異世界転生してチートで好き勝手やる話
異世界に転生した。
いや、もしかしたら異世界ではなく、異星かも。
空に赤い月があるので地球ではないことは確定だ。
生まれは農家。自然いっぱいのド田舎の村だ。
貧乏なあばら家だが、近所もだいたいそんな感じなので、我が家だけ特別貧しいわけではないらしい。
そんな小さいボロ家にひしめくように家族がたくさん。まさに貧乏子沢山。
十歳にも満たない兄姉たちは、まだ幼いのに大人たちに混じって毎日農作業してる。
こんなところはさっさと出て行きたい。
さて、ハズレ気味な出生の異世界転生ではあったが、御約束の生まれ持ったチート能力に関してはかなり強力なものであった。
超能力チートである。
念動力、透視、遠隔視、ESP、テレポート、発火能力、発電能力、その他色々。
思いつく限りの超能力を試してみたのだが、適当に念じるだけでだいたい簡単に成功した。
このチートがあれば今生の人生は楽勝っぽい。
やった。
というわけで、ある夜おもむろに起き出し、家を出た。
乳児期が終わったのでさっさと自立することにしたのだ。
がんばって二歳くらいで大体言葉も覚えたし。幼児の脳味噌やわらけー。
それともこれもチートなのか。
荷物は何もなし。お古のボロ服にお古のボロ草履のみ。着の身着のままだ。
今生の家族の人たち、二年間育ててくれてありがとう。
メシは不味かったよ。
念力で空を一晩中飛んだ。
山をいくつも越え、人里離れた山奥に降り立った。
テレポートを使えば一瞬で来れたけど、空を飛ぶのが思いのほか気持ちよかったのだった。
前もって千里眼で探しておいた断崖絶壁の中ほどにある小さな洞窟。
ここを当面の塒にする。
崖から少し離れた場所に、超能力とパクった大工道具で家を作り始めた。
念動力で大きな岩や丸太も軽々動かせる。
前世ではやったことのなかった大工仕事。これが楽しくって色々作りまくった。
テントもどきから始まって、掘っ立て小屋、隙間だらけのツリーハウス、ログハウスとだんだん上達していった。
食事は遠隔視とアポートで、街の飲食店や金持ちの屋敷からちょろまかした。
生活用品や家具なんかも色々パクる。 衣食住がどんどん充実する。
超能力バンザイ。
ところでこの異世界、いわゆる剣と魔法のファンタジーな世界である。
モンスターもそこら中に棲息している。
そこで、千里眼で見た他人が使ってる魔法を見様見真似でやってみたら簡単にできた。
色々試してみた結果、この世界の一般的な魔法使いと比べて、かなり隔絶した力量があることがわかった。
一般的には呪文を唱えたり、四大属性とかあったりして、体系的だ。
だが俺の場合、適当にイメージして念じるだけで魔法が発現する。
やってることは超能力とほとんど変わらない。
体内の魔力を消費するので超能力とは別物のようなのだが、どんだけ使っても無尽蔵に魔力が湧いてくる。MP無限だ。
まごうことなき魔法チート。
チートは超能力だけじゃなかったのだ。
魔法に目覚めてから生活環境が劇的に向上した。
まず灯りがある。ロウソクなんかじゃない、魔法の白い灯りだ。
室内の温度湿度を調整することもできる。
浄化の魔法で風呂に入らずとも清潔に保てるようになったし、洗濯すら必要なくなった。
それに建築がはかどる。木材加工が早く容易になった。
切削用に考案した魔法のおかげで、真っ直ぐで滑らかな材木を簡単に作れる。
丸太の塀で囲っていた自宅のまわりに石や木で作ったゴーレムを配置し、不意のモンスターの襲撃にも煩わされなくなった。
さらに、襲ってきたオークやゴブリンなどの亜人系モンスターを捕獲し、隷属魔法で手下にした。
自宅を守るために周辺を巡回パトロールさせる。
手下どもにモンスターを捕獲するように命じて、亜人タイプ以外の種類の手下モンスターも増え始めた。
主に狼やら、角ウサギや赤イノシシ、偶に熊などだ。
虫系モンスターはキモイので却下だ。
グリフォンを捕まえてきたときにはさすがに驚いた。超メジャーモンスターじゃないか。
