元引きこもりの学校生活4
自分が超能力者であるという話を人にした場合、相手は何を思うのだろうか?
そして、もし、自分が超能力者であるということを証明した場合、人は信じてくれるのだろうか?
答えはきっと相手のことを怖がったり、利用しようとしたりしてどうにか自分の利益になる事をしてもらおうとするのが大半だろう。
つまり、俺がここで言いたいのはある日、突如世界で自分だけ超能力に目覚めてしまった場合それは人を孤独にするということである。
まあ、もともと俺の場合は孤独だったのだけど。友達もいない、恋人もいない、知り合いすらいない俺には関係のないことだ。
でも、これはしょうがないんだよ、だって俺は……
記憶喪失なんだから!
目を覚ますと、俺の目には見覚えのない天井が映っていた。
「えーっと、ここは……」
部屋に一人、自分の置かれている現状を思い出そうと、口にするがなかなか思い出すことはできない。
俺は昨日まで記憶喪失で入院していて……
「そうだ、退院したんだった」
退院して、俺の両親という二人に連れられ俺の家だという所に来て、その日はそのまま自室で寝てしまったのだった。
「そう言えば、今何時なんだろう?」
時計を確認しようとするが、昨日は部屋の物など確認せず寝た為、どこに何があるのかはわからない。
「時計を探すことから始めなきゃだな」
部屋を探すといっても机とベット、本棚というシンプルであった為、すぐに見つけることは出来たのだが……俺って今までどんな人間だったのだろう?
「ちょっと探してみるか」
そして、部屋を少し漁ると高校のと思われるクラスの集合写真が発見できた。
「えっとこれが俺のクラスメイトなのか……」
それにはきちんと俺の写真も載っており、入学式後にとられたのか、まだクラスメイトの様子もぎこちない。
そして、俺にはそんな写真を撮った記憶は一ミリも無い。
それは俺が入学式からの帰り道で事故に遭い記憶喪失になったからなのである。
「で、これがうちの担任の七瀬先生でえっと、何の教師なんだろうな?」
先生は写真写りが良いのか姿勢よく写真の中央に座り、ショートカットの紙を整え、両手は膝の上に置かれている。これはきっと入学式の後に取ったやつだから、こんなきれいなかたが俺の担任だとは、スーツ似合いすぎだし、スタイルは良いわ、どこのモデルだよ。
「てかこれ、背の順じゃないのか……」
写真は名前順の様であ行に近い生徒は前の方、わ行に近い生徒は後ろの方となっている。
「キーン、コーン、カーン、コーン」
近所の小学校のチャイムが鳴っている。これはきっと一時間目のチャイムだな。
この写真に写ってるやつらも今頃は教室で勉強してんだろ。
そう考えると俺も学校に復帰するべきなんだよな……
でも、自身の事も知らずに新たな空間に溶け込むのってなかなか厳しいよな。
まあ、高校一年の最初にしこにあったおかげで周りの奴にも俺の記憶なんてないし、記憶が無いのはお互い様だと思うけど、一か月入院していて、どうせもう友人関係は出来てると思うしな。そう考えると行きたくはなくなるよ。
「で、えーと、こいつが秋野裕也か……」
気を取り直して写真の人物たちに見覚えは無いかと、あ行の人間から思い出そうとしてみても何も思い出せない。
何せ、入学式の時しか顔を合わせてない連中だ、思い出せないのもしょうがない。
そうして、俺は一人見ただけで思い出すことをあきらめた。
こいつらも今は教室で勉強しているのだろう。
取りあえずやることも無いし、ふて寝するか。
まず初めにお読みいただきありがとうございます。
どうも、瑞樹一です。
物語もやっと千尋の過去が始まり色々と展開していくと思うのでこれから面白くなるように頑張らせていただきます。
皆様のご期待に応えられるような物語になると信じて、
評価やブックマーク、感想などいただけると密かに小躍りしますのでぜひよろしくお願いいたします。