしてまた皆の元に戻る。

「春香さんて六本木家何だね、まなみさんも六本木家、姉妹で見合いしたんだ」

彩が複雑な顔をしていた。

「そうだね、今回六本木家は裏に選ばれて居ないからね」

光が言うと海が

「もしかすると俺の妹が側室に成る可能性が有るんだな」

何だか事務所の皆が集まって居た。

「でも誰が自分の兄妹か何て分からないよね?」

唯人が言う

「そうか、唯人には上に三人居るんだもんね」

光が言うと皆が笑いながら頷いた。

其処に一ノ瀬家総帥が現れ

「この度は孫の結婚披露宴にお集まり頂きありがとうございます」

「孫の一ノ瀬侑と妻の春香です、皆様のご指導ご鞭撻のほど宜しくお願い致します」

二人が頭を下げると会場から拍手が成って居た。

此処に集まった人たちは一ノ瀬家の総帥とのパイプを持とうとして集まって居る。

侑もその事は承知の上だった、そして未来の総帥に顔を覚えて貰う為でも有った。

「でも春香さんて奇麗、ドレスも凄く素敵ね」

サキが言うと唯人が

「彩もサキも負けて無いよ奇麗さは」

「最近何だか唯人が光の様な事を言い始めた気がする」

海がため息を付きながら言った。

「えっ僕そんな事言って居る?」

「うん言って居る」

自覚症状が無い様だった。

そしてカラードレスに身を包んだ海の妹が寄って来た。

「初めまして海兄様、妹の真希です、お会い出来て嬉しいです」

「奇麗だね真希、初めまして兄の海、俺も会えて嬉しいよ」

「兄様ごめんなさい正室に成れなくて」

「何でそんな事言うの?真希が幸せならそれで良いんだよ?」

「でも兄様が選ばれて良かった、ありがとうございます」

そう言って元の場所に戻った。

「一体どう言う事?」

皆が混乱していると白髪の執事が来て説明した。

「裏の者に選ばれず、正室にも選ばれないと言うのは家にとって大事なんです、今回六本木家から裏の者に選ばれた人は居ません、ですから何が何でも正室の座だけは取りたい、でないと家の為に成らないのです、しかしそれを考えて侑様は正室を選んだ訳ではございません」

「誰?」

「失礼いたしました、八木家の長でございます」

達也が来て紹介をした。

「侑兄様は総帥が選んだ花嫁候補から好きな方を妻にしたって事で良いの?」

「そうで御座います、前回のチームは長男がリーダーに成り、殺され光様のお父様が表の総帥に成って居ましたが、男の子が二人産まれ急遽大人で初めて裏のリーダーに成りましたが全滅致しました、八木家の者、私の息子も急遽招集されましたがお守り出来ず申し訳有りません」