魔法で能力を強化してやったとはいえ、オークやゴブリンがよくもまあこんな大物を捕獲できたものだ。
このグリフォンには自宅近くの警備を任せることにした。
そんな感じで巡回範囲、テリトリーがどんどん広がっていった。
ついには人間まで捕獲してくるようになった。
テリトリーが人里か街道にまで広がったのか。
捕まえてきてしまったものは仕方がない。
洗脳して農耕させることにした。
モンスターと違って人間は虚弱なので雨風しのげる寝床が必要だ。
自宅から離れた場所に土を固めたドーム状の家を魔法で超適当に作ってやった。
近くには小川が流れてるし、こんだけやってやれば放置しても平気だろ。
自宅は増築に継ぐ増築で結構な大きさになってきた。
部屋は足りていて必要は無いけれど、継ぎ足して作るのが結構楽しい。
自宅増築のため石積みの土台を作ってたら、もっと本格的な石造建築を作ってみたくなった。
城が作りたい。中世ヨーロッパ風の城砦が。
場所を選定。自宅から見える一つ向こうの小山に決めた。
3分の1ほど潰して均し、整形した石を積み始めた。
最初は別の場所から切り出してきた石を使っていたのだが、めんどくさくなってきたので、土や石を砕いて圧縮して作ったブロックを使い始めた。
石造建築のノウハウなんてないから試行錯誤しながら、二ヶ月ほどかけて完成。
中世ヨーロッパ風の城砦が出来上がった。
魔法で補強や接着をしまくっているので、普通に作ったらすぐに崩れてしまうんじゃないだろうか。
石造建築もなかなか面白い。
もっともっとでかい城を作ってやろう。
今の住処よりさらに深い山奥を候補地として、山と森をいくつも潰し、平らな台地を作った。
そこへ一人でこつこつと巨大な城を作り始めた。
ここを俺の王国とするのだ。
王国には王様と兵隊と国民が必要だ。
テリトリー周辺の人間の集落をいくつか襲い、住民をまるごと捕獲して洗脳。
箱型の簡易な家を魔法でちゃちゃっとたくさん作り、適当に街をでっちあげ、そこに捕まえた人間や亜人を住まわせた。
さらに地下深くを大々的に開発。
魔法の光と水で大規模な植物工場を作った。牧畜もそこで行わせる。
換気もエレベーターも全部魔法製。万能だなあ。
軍団も強化する。
遠くの山奥に一人わけ入って、モンスターを片っ端から捕獲洗脳隷属。
オーガ、トロール、ワイバーンなどといった定番モンスターから、名前も知らないようなよくわからんバケモノまで、強力そうなやつを兵隊に加えていく。
ゴブリンやオークなどの雑魚でも、亜人型ならどんどん捕まえていった。
ついにはドラゴンを発見。
即捕獲。
みつけたときにはちょっと感動した。
だがこいつはトレーラーほどの大きさもあり、でかすぎてエサ代が無駄に嵩みそうだ。
なので石化して城の前に彫像として飾っておくことにした。
もう一匹捕まえて狛犬みたいに並べて置きたいところだ。
そんな風に徐々に国作りを進めていった。
そしたら勢力広げすぎたせいで討伐隊がちょくちょく現れるようになった。
テリトリーの外縁で周辺国の兵隊や冒険者と小競り合いが頻発。
それをたまたまを遠隔視で観察してたら、女だらけの騎士団が来た。しかも美人ぞろい。
隊長らしき女はすごい爆乳だ。
あのおっぱい欲しい。
まとめて生け捕りにして、隷属魔法をかけてメイドにした。
手下のオークやゴブリンどもが女騎士メイドを見て発情しやがるが、手は出させない。
手をだしたヤツは性転換させて苗床にするといいつける。
趣味の仏像製作に勤しみながら、たまに手を休めメイドのナマ乳を揉む。
阿弥陀如来コマネチ像の完成はもうすぐだ。
いい感じにモンスター軍団ができあがってきたので、城から一番近い隣国に突如宣戦布告する。
敵国首都の空に魔法で巨大なホロモニターを映し生中継。
裸の女騎士を両脇に侍らせて、堂々たる建国宣言&宣戦布告。
それと同時に敵国内の主要な街や村に転移門を出現させ、モンスター軍団を送り込む。
略奪&蹂躙である。
なるべく女は持ち帰らせ、後で検品。気に入ったのがいたらキープする。
一大ハーレムを作り上げるのだ!
