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世界は終わりましたけど、一緒に歩いてくれませんか?  作者: 美咲星哉


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知らない天井

目が覚めてすぐ、僕はいつもの場所にメガネがないことに気がついた。


それどころか、壁も、天井も、ベッドも見覚えの無い色、触り慣れない質感。メガネがなかろうと、ここまでボケて見えることはない。


酔って人の家に泊めてもらっていたのか。

いや、僕は悪酔いなんてしたことないし、天井には電気がなく、カーテンやシーツなどは、化学繊維のかの字もないような質感である。


そして何より、ベッドから体を起こした約10cm上の頭上には篠原信一の顔面ほどの大きなベルのようなものがあった。


どう考えても僕が目覚めたこの場所は日本のようには見えなかった。




どこかの国の使者に拉致されたか?

何のために?なんで僕を?


疑問は絶えなかったが、どうしようもないので部屋の外に出て人を探そうかと、ベッドから半身乗り出した時、急にアブのような羽虫が、壁から飛びついてきた。



「うわっ!」



僕は驚いて、ベッドに体を戻しつつ手でそれらを追い払おうとした。


虫たちは僕のこめかみの部分にピタッと張り付き、キューキューと音を立てる。

焦って取ろうとして、どれだけ力を込めても取れない。頭が痛いわけでもないないのがむしろ恐怖を感じさせる。


音が止まると同時に、その虫たちは離れて壁にあった窪みに戻っていく。

そこが巣なのか、はたまた何かの機械なのか。


訝しげにもう一度部屋を見渡す。

よく見ると、謎の機械のような物が所々にあるのが見て取れる。



その時、ガチャっと扉が開き、高校生程の若い女の子が入ってきた。



「いきなり知らない場所に来て驚きましたよね。初めまして、ラザムと申します。」



ラザムさんの自己紹介は懇切丁寧だったが、僕は違和感で頭がおかしくなりそうな気分になった。

口の形と耳から聞こえてきた言葉が一致しないのだ。

まるで翻訳された海外の映画のように。



「すみません。混乱してますよね。お食事をお持ちしますので、少々お待っててください。」



僕は混乱した。彼女が話す日本語の発音はとても綺麗だ。言葉遣いは間違っているが、文化が違うと言うより、ただ敬語慣れしてないような間違え方である。


いよいよ本当にここがどこなのか分からなくなってきた。

未知の技術、吹き替えのような話し方。ベル。

日本ではない世界のどこかだとしても、一体どこの国なのか皆目見当もつかない。

もしかして─────



「お待たせしました。ジャイアントタランチュラの足の毛のつけ麺です。この世界には慣れていないでしょうから、比較的低刺激な料理をチョイスしてみました」


ああ、やはりか、恐れていた言葉が彼女の口から聞こえた。


「この世界」

僕は言った。


「ええ、ここはあなたの住んでいた日本ではありません。あなたの世界で言うところの、異世界となっていますです。」


僕は異世界に転移してしまったようだ。

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