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短編とかその他

落ちる夢を見る男

作者: リィズ・ブランディシュカ



 こんな夢はやく終わってくればいいのに。


 俺は札束をにぎりしめて、ボロボロのソファーの上でねむりについた。


 札束のところどころは、赤い色で染まっている。





 落ちる。


 落ちていく。


 まるで終わりが見えない。


 俺は暗闇の中を、とにかく落ちていく。


 いいかげん飽き飽きしてきた。


 それくらいずっと落ちている。


 最初の頃は、怖かった。


 落下の終わりにどこかにたたきつけられるのではと思って、絶えずひやひやしていた。


 けれど、じきに飽きてきた。


 いい加減終わらせてくれよ。


 そう思うようになった。


 空中じゃ身動きができないんだよ。


 どこにも行けない、何もできない。


 はやく、終わってくれ。






 コンビニから奪った札束をにぎりしめて路地に飛び込む。


 背後では、防犯装置がならすけたたましいアラーム音。


 パトカーの音が聞こえてきた。


 無線に話す警察の声、どたばたとした足音。


 けれど残念。


 もう遠い。


 今日も犯人は、ゆうゆうと野放しだ。


 ほんとろくでもない人生だ。


 唐突に思った。


 会社をリストラされてから人生を転落していく一方。


 いずれ社会を困らせるゴミとして、誰かが処理してくれるのだろうか。


 そうなればきっと、その日こそあの夢の終わりが見れるはずだ。



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