光は長の肩に手を置き

「長、僕等は親も兄妹も知らないのです、だから謝らないで下さい、此処に居る誰が兄弟か何て分からないですしだから良いんです」

「達也が言って居た通りお優しい方ですね光様は」

「あの八木の長さん、もしも子供が出来なかったら?五人の女性を娶り男の子が出来なかったら?」

彩が真剣な顔で聞く

「人工授精により男の子を作ります、一番若い妻で」

彩の顔色が悪くなる。

「どうしたの彩?」

海が心配して彩に聞くと彩は

「見て分からない?客以外の大人の男性は沢山居るのに大人の女性が少なすぎる」

「彩様は良く気が付く、御察しの通りでございます、子供を多く産まないといけない女性は早くに亡くなってしまうのです」

「其処までして繋がないといけないのですか長」

「そうで御座います、此処に居ない子供達は何時何時招集されても良い様にスペアとして海外に居ます、途切れさせてはいけない血なのです」

彩の顔色がどんどん悪くなる。

「申し訳ございません、まだ達也に聞いて居なかったのですね」

「良いんです、知らないで僕等は知らない方が良い悲しい人も嬉しい人も居ると思うだけど僕等は依頼を受けるしか無いんだ、そして誰一人欠けないで次に繋げよう」

「光様、ご武運を」

それを聞き事務所の皆は裏から帰って行った。

車の中には嫌な空気が有った。

その後、誰も結婚について何も言わなくなった。



  第二十話 狙われた彩


 彩は運動も兼ねて事務所には歩いて来たり走ってきたりして居た。

他の皆は車で移動していた危なくない様にそうして居たが彩は嫌がって車での通勤はして居なかった。

事務所の皆はそれを心配して居たが彩は云う事を聞かなかった。

朝、いつもの様に歩いて事務所に向かっていると林が有る場所で行き成り林に引き込まれた。

「うわ、本当に可愛い」

「何だお前ら」

彩が臨戦態勢に成る

「相手は十二人、女だからってバカにしないで欲しいわね」

「俺、気の強い女好きだ」

相手は喧嘩慣れしているし武器を全員持って居た。

足をタックルされ倒れそうに成った所をバットで頭を殴られた。

「くそ」

彩がバットを奪い本気を出した。

「全員ぶっ殺す」

逃げようとしても彩の方が早い、追いつかれバッドで頭を殴られる。

そして刃物で突進して来る男をくるりと回ってかわしその刃物を奪い首を狙い殺して行く。

「何だよ此奴、滅茶滅茶強い」

彩の目がいつもと違い海外に居た時と同じ目に成って居た。

頭を殴ろうとバッドを頭目掛けフルスイングするが彩は足を前後に開き避けた後腹にナイフを刺し殺す。

「彩来るの遅くない?」

サキが時計を見て言うと達也が窓から外を見て

「彩様が襲われています」

達也がスマホで幾つかの所に連絡をした。

皆がその林に着いた時には全員死んでいた。

「彩」

彩の頭から血が出て居て顔の半分が血まみれだった。

直ぐに達也が来て

「皆さん事務所に帰って下さい、早く、彩様この車に乗って病院へ」

「大丈夫よ達也」

「云う事を聞いて下さい」

初めて達也が強い口調で言う。

皆が事務所に帰る時林を見ると黒い服を着た人物が二十人位来て現場を隠し何かをしていた。

彩は車に押し込められ八木病院に連れて行かれた。

「此方でお待ちください」

「はい」

直ぐに白衣を着た人物が来て彩の傷を見て

「少し縫わないといけませんね」

誰かに似ている名札を見ても皆八木だから分からない。

「達也に似てますね」

「でしょうね、私は達也の兄の凍矢と言います、達也とは七才違いますが、それよりも女性がこんな傷を作ってはいけませんね」

そう云って隣の部屋に移動して彩の頭を縫い始め包帯を巻いた。

「入院はしないで大丈夫ですが、良いと言うまで通院して下さいね」

「はい、ありがとうございました」

入ってきた裏の入り口から出ると黒い車が待って居た。

その車に乗り事務所に向かう、そして事務所に入ると彩は頭を下げて謝った。

「ごめんなさい、依頼じゃない殺しをしてしまいました」

「まああの状況じゃ仕方ないとは思うけど、彩、明日からは車で来る様に」

光が言うと彩は頷くだけだった。

「達也、あの私が殺した人達は?」

