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プロローグ
「もし僕が、普通の人間じゃないって言ったらどうする?」
…可愛らしい外見とは裏腹に、少年のような口調で話す彼女の言葉の意味を、俺はそのときは理解できなかった。
俺は橋谷尚広、対して特筆することもない高校1年生だ。
そして俺の目の前にいる、笑いながらとんでもない発言をしているのが白沢美羽、俺の同級生で幼なじみだ。
「…まあ、普通は何言ってるのかわからないよね。」
「当たり前だ、ガキのころからほぼ毎日一緒だった奴から急に『人間じゃない』なんて言われて、理解できるほうがおかしいだろ。少なくとも俺には無理だ。」
「それもそうだね、きっと僕も今のタカと同じ立場ならそうだと思うよ。だ・か・ら…」
彼女がそう言うと突然、俺達のいた教室が眩い光に包まれた。
突然の出来事に思わず目を瞑ってしまった俺が、光が収まったのを確認してから目を開くと、
「…これなら、物わかりの悪いタカでもわかるでしょ。」
そこには俺の幼なじみにそっくりな、白髪で金と青のオッドアイ、そして頭には猫のような耳を生やした少女の姿があった…