統率のとりづらい我がモンスター軍団だが、転移門でいきなり奇襲してくるモンスターの大群の前には、いくら錬度が高くても普通の人間の軍隊では太刀打ちできない。
わずか二週間で王都を包囲。街壁はメテオストライクで破壊済みである。
その日、敵の王国は滅亡した。
数が多くて捕らえた女を品定めするのも一苦労だ。
にわかに騒然となる近隣諸国。
体勢を整えたらまたどこかに攻め込もう。
レッツ世界征服!
それから二年ほど。4つの国を平らげた。
巷では俺の呼び名はすっかり「魔王」で定着してしまっていた。
そんな風に名乗ったことは一度もないし、部下にも呼ばせてない。
征服した国の人間の管理は、知能を強化したオークやゴブリンどもに適当に任せてみた。
そしたら、逆らう男は殺すか強制労働、女は手当たり次第犯して苗床。
容赦ない蹂躙。世紀末のモヒカンみたいな暴れっぷりだった。
あいつらに統治させると人間が絶滅しそうな勢いだ。
さすがに酷すぎたので、各国の元官僚を洗脳して任すことにした。
モンスターの魔改造なんかもやってみた。
軍団の幹部にと、三魔将と四天王と八部衆と十二使徒を作った。作りすぎた。
とはいえモンスターの合成改造に凝ったのは一時期だけで、すぐに飽きてしまった。
基本的にモンスターや人間のパーツを切ったり貼ったりして、魔法で強化するだけだからな。
適当にやるとキモいやつばかり出来上がる。
キモくならないようにパーツ構成考えるのが非常に面倒くさい。
勇者パーティが現れたのもこの頃だ。
勇者を名乗る男とその一団が、我が領土の外縁で暴れているらしい報告を受けた。
遠隔視で観戦してみると、なるほど、たしかにそれなりに強い。
ていうかあれ日本人っぽくない? ぜったい平たい顔族だろ。召喚勇者なのか。
放置して部下の四天王以下略と戦わせるのも面白いけど、舐めプしすぎて討たれる流れになるかもなので、今の内にさっくり潰しておこう。
メテオメテオメテオ! 死亡確認!
そして勇者召喚なんていう誘拐行為を働いた不逞な国は、罰として即刻滅亡してもらいます、ということをホロモニター越しに宣告。
召喚国の首都全体に石化ガス散布。さらに首都を中心に広範囲に毒沼形成。
その様子を他の国にもホロモニター中継した。
一仕事終えたので、メイドたちとの接待脱衣麻雀に戻った。
そんな感じでのんびり十ヶ国ほど征服したころ。
数年かけてこつこつ作ってきた巨城がついに完成した。
全高3000メートル、縦横4000メートル四方の巨大な城だ。
全部一人で作った。魔法でこつこつ。内装は極一部以外、全然やってないけど。
やった。やってやった。満足だ。
控えめに言って、偉業と呼んで差し支えないのでは?
