追放ざまぁで世界を壊した元最強ヒロインが、愛する(憎い)孔明の暴走を止めるべく、丸腰で魔王城に殴り込む件
ウチ、アイル。
孔明に届けるはずの諸葛巾を失くした女。
錬金馬 金閣寺が城下町を出てから、ええ勢いで、荒野を走り出す。
遠くに見える大軍勢、あれは黄巾兵なんか?
「急いで戻りますぞ、姫!」
「そこの粉もん屋で、たこ焼きが食べたいんやけど」
「お戯れを」
荒れ地にぽつんとあるキッチンカー。
ここの空気は何も変わらへん。
昔のまんまや。
しばらくすると、見えてきたのは、蜀の成都。
暗黒オーラが渦巻くヤバイ雰囲気。
はぁ?
ここだけ変わりすぎやろ?
道案内の看板が目に入った。
『魔界 五丈原城』
厨二病か?
ウチは馬車から飛び降り、闇が渦巻く城門へと駆けた。
城に近づくにつれて、不協和音が強くなる。
「これは……加護とか魔力とかやない。もっと、ドロドロした感情の塊や!」
ウチが『矛盾した存在』として消滅して、黄金郷に転生したとき、この世界でも何かが起きたはず。
城門は開いていた。
足を踏み入れると、暗黒の魔力に混じって、酷い絶望の念が肌を刺した。
「アカン。孔明は絶望した挙句、世界を巻き込んだ壮大なシステムエラー起こしとるんや……」
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