「代償」 都市伝説ネタ16 「ナンパの代償」より
「おい、そろそろじゃないか?」
「ああ、もう来る頃だ」
「今回はどんな女連れてくるかな?」
「さあな。前は美形だったからな。今回は可愛い系が良いよな」
「高志のヤローがイケメンで良かったぜ」
「ホント、ホント」
孝典、アサト、毅の三人は指定されたラブホテルの一室で高志の帰りを今か今かと待ちわびていた。
渋谷を根城にしているこの四人は、渋谷のみならず原宿や新宿、池袋でも有名なタチの悪い四人組だった。
何がタチが悪いのかと言えば、彼らは連続強姦魔なのだ。それも四人と言う集団だ。
彼らに手口は至って簡単。四人の中でホスト系の容姿をしている高志が街でナンパをする。
言葉巧みに女を落とし、他の三人が待機しているホテルに連れ込むと言う手口だ。
連れ込まれた女はもはや逃げられない。何せ男四人掛かりである。屈強な男でも一度に四人の男を相手にするのは難しい。
着ぐるみを剥がされ男たちの欲望の捌け口にされた女は数知れず。一度甘美な世界を知った男どもは、もはや抜けられない快楽となっていた。
「おい、来たみたいだぜ」
その時、部屋の前で複数の足音が止まった。鍵穴に鍵を差し込む音がした。
孝典、アサト、毅の三人は部屋の窓際にあるカーテンの中に隠れた。
「さあ、入って」
案の定高志が入ってきた。その後ろには制服を着た女子高生が立っていた。
そして次の瞬間、カーテンの後ろに隠れていた三人が飛び出し、立ち尽くしていた女子高生を囲んだ。
「へへへ、遅かったじゃねぇか」
「悪い、落すのに時間掛かった」
「まあ良いじゃねぇの、時間はたっぷりあるぜ」
「そうだな」
そう言った四人だったが、女子高生は動じる事無く前を見据えている。まるで生きているのか死んでいるのか分からない表情で。
「さて、始めようか・・・」
「ああ」
指定の時間は当に過ぎていた。男たちが部屋に入って既に三時間経過し、既に二十分が経っている。
通常ならとっくにチェックアウトを済ませてホテルを出ている時間である。
にも関わらず四人は降りて来なかった。
いくら複数だったとは言え、あまりも遅いのではないか?そう思ったホテルの管理人は女子高生を含めた五人が入った部屋に電話を入れた。
しかし何度コールしても相手は出ない。
「まったく・・・」
管理人は業を煮やし、彼らの部屋へと向かった。
「お客さん、とっくに時間は過ぎているんですよ。出て行ってもらわないと困ります」
部屋の前で管理人はそう叫んだ。しかし扉の奥はしんと静まり返っており物音一つしない。
「困った連中だぜ・・・」
管理人は腰にぶら下げてあったマスタキーを鍵穴に差込、扉を開いた。
「ひっぃぃ!!!」
そして目の前に広がる光景に驚き、腰が砕けてしまった。
それはまさに地獄絵図だった。
部屋の中央に設置されたベッドの上で、四人の男が身体中をズタズタに引き裂かれ死んでいたのだ。
傷はかなり深く、辺り一面は血の海と化している。一体何をすればこんな姿に・・・。
管理人は携帯電話を使って警察に連絡を入れた。
そしてふと気付いた。
この部屋を利用していたのは五人だ。男四人と制服姿の女子高生。
だがベッドに転がっている死体はどう数えても男四人。
あの女子高生は一体何処へ・・・・。
彼女だけが外に出た可能性はゼロだ。管理人はずっと受付にいたのだから。
となるとあの女子高生はまだこの部屋に居るという事になる・・・。
意を決した管理人は警察が到着する前に部屋中を隈なく調べた。
しかし女子高生は何処にも居なかった。まるで消えてしまったかのように・・・。
その後の警察の調べでも、あの女子高生はとうとう発見されなかった・・・。
END