表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アルケミストの恋愛事情  作者: ねんねこ
9話 アルケミストの武器
88/220

08.工房篭もり

 工房に一人篭もったメイヴィスは今日やる事を脳内で復唱していた。


 まずは自分用の杖、その構想を練る事。次に、シノから頼まれた武器補強の素材を考える事。大まかに考えればその程度か。杖の良い素材を発見出来れば、それをそのまま大剣の補強材に出来るかもしれない。


 色々と考えながら、空になっている錬金釜に素材液を満たす。満ちた液体を見ていると不意に思い出した。

 ――そういえば、烏のローブを作った時、魔石を溶かした事をだ。あの時は必死だったのであっさり魔石を溶かしてそのまま放置していたが、よく考えてみればあれは使えるのではないだろうか。


 とはいえ、あの汚い色はちょっとカバーのしようがない。後で別の色を上から乗せるべきだろう。

 そもそも、自分に必要な武器は魔力を補強してくれる武器だ。魔道士を名乗るには、魔力が足りない。ここさえカバー出来れば、多くの魔法式を触って来てはいるのだからどうとでもなるのだ。


 ローブの中からガラスのケースを取り出す。上だけ開いたそれを、素材液の中に浮かべた。ガラスケースの中に数個の魔石を放る。確か、前に使ったのは――青の指示液。よくあんなもので加工が難しい魔石を分解出来たものだ。

 素材液に浸されているガラスケースの中に入った魔石、それに惜しみなく指示液を混ぜ込む。程なくして7色の液体になった魔石は邪悪な色のまま、ゆらゆらと揺れるようになった。


「何でこんな色になるかな……」


 錬金術師であるにしても、一応は女性。流石にこの邪悪な色の液体を何かに加工したいとは思えない。

 ――指示液の色を間違っているのだろうか。

 指示液には主に使う、他人に見られても良い色が4色、それを除いた8色の12色が存在する。アロイスには毎回大変お世話になっているが、しきたりで表4色しか見せられないので、今回は辞退して貰った。


 青に近い色、紺色の指示液を手に取った。ガラスケースの中身を魔法で撤去し、第二弾を開始する。再びまだ溶かしていない魔石をケースに落とした。工房の鍵が閉まっている事を確認し、紺色の指示液を投入する。


「――あー、こういう色なんだ……」


 魔石の外側、七色の部分が剥げ落ちる。それはパラパラとガラスケースの下に沈殿し、出て来たのはぽっかりと空いた底の見えない大穴を除いているかのような闇色だった。今まで自分達が魔石だ魔石だと言っていたのは、生成された魔力を孕んだ石の外郭に過ぎなかった。


 ローブから計測用ルーペを取り出してそれを覗き込む。

 ――成る程確かに、魔石をこのルーペで見た時よりもずっと、溶かした後の液体の方が魔力を含んでいるのが分かる。この小さな石達を使っても、所詮は表面上の魔力を使って「使い切った」などと言っていたのか。


「とんでもない発見をしたかもしれない……」


 試しに、まだまだ残っている魔石の表面。光を反射してキラキラと輝く七色の外郭を、指示液と素材液で少しずつ溶かし崩す。固形の暗い色をした石を明かりに翳してみた。

 ――何て綺麗なんだろう。

 夜空みたい、というのが端的な感想だ。光を反射して深く煌めくその色は今まで見た、どの素材にも当て嵌まらない。これなら何かに加工しようという気にもなるものだ。


 ただ、外郭を失ったからだろうか。延々と不必要に魔力を発散し続けているらしい。このままでは使う前に魔力を失って形を保てなくなってしまう事だろう。

 棚からやすりを取り出して外郭を失った魔石を削ってみる。まるで翡翠を削っているかのような感触だ。シノに提供するのであれば、液体の方が良いだろうか。それとも粉の方が良いだろうか。これ以上の素材を生み出せなければ、訊ねてみよう。


 烏のローブから密封用の袋を取り出し、魔石の粉を収納する。魔力発散を防ぐ為の魔法を後で編み出さなければならないかもしれない。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