「八木の者達が隠しました、しばらくしたら海から見つかるでしょうけど」

達也も少し怒って居る様な感じがした。

「彩が怪我するなんて珍しいね」

海が言いながら彩の頭を見て、傷が無い所を撫でた。

「海、ずるいよこんな時に優しくするなんて」

彩は泣いて居た、本来なら依頼以外殺してはいけない、だから皆はそんな事の無いように車で通勤して居たのだった。

「まああの位倒せないと選ばれた者に成れないけどね」

唯人が励ます様に彩に言うと彩は微笑んで

「唯人ありがとう、そう云えば達也のお兄さんに見て貰ったの、似て居るね」

「そうですか?兄は頭が良く医者に成りましたが余り接点が有りませんので良く分からないのです」

「八木はいっぱい人が居るからね」

光が言うと皆が達也を見た。

「時が来たらちゃんとお伝えしますから待って居て下さい」

六家の事より一番の謎なのは八木家だった。

「今回の事は如何なさいますか?光様」

「そうだね、総帥には言わないといけないね」

「ごめん、私、一ノ瀬の総帥に謝りたいのだけど」

彩が光に願うと光は首を振り

「駄目だよ彩、これは僕の管理の問題なんだ」

「でも、私が従わなかったから起きた事でしょ?だから」

光は掌を彩に向けストップの合図をした。

「達也、車を、本家に行く」

「かしこまりました」

車が来ると光はその車に乗り込み一ノ瀬家に向かった。

「私のせいで光が怒られる?」

彩が言いながら達也を見た。

「それは分かりません、光様と総帥の話し合いに成りますので」

その頃、光は総帥の元に居た。

「総帥、今回は彩が十二人の武器を持った男に襲われて反撃し殺しました」

「ほう、七星の娘はじゃじゃ馬じゃな」

「彩は今回の事を猛省しております、通勤は明日から車での移動と成りました」

「八木から聞いて居るが、お前達裏の者に殆ど自由は無い、今回の事でお前はどうする?どう考える?」

「通勤、事務所へは車で移動他、依頼以外は自由にして欲しいと思いますが、彩、サキは容姿端麗で目立ちますが雁字搦めにするのは可哀相です」

「光はそれでもチームを纏められると思うのか?」

「はい、出来ると思って居ます」

総帥は少し笑いながら

「ではやってみろ、今までに無い形で誰も欠けずにまとめて見ろ光」

「はい総帥」

そう云って事務所に帰って来た時、彩が走って光に

「ごめんね私のせいで怒られたよね?」

その目は涙ぐんでいた、光は彩の怪我した所に手を当て

「皆、聞いて欲しい事が有る、今僕は総帥と話をして来た、此処への通勤は車で移動、依頼以外は殺さない、しかし自由にして良いよ」

達也は驚いて居た

「そんなチームは今まで有りません」

「そうだね、総帥にも言われたが、それでも纏められるならやってみろと言われた」

「大丈夫なの総帥にそんな事言って」

サキが言うと光は微笑みながら

「今回の事件で彩とサキは可愛いし美人だ町に出れば目立つ事を考えてね、僕は皆を雁字搦めにしたくは無いんだ」

「本当に今回のチームは異例だらけですね」

「達也にも迷惑や役割が増えるかもしれないけど宜しくね」

達也はいつもの微笑みで

「その位サポート出来ずに此処には居ませんお任せを」



  第二十一話 警察


 「ニュースの時間です、今朝東京湾に大きなスーツケースが十二個流れ着いて中は成人男性が殺され裸で入って居ました、身分証明書などは無く捜索願いも出て居ません」

そんなニュースが流れ達也がハーブティーを入れ配りながら

「早く見つかってしまいましたね」

「あれって彩が殺した奴等?」

「そうです」

「達也、普通の会話の口調で言わないでくれないか?」

海が言うと達也は何事も無かった様に普通に作業していた。

「今回のスーツケースも奴等ですかね麻生先輩?」

「いや分かんねえな、何かいつもの奴等とは違う殺し方な気がするんだ」

「でも、こんなに殺されて居るんですよ、今回は十二人」

「生存者が居ても誰が助けたかは誰も言わない、生きて逮捕されても奴等が何人なのか、男なのか女なのかすら分かって居ない、通報も電波の範囲すら分からないプロの殺し屋集団ってだけで森先輩も昔から居るって言ってたし」