無人の城の玉座で、一日中ニヤけながら悦に浸ったのだった。
ちなみに心血注いで作った城だが、別にここに住むわけではない。
居城はすでに全長1200メートルの天空城を作ってそこに住んでいる。
巨大な長い岩に、征服した国の宮殿や貴族の屋敷を移築して乗せたものだ。
遠目には船っぽく見えなくもないシルエット。
国中の美女美少女を集めに集めた一大ハーレムである。
その数、約500名。
ほとんどの女は一度顔を見ただけなんだが、まあ、集めることに意義がある。
コレクションってそういうもんだ。
さて、このリアルを利用したシミュレーションゲームもだいぶ飽きた。
初めからベリーイージーモードだったし。
そんなわけで侵略は一旦中止。
ていうか王様ゴッコも飽きたので、部下に後のことを丸投げして一人で旅立った。
大陸の北西。俺の国とは大陸の反対側。
人里離れた高山の裾の斜面に居を構えた。
部下もメイドも全部置いてきた。
たった一人きり。まさに隠遁生活。
小さな菜園を作ったり、のんびりと趣味の彫刻をしたり、盆栽を始めてみたり。
ジジ臭いスローライフを絶賛満喫中。
金剛力士アヘ顔ダブピー像の制作は難航中だ。
国のほうはたまに遠隔視で観察しているが、部下共の権力争いと、各地での群集の蜂起が起こってて、長くは持たないだろうな。
まあそんなもんだろ。
天空城は平常運転中だ。
いつ主人である俺が帰ってきてもいいようにメイドどもが粛々と維持管理してる。
が、裏では女共のドロドロの派閥争いなんかやっているようだ。
あんまり見たくないな。実に醜い。
ちなみに俺の食事を毎日三食作り続けており、それをたまにアポートで取り寄せている。
国盗りゲームなんかやってはいたが、現在住んでいる地方の情勢とかは全然興味ない。
魔王国を名乗る国が侵略を繰り返したりしてても、なんとも思わない。
なぜか人がやってくる。こんな辺鄙な場所なのに。
しかし興味ないしうざいので追い返す。外に設置した地蔵ゴーレムで。
地蔵ビームのこうかはばつぐんだ。
初めのうちは猟師だか冒険者だったかだと思う。
だがいつのまにか地蔵が邪教の像と看做され、この地方で勢力を振るっている宗教が邪教狩りに来るようになった。
おそらく追加で設置した般若面阿修羅ゴーレムがまずかったんじゃないか。
なんども追い返すがそのたびに敵の数は増え続け、それに併せてゴーレムを追加した。
そんなイタチゴッコを半年ほど続けて、飽きた。
やってきた騎士どもを竜巻で一掃し、住処の周辺数キロメートルを人払いの結界と迷いの霧で覆った。
別にゴーレムに拘らずとも追い返す方法などいくらでもあるのだ。
最初からこうしとけばよかった。とにかくこれでもう平和だ。
そして元凶であるクソ宗教と、その総本山の大国をぶっ潰す。
手段考えるのめんどくさいから、お手軽にメテオだ。
王城と神殿に山盛りブッこんだ。その他主要な街の神殿にも。
ついでに巨大邪神像ぶったてて、架空の邪教を創設。
邪神像から洗脳電波を出して国民を洗脳。
大神官は洗脳した爆乳美人シスター。神官服は裸同然のサンバ風。
生贄はガチムチ中年オヤジ。邪神はガチホモ設定。
同性愛容認、ロリショタ嗜好容認、露出奨励。性に奔放なフリーダムな教義にしてみた。
邪神の中の人となって、爆乳大神官に神託を送る。
さあ、国を挙げてハダカサバト祭を大々的に開催するのだ!
毒電波を喰らえ国民共! 理性を吹き飛ばせ!
サンバ! チンポ神輿! 路上乱交パーティー!
国名をソドムと改名させよう。
大々的に邪神像ぶったてたら近隣の魔王国を刺激してしまった。
やつらの奉じる邪神こそが真の邪神とか。
はっきりいってどうでもよかったが、なんとなく興が乗って、リモートコントロールで巨大邪神像を操り、魔王軍相手に無双。
邪神ブレスが火を噴き、邪神ボディプレスが敵の軍勢をプチプチ潰していく。
その様子を周辺各国にもホロモニター中継したら、民衆の心をガッチリつかんで、信者が倍増。
魔王軍潰して一段落。
宗教ごっこもそろそろ飽きたので邪神教はそのまま放置。
邪神像は生涯に一片の悔いの無いポーズで、魔王城の瓦礫の上に放置。
というか、住処の周辺国がこんなキモい宗教なのはちょっと嫌になってきた。
自分でやっておいて。
引っ越すことにする。
島編突入!
大海に出たものの、住めそうな島なんか一個もなかった。
なので海底を隆起させて島を作った。
岩と砂と泥だけの超殺風景な島だ。
緑が欲しい。大陸に戻って地面を抉って、植物に適した土を持ってきた。
草木も植える。採集してきた植物を魔法で根付かせる。
砂浜も欲しいな。同じく大陸からもってきた南国の白い砂を敷き詰める。
椰子っぽい樹も植えよう。
家は新築だ。建築も慣れたもんだ。ログハウスである。
海でやることといえば?
