黄金郷からのお使いクエスト 〜創世の使徒、迷子になる〜
黄金郷の中心、世界樹の根元。
ウチは創世の使徒として生まれかわった。
見た目はそのまんまやけどな。
リルヴァナには頭を下げまくった。
「アイルのチャームポイントなんだろ? 勘違いして突き進むのは!」
シルヴァーナたちは笑った。
「全ての異世界をぶっ壊すなんて、アイルらしいな」
イブキにいじられ、ロウィンも呆れ顔。
イツキとは、前の世界でしょうもない意地を張って喧嘩してた。
ていうか、ウチが一人で怒ってただけやけどな。
「ごめん」
素直に謝れたのは、バカだけど少しはマシになった証拠やと思う。
ルミナにも声をかけた。
ツンツンしてたのは、元々の性格で悪気はないみたい。
ウチの勘違いも、ここまでくると重症や。
ハルトからは逃げ回っとる。
「もう堪忍して」
理由はようわからんけど、生理的に受け付けへんねん。
それよりも、孔明に会いたい。
あれだけ嫌いやったのに、転生してからずっと心残りや。
「おい、アイル。諸葛巾を急ぎで届けてくれ。孔明がマンドラゴンを入れたら、穴を開けたんだ」
「はいはい、創世の使徒の“初おつかい”ってわけやな」
ウチはバカやから、途中で世界のどこかに迷子になって、もう黄金郷には戻らんかもしれんけどな。
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