だれも見ていなくても、だれも知らなくても ~宇宙タンポポ~
道ばたに咲く、小さなタンポポ。よくて気づかれず、悪ければ踏みしめられるだけのタンポポですが、花を咲かせて、その後わたげを飛ばしていくことで、たくさんの人の願いがかなうのです。だれもそのことに気がついていませんが……。
タンポポのわたげたちは、ふわりふわりと風に乗り、そのほとんどが地面に落ちます。そうして花を咲かせていくのです。……ですが、一部のわたげたちは、そうはなりません。風に流されて遠くまで飛ばされ、ときに大地に咲く様々な花を見おろし、ときに海の上を行くたくさんの船を見おろし、街の明かりに心をおどらせ、しんとした森にかなしみをおぼえ、そうしてどんどん高く舞い上がっていくのです。いったいどこまで? あなたが考えているよりも、はるか遠くへ。雲を超えて、さらにさらにその上へ……人間たちが、成層圏と呼ぶ層よりもさらに上へ。
そうしてとてつもなく高いところまで上ったわたげたちは、旅を終えて、花を咲かせるために落ちていきます。そのほとんどが、大気との衝突により、燃え尽きてしまうのです。それでも種たちは、旅をしたときに見た様々な光景を地上に残そうと、死に向かって落ちていきます。まるで走馬灯のように、その思いが光となり……。
わたしたち人間は、空を見あげて星を楽しみます。流れ星を見つけたら、だれもが祈りをささげるでしょう? 願いごとをかなえてほしいと、そう思うでしょう? その光が、種たちの記憶だと、いったいどれくらいの人が知っているのでしょうか?
流星群がある日、わたしたちはみな空を見あげています。だれも足元に咲くタンポポになど、目も止めないでしょう。踏んでいる人さえいるかもしれません。……それでもタンポポたちは、わたげを飛ばします。だれも見ていなくても、だれも知らなくても。それでもわたげたちは、たくさんの土地を旅して、空を舞い上がり、そして燃え尽きていくのです。
だれも見ていなくても、だれも知らなくても……。
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