そう、釣りである。
前世含めてほとんどやったことがない。
筏を作って釣り糸を垂らす。
石で色んな形の人工魚礁を作って沈めておいたので、結構魚は来ている。
準備は万全だ。
酔った。ファッキン。
筏を空中に浮かべる。これで揺れない。
結構釣れる。いや、結構どころではない。入れ食いだ。なかなか楽しい。
絶海の孤島なので魚どもがスレてないんだろうな。
得体の知れない餌虫に食いつきよるわ。
しかしこれは、のんびりしたホビーとはちょっとかけ離れてるな。
釣れすぎて忙しい。
数年ほど島でのスローライフ。変化がなさすぎてさすがに飽きる。
たまに思い立って普請道楽。
海底に神殿や城や街なんかを作ってみるのだが、途中までやって飽きて投げ出してしまう。
あの巨大な城を作ったときほどの情熱はもう無い。
島の近海の海底には作りかけの真新しい海底遺跡。魚が増える。
それから転々と住処を変えた。
静かな海底ドーム。
生き物の全く居ない氷に閉ざされた極地。
砂漠に作ったオアシス。
密林の樹冠、高さ100メートルのツリーハウス。
地下2000メートルに空けた、出入り口のない大空洞。
人のいない場所ばかりだ。
どれも3LDK程度のこじんまりした住まいだ。
城のような大規模な建物はもはや作る気がおきない。
隠れ家がどんどん増えていく。
気づけば二十代も半ばを過ぎていた。
十数年、誰とも会わず引き篭もり続けてしまった。
この間ずっと魔法で性欲を抑えていた。
普通なら猿みたいになる思春期でも、ずっと賢者モード。
枯れたジジイみたいな穏やかな精神状態で、しかしこれが結構快適であった。
でもまあ、そろそろ童貞捨てとこうかと、そんな風にふと思い立ったのだった。
そんなわけで久しぶりの天空城。一度は捨てたハーレムへと赴いた。
降り立って、軽く絶句した。
三十代四十台のオバサンだらけである。
そりゃそうだ。ここを出てから20年近く経つのだから。
一応、外見若いままのエルフも少数いるが。
熟女だらけのハーレムとか、萎えるわ。
新たに女を調達するにしても、探すのが面倒だ。
仕方がない。
全員を広場に集めて、魔法で若返らせてやった。
狂喜する女達。キャーキャーうるせえよ。
さてどいつで筆下ろしするかと選ぼうとしていたら、すすーっと後ろから音も立てず半人半獣のモンスターが近づいてきた。
何か見覚えあると思ったら、三魔将だか四天王だかの内の一体だった。
そういやこいつ一応メス型だから、ここへの入城を許可してたっけ。
昔は報告役として使っていたな。名前忘れたけど。
長々とくどい挨拶を始めるのをさえぎって本題を促す。
俺が捨てた軍団を乗っ取って、魔王を自称している者がいることを聞かされた。
俺の元部下ではなく、どこか他所からやってきた奴だという。
まあ今更、軍団なんかはどうでもいいんだが。
しかしそいつ、あろうことか、心血注いで作ったあの巨大城に居座っているという。
そういえば立ち入りは禁じたが、魔法的な封印はしていなかった。
部下達は完全に絶対服従だったから、セキュリティとか頭になかった。
鍵をかけない田舎の家かっていう。
つーかあの巨大城、でかすぎて住むには不便なはずだが。
まあともかく許せん。
渾身の作品であるあの城を、許可なく好き勝手に使っていることが許せん。
ぶちのめしに行く。
さっそく巨大城へ。
まずは城内をスキャニング、立体マップに生物反応を投影。
クソ害獣どもが結構うようよしてんな。
中でも強めの魔力をもった奴らが一箇所に集まっている。そこか。
テレポートした。
そこは広い空間。謁見の間もしくは玉座の間だ。
玉座の間には何体ものモンスターがいた。
元部下のモンスターが半分くらい混じっている。
俺が作った玉座は取り払われ、かわりに馬鹿でかい悪魔的な風貌の巨人が居座っていた。
