プロローグ_情けない自己紹介
『み、美琴』
『ひゃぅ、け、健一ぃ、そんな所、さ、さわっちゃ、だめぇ』
『美琴、ああ、美琴!!』
『あ、ぃ嫌ん。け、健一。あっ、は、恥ずかしい』
『み、美琴ぉぅ、みっ美琴おおぅ』
『けっ、健一ぃ、あぁあー、すっ、好きぃ』
『美琴、き、綺麗だ』
『健一ぃ!!』
『みっ、美琴ぉぉぉ!!!!』
「お兄いちゃーん、ご飯??」
「ん!!あっ、ああ、千秋、い、今行く」
妹の野郎、またノックもせずに戸を開けてきやがった。もう少しでイケたのに……でも、タオルケットを被って、してたから、ばれて無いか。
「もぅ、お兄ちゃんったら。またぁ、お姉えちゃんで息『ヌキ』して!!」
うわぁ、パレテーら。
いくら兄妹でも、部屋に入るときはノックとかするだろ。それが、扉が閉じている場合は特にだ。これじゃ、安心してイキヌキも出来ないじゃないか。
「千秋よ、いくら兄妹とは言え、部屋に入る時は、ちゃんとノックしなさい。それに、また、とは何だ」
「だってそうでしょ。本人に飽き足らず、おかずにしちゃうなんて。もぅ、お姉ちゃんに言いつけるからね」
俺の名前は、土屋健一、十八歳。某都立高校の三年生、受験生だ。成績は上の中、いや中の中……中の下?まあ、そんな所だ。
三年間、体育会系の部活に属し、二年生からレギュラーにはなったものの、インターハイの都予選では、準決勝で敗退。その後は、志望校に入るため、毎日遅くまで懸命に勉学に勤しんでいる。
さっき部屋に闖入して来たのは、妹の千秋だ。十六歳、なぜか同じ高校に通っている。高校一年生、いわゆるJKだ。
兄に似ず、心技体、もとい、頭顔体の三拍子揃った、超ハイスペック女子だ。同級生には、よく、『お前は、畑と種が違うんじゃね?』とか言われているが、失礼な、と言い返している。
でも、内心、そうなんじゃないかと、心配もしている。不肖兄の自慢の妹だ。
同級生、特に同じ部活の奴等は、引退した今でも、よく遊びに来る。もちろん、千秋目当てだ。学校と駅の間、少し離れてはいるが、ちょっと寄り道すれば着く場所だ。仕方無いのかもしれない。
おかずにしていたのは、俺の彼女、卜我美琴。同じ高校の三年生だ。千秋にも勝るとも劣らない、三拍子揃った娘だ。近くに住んでいる。
俺んちにもよく遊びに来るし、当然、俺も彼女の家に遊びに行っている。中学校からの付き合いだから、もう五年になるんだな。だが、まだプラトニックだ。
これまた、同級生に言われる。『なんでお前が、卜我さんと、○○高の七不思議の一つだ』とな。
馴れ初めを語ると、それだけで壮大な大河ドラマになってしまうから、次の機会にと。まあ、俺なりに、釣った魚にも餌を与えている、そんなつもりだ。そうでなければ、とっくの昔に愛想を尽かされているさ。
で、冒頭のイメージプレイだが、これは昨日、実際に起こった事を脳内でリプレイしながら、だった。途中までは、という事だが。
お互いの家を行き来する関係で、高校に入ってからは、最初の相手になりたいと、美琴も俺も思っているさ。それに親公認だしな。特に彼女んちに行くと、気を使われているのが、分かるよ。
そんな状況で、一線を越える度胸は、俺にはまだ無かっただけさ。このチキン野郎!!せいぜい、美琴のスカートの中に顔を埋めて、柔らかい太ももとパンツを堪能する位だからな。
だから、彼女の体調があれで、かつ、家族が誰も居ない時がチャンスだ。本来なら、そう言う場所に行けばいいんだろうけどね。美琴も俺も、そんな度胸がまだ無いだけさ、完全にアウェイの場所だからな。
だか、先日、俺の部屋に来た時は、全てのタイミングがばっちりだった、と言う訳さ。だが、好事魔多し、じゃ無いが、妹に邪魔された……ちきしょう!!
確認しなかった俺も悪いのだがな。でも、鍵を開けた玄関に靴が無かったら、そりゃ、みんな出かけて留守だと思うだろ。これで妹の部屋の扉が閉まっていたら、ノックでもして確かめたさ。だが、扉は全開。まさかベッドで熟睡とは思う訳無いじゃないか。
えっ、中に入って確認しろって、ああ、そうだよ、その通り。そうしなかった俺のせいだよ。だけどさ、夏の暑い時期だぜ、普通なら、ドアを閉めてクーラーとか掛けるだろ。だがさ、昼寝するときは体に悪いから、クーラー入れないんだと。脱水症状になっても知らんぞ。
という事で、俺は部屋の扉を閉めて、クーラーをガンガンに効かせていた。美琴と乳繰り合っている現場を、妹に踏み込まれた、という事だ。
『健一ぃ、いいよぅ』
『ああ、美琴ぅ』
『健一ぃ。………あ゛っ、ち、千秋ちゃん??』
『えっ、お、お姉ちゃん、だったの?』
『なぬ、千秋??居たのか?』
『お……お、お兄ちゃん、お姉ちゃんに何してるの!!』
千秋は、ほぽ全裸の俺達を見て、何してるの、と呆けた事を抜かしやがった。そりゃ、ナニの最中、いや、これから突入しようとしていた所だよ。
三人ともフリーズしたものの、暫くすると再起動し、千秋は扉を閉め、美琴と俺は、落ち着いて衣服を整えた。
「もぅ、誰も居ないって言ってたじゃん」
美琴は服を着ながら、俺に目を吊り上げて言う。
その後、一階のリビングで、三人は何事も無かった様に談笑し、美琴は家に帰っていった。それから三日経っているが、彼女からの連絡はまだ無い。
「言いつけたければ、そうすればいいさ」
「あー分かった。お姉ちゃんに振られたんだ」
だから、お前のせいだっての。ノックせずに兄貴の部屋に入るからだよ。
「あー、分かった分かった。飯だろ、今行くから」
「うふふ、また私が謝っておいてあげるよ」
だから、お前がノックしてれば、こんな事にならなかったの!!
もう、こうなったら、ホームセンター行って内鍵を買って来るしかない。妹の事だから、鍵さえもこじ開けて入って来そうなものだが。
少なくとも、中断か完遂、いずれを選択するにも、時間的な余裕は、出来るようになるだろう。よし、明日買ってこよう。
冒頭から二アリー18禁な表現、大変失礼しました。男性の場合は、特にバイアスが掛かるので、もしかすると警告を受けてしまうかもしれませんが、その時はご容赦です。基本的には、今後はエッチな表現はあまり出てこないはず?なので。
よくある男子高校生の日常を描いてみました。親はともかく、妹にあのシーンを見られるのって、凄く情けないですよね。
尤も、見られていないと思っていたのは自分だけだったりと、これも情けない気がします。
私にしてみれば、兄妹物のラブストーリーって本当に、フィクションだな、って思うのですよね。