麻生が頭を掻きながら言う、正体不明の殺し屋集団かと思いきや通報して来る場合も有る、それが警察を惑わせた。

そして調べようとすると行方不明に成ったり殺されて居たり、急に転勤に成ったりする。

「圧力が効くって事は警察関係者か何かですかね?」

「竹下、お前結婚したばかりだろ、あんまり深入りするな」

「でも麻生先輩、このまま放って置く訳には行かないでしょう?」

麻生は暫く考えてから

「まあ、ずっと放って置く訳では無いまだその時ではないって事だ竹下」

竹下は倉庫に行き代々先輩たちが調べて来た資料を開いた。

「一番古い資料で言うと・・・江戸時代?嘘だろ何時から有るんだよこの組織」

最近のも見て見たが書いた人が皆違った、書いた人に話を聞きに行こうと調べると皆、死んでいた。

「だから少しずつ調べて居るのか皆、でも核心に付いた物は全くないんだな」

竹下は麻生の言いつけを無視して調べる事にした。

「先ず最近のから調べて行こう、十二人のトランクこれも奴等だとして考えよう、そして少年を殺した犯人、その前は歩行者専用道路の事件、女の子が売春させていた事件は皆生きている」

竹下は少女皆に会いに行き何でも良いから教えてくれと頼んで見るが、何も見て居ない聞いてないの一点張りで情報無しに成る、病院にも行くが分からないと言われるだけだった。

