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生徒会茶話

 

 三人称、短めです。

 





「初等部の運動会はなんでゴールデンウイーク中なんだよ……」


 明日に迫る城生院学園初等部の運動会の最終準備を手伝う中高生徒会の皆さんが、少し遅めの昼食をとっている高等部自治会室に中等部生徒会長の磨見穂蔓(まみほづる)君のぼやきが響きました。


「んー、磨見ちゃん、何か予定あったんか?」


 後輩のつぶやきを拾ったのは四倉緑郎(よつくらろくろう)君ぎりぎり十六歳。無駄に可愛らしく首を傾げ問い掛けます。そしてビフカツサンドをほうばります。


「……予定は無いですが世間が浮かれ騒ぎ休んでるのに無償労働していることに心が荒んでます。……まあお昼はごちそうさまですが、そして磨見ちゃんはやめてください」


 スモークサーモンとクリームチーズのベーグルサンドを手に取りながら磨見君が答え、そして一口かじり美味っ、と叫びます。


 彼、というか彼らが無償労働なのに怒れない理由はテーブルを埋める味も見た目も量も豪華な昼食。これは理事長からの差し入れです。


「あー、まあ確かに……」


 エビとアボカドのカップちらしを食べつつ桃園百合恵(ももぞのゆりえ)さんが頷きます。ちなみに彼女は既にサンドイッチを四切れ、おにぎりを三つ食べています。


「一応ちゃんとした理由はあるのですけれど」


 筍ご飯のおにぎりをアサリのおみおつけで飲み込んだ桜花院優菜(おうかいんゆうな)さん学園長令嬢がふわりと微笑み父親に代わって説明を始めます。


「理由?」


「ええ……昔昔はともかく現代日本では暇が無いのは金持ちですよね。という」


 お金持ち学校故の理由を、


 高額所得イコール高い責任。というのが現代日本の状況です。


「……あー」


「初等部の保護者は世間が休みの時くらいしか子供に構えない経営者達が大半ですから」


 筆頭は創立者の子孫な理事です。


「……あー、確かに。俺の小学校時代、一応社長な親父が学校行事に顔を出したの片手に足りない数だったっす」


 優菜さんの説明に社長令息な磨見君は納得します。……昔少し寂しかったな、と、けれど、


「それに一週間足らずで旅行できる? 的な金持ち価値観もありますし、不満の声は出ませんね」


 との補足には、


「……俺、そっちには同意出来ません」


 頷けない磨見家。家族旅行は国内派です。





 

 

「ちなみに運動会は観戦者は二親等以内アンド撮影禁止というルールが」


「……だからプロのカメラクルー関係のあれこれが」


「十年前に隠し撮り写真がネットに流出したのですよー」


「直ぐに対応したけどさ~、一度出たら……だから初等部からの五人の、今もどっかにあるんだよね~」


「……うわー」


「だから現在はプロによる撮影、そして自分の子供以外はピンぼけ処理、という」


「……うわー」


「まあ、肖像権は大切ですよね」


「ねー」

 

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