ざまぁの代償――創世神、降臨す
ウチ、アイル。
まさかの結末。
「な、何を馬鹿なことを……! 私はあなたに加護を与えるために――」
女神は慌てて言葉をつなごうとした。
けど、ウチはもう耳を貸さん。
「嘘つけ! あんたが“千年加護”を与えて、チートスキル《終焉共鳴》をウチに植え付けたんやろ!?」
その瞬間、女神の表情が――人間やめたみたいに、にたりと歪んだ。
「うふふ……本当に、全ての異世界が滅ぶとはね。
未来のアイルがここにいる。それが証拠でしょう?」
ウチは拳を握りしめ、声を震わせた。
「やっぱり……あんたが黒幕か。もう、許さへん」
女神は両手を掲げ、天へと光を放つ。
「創世神を倒し、すべての神々が滅んだ今こそ――私が愚民どもを導く時! あなたの役目はもう終わったのよ、アイル!」
その言葉を遮るように、静かな声が響いた。
「――誰が、死んだって?」
漆黒の宇宙を背に、黄金の髪をなびかせた創世神リルヴァナが現れた。
「ま……まさか、あなたが……!」
女神の瞳が恐怖に染まる。
「お前は終わりだ」
リルヴァナの掌から放たれた黄金の粒子が、女神の体を包み込む。
抵抗の叫びもなく、彼女は光の中で分解され――消えた。
リルヴァナがこちらを見つめる。
その瞳に宿るのは、怒りでも哀れみでもない、深い悲しみやった。
「アイル……本当に、バカだな。私の言ったこと、理解してなかったのか」
ウチの体が、足元からモザイクとなって散り始めた。
「う、嘘やろ……なんで、こんな……?」
リルヴァナは悲痛な顔で告げる。
「きちんとした手順を踏めば……お前は生き残れた。
でも、曹操にざまぁした時点で手遅れだった。
女神は消えたのに、お前の中には“千年加護”が残っている。
この世界で、矛盾した存在になってしまったんだ」
ウチは叫んだ。
「そ……そんな……! ざまぁして、何が悪いんや……!」
世界を包んでいた黄金の光がウチの体に流れ込む。
モザイクが黄金に染まったとき、メニューウィンドウが開いた。
『ここで終わりますか? 転生しますか?』
リルヴァナの声が、微かに届いた。
「――黄金郷で、待っている」
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