3.戻りたい場所
治らない病気だって言うのは、分かっていました。
終わらない病気だって言うのも分かっていました。
(例えばガンとかだったら『終わり』がありますよね)
最初に聞いた通り、一年生存率40%だった方が良かったかなぁ……なんてことも思いました。
自由にならない自分の身体が悔しいです。
……年末に少し掃除でもとか思っても、トイレを軽く掃除しただけで二日動けなくなりました。
甥っ子姪っ子に手伝ってもらいながらお墓掃除に行ったら、夕方には38度突破。
初売りに連れて行く約束をしていた甥っ子達にはお年玉だけ渡して自力で行ってもらう始末。
前に進まない。
悔しい。
悔しい。
戻りたい場所があるのに。
やりたいことがあるのに。
……でも、諦める事だけはしません。
二度目の入院の時に、夜中に緊急コールがあったんです。
入院患者さんとかが心肺停止などで発見されて人手の必要な時に全館放送でかけるコールです。
病院によって呼び方が違いますが、「コードブルー」や「ハリーコール」等が多いでしょうか。
とにかく深夜、三時頃緊急コールがあったんです。
まだ自分の勤める病院にいた頃ですから、参加しようかとも思ったのですが筋力低下も半端ない頃だったので救急外来に留守番だけしようと思って言ったのです。
救急外来は緊急コールが鳴ると一番に飛び出す部署ですから。(急患がいれば別ですが)
それにベットでじっとしていても、寝られやしないと思いましたし(笑)
救急外来はその時はたまたま平和で、特にすることも無かったんですが……
夜間相談の電話を受けるイスに座って。
救急車から患者を受けるストレッチャーの側、いつものスタンバイ位置に立って。
点滴を取る針や検査スピッツが乗ったカート。
モニターのスイッチを入れてみたりして。
ああ、自分はやっぱりここに居たい。
戻りたい。
痛い程にそう思いました。
この頃の私はステロイドのせいでイライラしてて精神状態も不安定だったのですが、ほんの十数分、この部屋にいただけで自分の一番望むことを思い出したんです。
……生き返った。
そう思いました。
例え、今の病院に戻ることは出来なくても看護師だけは止めません。
私が今、三次救急の病院で動ける状態じゃないのは、自分自身苦しい程に分かります。
でも、看護師だけは辞めたくありません。
来年の今頃には例年のように「正月もGWもあるか―!」と愚痴りながら仕事をしていたいと思います。(笑)
……医大に転院してからも緊急コールが鳴ると条件反射で走り出しそうになって(寝ぼけていると特に)焦ったりすることもありました(苦笑)
やっぱり職業病は不治の病らしいです(笑)