影絵
部屋の角に偉そうに座って両手で自分の顔を潰していた。瞼だけじゃ遮光が足りないから、一滴も光を感じたくなかったから両手で顔ごと光を潰してやった。
これ以上黒い黒は他では見れない。
そのあと、息を限界まで止めようと試みたが持って30秒だった。反動で思い切り息を吸い込んだのが悪かった。
手についたニコチンの匂いでえずいた。しかし、咳がすごい速さで追い抜いてきて、たまらず首に巻いたロープを緩めて上を見あげ、天井を認識する前にまた瞼を閉じた。
1日中見てた天井を今更見る必要がないからだ。
戻るか戻らないか何のためにか、僕は右側の真っ白な壁に、ある影絵を想像した。
どんな影絵か?それは説明してもわからない。なぜなら本人にも分からないから。
それは、1人のある男が背中を丸めて立っている影絵。
その男はえらいでかく、天井に頭がつきそうだから背中を丸めて立っている。
そしてなんだか周りを警戒している。その男は下にある紙袋の影の中身を取ろうとして、やめた。
次はさらに背中を丸めて、中身の匂いを嗅いでみる。そのあとすぐに首を上げ、また周りを警戒している。
周りをキョロキョロと
触ってみては、周りをキョロキョロ。
匂いを嗅いでは、周りをキョロキョロ。
そのえらくでかい影は、部屋の角にいる本体に吸収されていく。
僕はそこでやっと目を開けて立ち上がれた。失敗して部屋の角に座ってから15分は立ってた。戻ってきてしまったからにはと思った。
戻ってきてしまったら仕事のことを考えなきゃならなくなった。寝れないというよりは今から寝たらもう確実に寝坊するからだ。
まだ3時間は時間があった。悩むには短いし悩まないには長すぎる。
僕は仕事が嫌いだとは思わないが仕事の休憩時間が嫌いだ。
あれは休憩じゃなくて休憩させられるという拷問なんだ。




