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女神の休日~推しと過ごす日々~  作者: 緑憐
第一章
6/22

6話 瑠依さん

 最近、彼は雅 瑠依になった。

 彼が、ウィアドルと呼んでほしいというのでウィアドルさん、とよんでいる、そのため特に変わった感じはない。   でも、


「ただいま。」

「おかえり。」 


 私は、彼を好きになってしまった。

 

 彼からしたらその他大勢よりちょっと高い位置にいるだけの人物なのに、好きになってしまった。


 はあ、恋の病というのだろうか。


  彼に告白したら、もう一緒に暮らせないのかな?とか、マイナスなことばかり考えちゃって。

 ときどきぐずって泣いちゃうんだ。  

 彼はきっと、辛いことに何度も何度も耐えてきた強い人だから。 

 きっと、私のこの恋の涙の意味を知っても、前を向いて、私に振り向きもせず、歩いて行っちゃうんだろうな。

 歩きがいつの間にか走りになって…。

 きっと、追いつけないほどの、キョリになっちゃうんだろうな…。


「泣いちゃうなんて、弱いな。私。」


 そう言って立ち上がるといつの間にか来ていたらしい彼の顔が目の前に。


「泣いてたのか?」


 そう言われ、奇麗な指で涙をすくわれる。


「どうした?」


 君のことで、悩んでたんだよ。好きで。だいすきで。ずっと、ずっと、君と居たいって、いえたら、どんなに私は元気になれるかな?


「なんでもない。」


 そう言って、離れようとした私は後ろから彼にぎゅっと抱きしめられた。


「なんでも、なくないんじゃないか?」


 なんで、

 こんな時に…。

 また泣いちゃうよ。

 なんでもいい。何か言わなきゃ。好きな人に、こんなぐちゃぐちゃな顔が見られたくない。 


「瑠依さんって、呼んでもいいですか?」


 もう、なんだっていい。


「どうして?」


 貴方を、


「貴方を、瑠依さんを、ウィアドル様っていう、物語の中の人じゃなくて、この世界で、私と一緒に暮らす、一人の男の人って、見てるからです。」


 私を抱きしめる力が強くなった。

 それでも、痛くないようにしてくれてる。 

 こんな時まで、優しくなくたっていいから。

 もう、言っちゃえ。

 あなたに、今、伝えたい。


「好きです。貴方が、好きです。物語の中の人じゃなくて、一人の男の人として好きです。どうしようもないくらい、好きです。」

 彼の顔は見えないけど、私の心には彼の顔がいつも写ってるよ。

 言ってからは、なんともいえない沈黙があった。

 その沈黙に耐え難くて、何度も逃げようとした。

 でも、そのたびに、彼が、「だめ。」って言ってくるから…。

 それに、彼の抱きしめる体温を感じていたくて…。


 気づいたときには、私はくるっと回転させられて彼の顔と向き合っていた。


 いつ見ても美しく、凛々しい彼。心なしか、彼の耳朶が紅く染まっているように感じる。

 彼はきっともとの世界で、たくさん告白されて、たくさん告白を断ってきたに違いない。

 きっと、優しく、相手が傷つかないように、断るのなんて朝飯前なんだ…。

 きっと私も…。


「私も、君が、雫さんが好きだ。」

信じられない言葉に、ぎゅっと瞑っていた目を恐る恐る開いた。


「瑠依さんが、私を…?」


 好き?


「好きだ。愛しい人に告白されるというものは、こんなにも、嬉しいことなのだな。」


 愛しい人?

 

「ちょ、ちょっと待ってくださいね、状況がよく…。」

 その言葉の続きはキスにふさがれて、出てこない。

「好きだ。」


「付き合ってくれる?」


 耳もとで言うとか、もう、反則すぎる…。


 今は告白した恥ずかしさと、伝えられた嬉しさと、好きって言ってもらったことからの未来への希望で何も言えない。

 だから。







 お返事はキスでするね。








後日談〜❁





「おっ、今日は雅〜、いいことあったのか?」 

「ええ、昨日記念日ができまして。私の彼女は世界一可愛い。」

「そうかそうか、。いつもクールな雅も雫さんのことになるとこんなにもデレデレになるのか〜!」



「スバルさん?」

「はいっ!」


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