「光様、最近刑事が一人我々の事を調べている様ですが如何しますか?」

「警察もしつこいね、死人が出て居るのに何故調べようとするんだろう?」

「まだ泳がせた方が良いんじゃない?」

彩が話に入って来る。

「何で彩?」

「きっと私がやった十二人もチームでやったと思っている筈、だからよ、殺し方が違うから惑わせられる」

「成程ね、そうだね直ぐに消しても調べる奴は出て来るからね」

「警察もこっちの事を調べる前にさ、事件の事とかやらないといけない事沢山有るのにね」

唯人も警察の動きを見ながら言う。

「竹下彰浩、三十歳、結婚したばかり」

「サキ、怖いよもう殺す準備して居るのかい?」

光が言うとサキは

「惑わせるならとことん違う方向へ誘うだけよ」

「一番怖いのはサキだってわかったね」

光が笑いながら言った。

「でもさ光、少しずつ調べて居るんだよ警察は消されても調べている少し資料が増えている」

唯人が言うと光はまた笑いながら

「増えても分からないよ、だって前は違うチームだからね、前回と今回は時間が経って居るからね」

「確かに、前のチームは銃がメインでしたが今回のチームは色んな方法、武器を使っていますから」

達也が考えながら言う。

「まあ警察にも犯人逮捕の手伝いして居るんだから其処まで突かなくてもね」

海が首の後ろに手を組んで言う。

「まあ総帥にも言って置こう、この竹下はちょっと厄介な奴かもしれないしね」

「其処はお任せください」

そう言って達也は裏に行ってしまった。

「あーあ、八木を怒らせると一番怖そうだよね?」

唯人が言うとサキが笑いながら

「確かに、八木は何処に誰が居るのか分からないからね」

その八木家に連絡を取って居た達也は

「長、電話で失礼します、刑事また嗅ぎ回っている様です、光様は泳がせようと言っておりますが、如何しましょう?」

「何回も分からない奴等だな、分かった此方で手を打って置く」

「ありがとうございます、宜しくお願い致します」

フーと息を吐き皆のハーブティーを入れ始めた。

そして気を逸らす為の情報を提供する為、達也に連絡が有った。

「皆様、警察の目を他に向かせる為に事件の依頼では有りませんが仕事をお願いします」

「珍しいね達也、何の仕事だい?」

光が聞くと達也は

「長からの情報ですと大麻に手を出して居る高校生が同じ学校で二十人位居るとの事です、売人は同じ高校生で十三人、分からない様に売人の数を増やして居る様です」

「それでどうするの?」

「買っている高校生の情報を警察に提供し、売人は此方で捕まえ警察に引き渡します」

「それって逆に目立たない?」

「長が警察上層部と話を纏めました」

事務所の中は静まり帰った。

「長って警察にばらしても大丈夫なの?」

「はい、長はボイスチェンジャーを使い何処から掛けているのかも分からない様にして居ます」

「じゃあその売人を捕まえますか?」

「いいえ今回は私だけで行きます」

「分かった、僕達は此処で待って居るよ」

達也は車で店まで行き仮面をかぶり店の電気を消した。

「何だよ、真っ暗じゃん」

「うわ何だよ、何すんだよ」

一人一人丁寧に手と足を縛って行く心の中で数を数えながら、十三人縛り終わり車に乗り連絡をする。

急いで事務所に帰ると

「達也防犯カメラはコントロールして置いたよ」

「ありがとうございます唯人様」

「警察も早いね、もう店に来ている」

「達也、几帳面だね縛り方が」

光が笑いながら言うと達也が

「緩んでは逃げてしまいますからしっかりと縛りました」

「森先輩、これも奴等ですかね?」

「分からないな、警察にタレコミが有った、大麻を買っていた生徒達の情報だ、こっちは売人の高校生、聞けば一人か二人位だと言って居た」

「尻尾すら掴めないなんて」

竹下はゴミ箱を蹴った。

「こっちの事を気にするよりもちゃんと仕事しろって事だろう」

「馬鹿にされて居るみたいですね」

「いや、ちゃんと警察の仕事をしないと捕まえないといけない犯人も殺されてしまう、暫くは奴等の事は放って置いた方が良い」

「しかし高校生まで大麻が回って居るとは日本も危ない国に成ってしまいましたね」

「だからちゃんと仕事しないとな」

森は竹下の肩を叩いて廊下を歩いて行った。


  第二十二話 宗教


 暫く裏の依頼が無い中で浮気調査などの仕事をこなして居た。

「本当に日本って浮気する人多いね、嫌に成る」

「久々の依頼だよ」

海がスクリーンに詳細を出す。

「依頼者は宗教二世の十三人、親が高額な献金をして子供達は貧困で困って居る、依頼内容はその宗教を消してくれ依頼金は一千五百万円」

「多いな、最近その手の話」

光が言うとサキが

「皆、嫌な事が有ると助けを求めそれが宗教に行くんじゃ無い?」

「サキは大人な考えをするんだね?」

海がサキの頭を撫でるとサキは不満気だった。

「その宗教の上層部を叩けば良いのかな?そうすれば壊滅するよね?」

「多分、その案で行けると思うけど皆はどう思う?」

