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私と愉快な仲間達

純チョコアイス(50円)の価値。

 前作で、諸事情により、途中でテーマを変えちゃった私。


 いや……だって……20才越えたロリコンが、ガチで幼児を……なんて話が書ける訳が無い(笑)


 そして、迎えた、私と愉快な仲間達の第4弾は。

これまた、有名な話なんだが、前回と違って逆に有名過ぎて、話しても大丈夫そうな話。


 Wikipediaにも載ってるぐらいの話だから大丈夫だろう。


 今回の主役は、前回に引き続き私だ。


 まぁ真の主役は、他に居るのだが、どこのどなた様なのかも知らないから、割愛させて貰おう。


 読者の皆さんは。


 【名古屋中学生5000万円恐喝事件】

と言う事件を知っているだろうか?もしくは、新聞やテレビで当時の報道を覚えているだろうか?


 この事件の詳細は、wikiでも読んで貰うとして。

大雑把に説明すると、ある少年が同級生の不良に、しょうもない事で因縁を付けられ、イジメられた事に端を発する。


 弁償。と言う形で金を払ってしまった少年は、不良達に逆に目を付けられ、事あるごとに、金を恐喝されていく。


 その金額が、驚く事に総額5000万円にもなるのだ。

【中学生】がである。因みに少年の家が金持ちだった訳でも無く、少年のお母さんが、旦那さんの死亡保険金から払ったり、親戚から借りたりしていたそうだ。


 中学生のくせに5000万円もタカる方もどうかと思うが、払う方も払う方で、どうかしている。と皆さんは思ったかも知れない。


 だけど……イジメと言う物の持つ恐怖。息子を何とか助けたいと思う親心。母子家庭と言う相談出来る人も居なかった家庭環境。

それらが、絡まりもつれて、ズルズルと金を払ってしまっていたのだろう。


 さて、この被害者の少年。不良達と、どこかに旅行に連れ出される。もちろん、費用は少年持ち。

そこで、何があったのか知らないが、少年は、病院に入院する程の怪我を負わされる。


 とある病院の6人部屋の東側(多分)に3つ並んだベッドの、真ん中を与えられた少年。ほぼ、毎日のように、お見舞いに来るお母さん。30代の後半ぐらいだったろうか?髪の毛を後ろで1つに縛る髪型をしていた。


 何故、そんな病室が何人部屋なのか、どの位置のベッドに寝ていたかを、知っていたかのように、お前は書けるんだ。

そう、思われただろう。


 実は……この時に、私は少年と同じ病室の、西側に並んだ3つのベッドの一番窓側のベッドに、仕事中に怪我をして、腕を骨折した状態で、入院していたのだ(ガチで。テレビでニュース視て、たまげた)


 少年のお母さんは、少年が入院した日に、同室(大人ばかりだったのは、病院側からの何らかの配慮があったのかも知れない)の人達に挨拶をしていた。

窓の外を、ボケた~んと鼻をほじりながら眺めていた私も少年のお母さんと挨拶をした。


 少年は、少しポッチャリとしており、大人しそう感じの子だったのを、私は今でもハッキリと覚えている。

最初は、不安そうな表情をする子だなぁと思っていた(馴れない入院で不安なのだと思っていた)まさか、あんなバックボーンがあるとは、思いもせずに。


 先に書いてしまうが、私が少年より先に退院した時は、最初に見せていた不安な表情も、すっかりと鳴りを潜めて、笑顔で、同じ病室の人と話をしていた。


 まぁ、事件が明るみになっていた訳でも無く、事情も知らない私は、普通に少年と接して過ごしていた。


 あれは……少年が入院してからどれぐらい経った日か……。

その日は、何かの都合が悪かったらしく、お母さんが来ない日だったようだ。

どこか儚げに、ベッドに横たわる少年を見た私は、何を思ったのか、病院にある売店へと向かった。


 売店に着いた私は、売店の中を少し物色して、小さな冷凍ケースのガラス戸を開けた。


 目に付いた、棒アイスを2本持って、レジに向かう。

会計を終え、売店から病室に戻った私は、少年の姿を探した。

少年は、私が売店に行く前と同じように、ベッドに横たわって、天井をぼんやりと眺めていた。


 少年のベッドの横まで移動した後に、少年の顔先に、ニュっと袋に包まれたままのアイスを差し出した。


 「好きか? アイス、奢ってやるよ」


 少年は最初は、遠慮をしていたが、無理やりアイスを持たせて、私は私のベッドへと移動した。


 ベッドに横たわってから、少年の方を横目で見てみると、笑顔で、アイスの袋を開け、アイスを取り出してる少年の姿が見えた。


 少年が私と同じ病室に来たあの日から、私が初めて見る少年の笑顔だった。


 あの時、何で少年にアイスを奢ろうとしたのか。それは、あの時も今もよく分からない。


 その後、特に少年と会話をするでも無く、何か一緒にするでも無く、同じ病室にたまたま一緒に入院してた患者同士。と言う関係が続いた。


 その後、私は骨折により行った手術の経過も良く、腕を白い三角巾で吊ったまま。退院して行った。


 それから、しばらく経った後に、とんでも無いぐらい、ビックリ仰天したのは、語るまでも無いだろう……。


 事件の詳細を調べてみると、少年は、同じ病室の人に助けられ、地獄から救い出されたとなっている。


 少年の右隣の入り口側のベッドに入院してた、イケメンの兄ちゃんの事だろう……。


 少年よ。君が地獄から抜け出せた事を、私はたまたま同じ病室に入院していた患者同士として、心から【おめでとう 頑張ったな】とエールを送りたい……。


 後、きっと幸せな人生をその後歩み、普通に笑えるようになっている事を信じて……。


 少年よ、何かどこかに、一言でもいいから。


 『同じ病室に居た、岩みたいな顔した、背の高い、お兄さんに、アイスを奢って貰って、嬉しかった』


 そう、言い残しても良かったんじゃないか?(笑)




 

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― 新着の感想 ―
[一言] ありましたね。 あぁ、アイスが食いたい(笑)
[一言] そんなことがあったのですね。 恐喝事件、初めて知りました。これ読んで私思いました。もふさん、絶対四十いってるな(笑)
[良い点] 自分のとっては、ほんの些細な事でも、人の助けになると言うのは嬉しいものですよね。 こういう話、私、好きですよ♪
2019/04/25 03:23 退会済み
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