幼女遊<ロリコンスレイヤー>の恐怖
初投稿です。
「はぁ、ロリコンがいなくなると幼女が自由に遊べるから『幼女遊』と書いてロリコンスレイヤーだと。全く、最近の週刊分秋はわけがわからないな」
三島大地はため息とともに、目立つ黄色の文字で『恐怖!!幼女遊<ロリコンスレイヤー>』と表紙に描かれている雑誌を机においた。その拍子に机とぶつかった手首の時計が軽い金属音を室内に響かせる。
「なんですか?それ」
帽子をかぶっている男が壁にポスターを貼りながら三島に尋ねる。
「最近の猟奇殺人事件があるだろ?あれ、どうやら幼女の仕業らしいぜ」
「どれどれ、ちょっと見せてください」
帽子の男は貼り終えたポスターの皺を伸ばすと、雑誌に手を伸ばした。
「おい、反対側の壁がまだ終わっていないぞ」
「ちょ、先輩は今日何にも仕事してないじゃないですか!先輩がやってくださいよ」
「俺はここから外の通りを見張ってるんだ」
「なるほど、先輩の中では座って雑誌を読むことが見張りなのですね。勉強になりました」
見事な棒読みで帽子の男は言う。
さすがに申し訳なさを感じたのか三島はしぶしぶといった様子で席を立ち、カゴに入れられた丸めたポスターを手にとった。ポスターには巨大な腕で作られた罰印の上に『麻薬ダメ、ゼッタイ』と書いてある。
「しゃーねーな。お前がその記事を読んでいる間くらいはやってやるよ」
「お、さすが先輩」
「おだて方が適当すぎるぞ。あとお前帽子脱げよ、室内だぞ」
「いや、俺は警察官としていかなる時も自覚を持って行動するつもりなので帽子は脱ぎません」
そう、ここは交番。彼らは警察官なのであった。しかし、彼らの間の雰囲気は一般的な警察官の厳格なイメージとは程遠い。
「田中、お前実はハゲてるんだろ?ずっと帽子をかぶっていたらハゲが悪化するぞ」
「は、はははハゲてないし!!」
図星のようである。
帽子男改め田中は帽子ごと頭を抱えてうずくまった。
「俺はハゲじゃない、少し他人より毛髪が薄いだけだ、俺はハゲじゃない・・・」
「うるせえ、黙って雑誌でも読んでろよ」
「まあ、そうですね」
田中はすくっと立ち上がり、先ほどまで三村が座っていた椅子に腰掛け雑誌を手に取った。
思いの外立ち直りが早い。
「なになに、全ての被害者が中年男性という特徴的な連続殺人の犯人は幼女!?この見出し超頭悪くないっすか?」
「いちいち反応しなくていいから。まぁ、俺も同じことを思ったが」
「ほうほう、被害者の遺体には共通点があるのか。それは、えっ!?全員局部がえぐられてるの。うわ〜、いたそう。なるほど、それで以前に性的な被害を受けた女性の犯行である可能性が示唆されていたのね。へぇ、被害者の中年男性はみんな幼女趣味だったのか。死んでまで晒されるなんてかわいそうだな。ああ、なるほど。彼らがロリコンだったから幼女に報復されたと云う噂になっているのか」
田中はブツブツとつぶやきながら雑誌を読む。
「うるせえぞ。読み終わったのか?」
「あ、はい。なかなかぶっ飛んだ記事でしたね」
「まあ、俺らには関係ないがな」
「確かに、事件も何もない田舎の交番勤めの俺らには関係のないことですよね」
「だろ」
二人は顔を見合わせて揃ってため息をついた。
「「はぁ〜、暇だ」」
どうやら、この二人の間のゆるい雰囲気は田舎特有ののんびりした空気によるものらしい。
暇を嘆きつつも、ポスターの張り替えや名目だけの見回りをなんだかんだ楽しそうにこなしている彼らは、自分たちの身に迫っている恐怖の影に気づくことはなかった。
数週間後の夜中、二人は交番でもめていた。
「田中、今日は夜の見廻り頼んだぞ」
「嫌ですよ。俺先週もやったじゃないですか」
「うっ、持病の偏頭痛が」
わざとらしく頭を抑える三島に、田中は手刀をくらわせた。
「ちゃんと見廻りは交代ですることに決めたじゃないですか。約束は守ってくださいよ。と云うか、前まではちゃんとやっていたのにどうして急に嫌がるんですか?」
「いやぁ、最近夜が怖くて」
「冗談はやめてください。こんな田舎何も出ませんって。これ以上俺の業務を増やすようなら労働基準監督署に訴えますよ」
「おま、警察官がそんなことしていいと思っているのか」
「先輩が仕事すればいいだけですよ」
「致し方ないか」
三島は机にがっくりとうなだれた。
その様子は本当にしんどそうで、田中は少し心配をしてしまう。
「大丈夫ですか?本当に調子が悪いのならば、俺がいきますよ?」
三島は突っ伏したまま手をひらひらと田中に向けて振る。
「だいじょうぶ〜。もう少ししたら行くから、田中は帰ってくれていいぞ」
田中は少し迷ったそぶりを見せた
「じゃあ、帰らせてもらいますね。ただ、何かあればすぐに連絡してくださいよ」