彩の案を光が皆に聞くと皆が頷いた。

「この団体の上層部は十人、教祖を含めてね」

唯人が調べ上げる。

「いつも早いね唯人」

「ただ、同じ日に居ないんだ」

唯人が言うと皆が考え始めた。

「新しい信者が入った時とかは?」

「最近入って無いからなあ、待って今来た、良いタイミング、今日は皆居るね」

「じゃあ今日やら無いといけないのか?用意とか間に合うか?」

「私達に用意なんて要らないでしょ?」

海が言うと今度は彩が答えた。

「待って、次の信者を待とう、きっと何か有るから皆が一緒に成らない様にして居るんだ」

光が待ったをかけた。

「でも光、次にいつ信者が入るか分からないよ?」

「調べたら、三日後に教祖の誕生祭が有る、集まるんじゃないか?」

「成程ね、いっぱいの人が来るだろうね」

光が調べて事にサキが言った。

「でもさ人が多くてやり難く無いか?」

海が言うと唯人が

「イヤ、光の案が良いと思うよ、その日なら献金が多く成って遅くまで金を数えているんじゃない?」

話は纏まった、そして皆が三日後に向けて色んな情報を集める。

入り口、何処の部屋に集まるのか、そして何時位まで居るのか一年前の誕生祭のデータを復元して見ていた。

「彩様、頭はもう大丈夫でしょうか?縫って居るんですよね?」

「ありがとう心配してくれて達也、抜糸も終わったし先生も大丈夫だって」

「そうでしたか良かったです」

達也は誰にも怪我をさせない為に色んな用意をしていた。

皆が帰った後に地下に行き拳銃を持って上がって来た。

その宗教組織は拳銃を隠し持って居ると情報を掴んで居た。

決行の夕方に事務所を出る前に達也は皆に拳銃を渡した。

「この組織は拳銃を隠し持って居ると情報が有りました、ですから護身用にお持ち下さい」

「何処でそんな情報を手に入れたの達也」

唯人が驚いて聞くと達也は唇に人差し指を立てて

「企業秘密で御座います」

笑顔でそう言った。

そして車に乗り教団に向かう、誕生祭だったからか遅くまで信者は会場に居た様だ。

裏から鍵を開け中に入って行く、達也が指で合図をする、指を下に向け地下に居る事を教える。

階段を下りて行くと賑やかな声が聞こえる。

「教祖様、今回は信者が沢山来てお布施が多いですね」

中には十人ちゃんと居た、ドアを少し開けて置いて海が電気の線を切った。

「皆慌てるな自己発電で次期に明かりが付く」

明かりが付くと其処にはチームの皆が居た。

「お布施をしたいなら親に言いなさい、此処は子供が来て良い場所ではないぞ」

「お前達のせいで子供達が苦しんで居る、お前達の命で罪を償う時間だ」

光が言うと皆が動く、やはり教団メンバーは銃を持って居た。

サキや唯人に向かい発砲すると二人は

撃った男に向かいサキがバク転し足で男の顎を強く蹴り上げる。

倒れた所を唯人が男の銃で胸に当てると

「待ってくれ君達を殺そうとしたんじゃない」

「命乞いは聞かないよ、僕等を狙ったよね?さよなら」

心臓を打ち抜いた。

全員が銃を持って居たらしく今度は彩に発砲したが彩はくるりと回り弾をよけそのまま回し蹴りを腹に居れ飛んだ拳銃を取って相手のこめかみに銃を男に持たせ打ち抜いた。

「弱そうな女、子供を狙うのは大人としてどうなの?」

光も狙われたが光は踊り場からカーテンをロープの様に使いターザンの様に男の手から銃を奪いそのまま心臓を目掛け打ち抜いた。

「銃に成れで無いね」

バタバタと倒されて行く仲間を余所に逃げようと扉に向かうが海が待って居た。

持って来た銃で確実に心臓を狙い一撃で殺して行く

「本当にクズは逃げるね」

達也は腕を持ち後ろに回り首を折って行くがその速さは逃げる事が出来ない。

「私腹を肥やし過ぎて遅いですよ」

そうやって十人全員を殺し終わり、二世達の恨みの手紙を置いて帰って行った。

次の日はまたニュースが大きく報じられた。

「宗教団体、朝日の会で教祖を含め十人が死亡して居るのが発見されました。教団で銃を所持していた様で警察が検証しています、お布施の金額が多額で信者の子供達が訴えを起こして居ました」

キャスターが言うと事務所では

「結構、小さな宗教団体って有るんだね」

唯人が言うと海が

「数えたらきりが無いよ」

と言って居た。

「心が何かに縋りたいんだろうね」

サキが言うと今度は光が

「サキと唯人は大人な考えをするんだね、馬鹿にしているんじゃなくて凄いなって思った」

光に言われると二人は少し嬉しそうに微笑んだ。

「それより達也、此処に拳銃有って大丈夫なの?」

彩が聞くと何でもない様に達也は

「大丈夫ですよ、足は付きませんから」

「本当に八木家は怖いね」

達也の答えに光が言った。

「これで子供達は自由に成るのかな?それだったら良いな」

サキが少し子供の表情で二世達の事を考えていた。


    

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