こいつが居座り魔王か。
俺に気づいた元部下どもが驚愕し、すぐさまひれ伏す。
隷属魔法が上書きされたわけではなく、別の隷属魔法か何かで主人が増えたって感じか。
俺と魔王、どっちのいうこともきく状態のようだ。
こんなのは想定してなかったからな。セキュリティ、ガバガバだ。
つーか、成長した俺の姿によく気づいたな。メイド共は気づかなかったというのに。
ひれ伏さないモンスターどもはなんか喚いている。
うるさい。
なので一瞬で凍結させた。部屋中が霜で覆われる。元部下も、そうでないのも即死だ。
動けるのは魔王だけだ。わざと残した。
魔王が野太い声でなんか言ってる。声が低すぎて聞き取りづらい。どうでもいいか。
勘違いして、自力で魔法をレジストしたと思っているようだ。アホが。
念力で軽く小突いて転がしてやったら、ようやく戦闘態勢をとって襲い掛かってきた。
だが当然戦いにもならない。
わざと2、3発喰らってやり、ノーダメージでけろりとしてるとこを見せつけてやってから、念入りにボテクリ回す。
四肢をロープのようにグルグルに捻り回し、全身を炙ってから、滅多打ちのサンドバッグ。顔がボコボコに腫れあがった。
パンチの連打なんてするから久しぶりにちょっと汗かいた。おかげでもうだいぶ気が済んだ。
最後に魔王の頭蓋を開頭。露出した脳味噌を鏡で見せてやる。
さっきまでは怒りと恨みのこもった呪詛をぶつぶつ吐いていたのだが、ここまでされてさすがに恐怖で慄いている。
そしてここから露出した脳味噌をどうするか。
昔、モンスター改造の練習で作った改造鼠を異空間倉庫から取り出した。
ほーら新鮮なエサだよー。たんとお食べなさい。
ところが鼠をけしかけようとしたところで、部屋中が薄暗いとばりに包まれた。
そして、玉座の上に黒煙のような闇が集まりだした。なんだこりゃ。
魔王が「邪神様……!」とか言ってる。
え? 神なんて実在すんの? 初めて見た。
闇が集まってできた穴から巨大な化け物があらわれた。かろうじて人型っぽいフォルム。
でかい。身長4メートルの魔王より全然でかい。天井に届きそうだ。
奈良の大仏に匹敵するんじゃねーの。
ラスボス登場か。
だが全く脅威を感じない。
我が眷属をどうのといってるようだが、やっぱりよく聞き取れない。声というより呻きだ。
なんかもう面倒臭くなってたので、ビー玉サイズに縮めてガラス瓶に閉じ込め封印した。
小さい邪神が瓶の内側を叩きながらキーキー喚く。
ブンブン振ってやったらぐったりして大人しくなった。
「ばかな……」とか呆然とつぶやく魔王。
バカはお前だ。
俺の巨大城に土足で踏み入りさえしなかったら、部下をとられようが見逃してやったのにな。
鼠をけしかける。頭にかじりついた鼠ごと、魔王を暗黒空間に放り込んだ。
玉座の間の凍りついたモンスターどもも暗黒空間に吸収する。
城内にはまだほかにモンスターが多数入り込んでいる。
こいつら掃除するのめんどくせーな。
その後、念入りに城内のモンスターを排除。
生命反応ゼロ。
蟻一匹すらいなくなったのを確認してから、ハーレムのメイド共を呼び、一ヶ月ほどかけて掃除させた。
内装に手が加えられていたので、完全に元通りではないが、まあよし。
新しい玉座も作って据えつけたし。
今度こそ魔法的封印を城全体に施した。
ついでにストーンゴーレムを城の内外に大量に配置。
もう誰にも荒らされることはあるまい。
新生魔王軍がどうなったか? 知るか。興味ない。
ちなみにメイドが城掃除している一ヶ月間、天空城のハーレムでヤリまくった。
封印を解放した性欲がぜんぜん治まらなかったのだ。
というか治める気にならなかった。
魔法で弄ったマジカルチンポで、睡眠なし休憩なしでヤリまくってしまった。
10年以上の禁欲生活はなんだったのか。
やっぱり、おっぱいはいいね。
END