が、結局帰ることにしたようだ。
「それでは、さようなら」
「・・・・・・。」
田中が帰ったあと、三島は交番で一人考えを巡らせていた。
(やべえよやべえよ。俺、襲われたらどうしよう)
何を隠そうこの三島大地という男、極度のロリコンなのである。
アニメキャラで好きになるのは決まって一般的に「ロリ」と言われる枠組みのキャラクター。
家には大量の幼女キャラのフィギュア。
家にあるブルーレイの大半はジュニアアイドルのイメージビデオ。
ベッドの下に隠してある薄い本は全て12歳以下の女の子が主人公。
このように、家宅捜索をされると大変にまずい状況ができあがっているのだ。
ちなみに、ロリ巨乳やロリババアは認めていない。邪道である。
つるぺた純真無垢こそ至高。
「この前のロリコンスレイヤーの雑誌を読んで以来何か視線を感じるんだよな。まさか実在するわけないよな?」
三島は恐ろしげな様子であたりを見回したが、しばらくした後両手で自らの顔を叩き、立ち上がる。
「いつまでもビビってるわけにはいかないか。だいたい連続殺人も都心の出来事だったし、こんな田舎には関係ない!」
空元気を振り絞った彼は、上着をはおり、自転車を片手に交番を出た。
「まあ、いつも通りだな」
三島は自転車に乗りながら鼻歌を歌っている。
見廻りのコースの前半が特に問題もなく終わったので、少しご機嫌なようだ。
「さて折り返し地点の公園まできましたよ、と」
公園では自転車を押して懐中電灯であたりを照らしつつ中を回らなければならない。
田舎特有の遊具もないくせに無駄に広い公園を三島は歩く。街灯もないので真っ暗なことが恐怖感を煽るが、三島はそれを意識しないようにしながらあたりを見回った。
「公園も特に異常はな・・・?」
異常なし、と言い切ろうとした三島の目に何かが映った。
「ん?今何か動いたか?」
懐中電灯で何かが見えた方向を照らしてみるが、何もない。
「気のせいか」
ふぅ、とため息をつき公園をあとにしようとしたところで下半身に違和感を抱く。
何か温かいものに抱きつかれている?
恐る恐る振り向きつつ懐中電灯を向けるとそこには、
「うわぁ!」
幼女がいた。三島は幼女に後ろから抱きつかれていたのである。
灯りを向けられたことに反応した幼女と目があう。
漆黒の目であった。その瞳に当たる懐中電灯の光が全て吸収されるような錯覚を覚える。不気味なほどに真っ黒。
しかし、気味が悪いと同時に非常に美しい少女でもあった。
光を受けてきらめく髪は黒檀のように黒く、あどけなさが感じられる柔らかな頬のほんのりとした赤みが健康的だ。形の整った小さなお鼻は可愛らしく、大きく開かれた目が見る者の心を奪う。何かを訴えかけるように尖った唇は艶やか。発達途中の胸は慎ましやかだが、服の上からでも少しの膨らみを見てとることができ今後の成長を予感させる。未発達だからこその、未完成品としての美しさがそこにはあった。まさに、ロリコンが思い描く理想の幼女である。三島は先ほどまでの驚きと恐怖を忘れ、むしろ興奮を感じていた。
いや本当に興奮する。俺よだれ出てないかな。何これ超絶可愛いんですけど。え、こんな子がこの世に存在していいの?やばいなんか鼻血出そう・・・・・・」
「おじさん気持ち悪いよ」
「おっと、ごめん。つい本音が口から出てたみたいだ」
幼女は三島の脚から体を離し、三島の前に回り再び脚に抱きつく。
三島はしばらくデレデレとしていたが、やがて我に帰り尋ねた。
「そういえば、君はここら辺の子なのかい?お家へ帰らないと家族が心配するよ?お家の場所はわかるかい?夜道は危ないしおじさんが送ってあげるよ。」
「私のお家は、」
幼女がたどたどしく口を開く。そんな様子も三島には愛おしく思え、彼は知らず知らずのうちにニヤついていた。客観的に見てかなり気持ちが悪かった。
「と
っても遠いの。それよりおじさんの話を聞かせて」
「どうしたの?おじさんに答えられることならなんでも聞いていいけど」
三島は(本人的には)爽やかな笑顔で幼女に答える。
「おじさんはロリコンなんでしょ?」
「えっ?」
三島が予想外すぎる問いに幼女の顔を見ると、
幼女の小さかったはずの口がぱっくりと裂け、中から鋭い牙が現れた。
「死んで」
三島に正面から抱きついていた幼女は、そのまま彼の局部にその獰猛な牙をもって噛み付く。
闇に、悲鳴が響いた。
幼女遊は可愛らしい幼女の格好をして、ロリコンを狙っているらしい。
全国の自覚のある方、お気をつけて。
初投稿でした。
意味不明な内容ですみません笑
読みやすい書き方とか模索しています。
感想、批判などなどお待ちしてます!




