策士やなぁ、このおっちゃん。玉璽の行方、孫堅にあり。
ウチ、アイル。
やっと、元の世界に戻れた。
蜀、成都。
孔明がニヤニヤしとる。
「ご無事で何より」
いやいや、ホンマに笑いごとちゃうで。
全裸で大怪獣にされて、最後はモザイク付きで吐き出されたんやぞ。
あの屈辱、忘れへんわ。
「アイルが未来の地球を救えて、安心じゃ」
玄徳が盆栽に水をやる。
平和そのものの光景や。
張飛はウズウズしとるみたい。
「あぁ、俺も戦いたい、なぁ兄貴」
関羽は静かに微笑んだ。
胸の前で指を組み、一つのポーズを完成させる。
両手には、エフェクトがかかっとる。
「我、日々戦いにあり。このポーズは『無明の極彩』。修行の果てにある、己の限界突破じゃ」
何を言うとんか分からんけど、関羽の真剣な横顔を見とったら、スゴイことしとる気がしてきた。
趙雲は今日のコンパの予定を立てていた。
「えぇ、えぇ、個室の予約を……、ラブメゾン子龍です。はい、子龍が突撃します、可愛いラマンに」
お前、蜀の武将やろ?
どこに突撃しとんねん!
趙雲はサラリと答えた。
「もちろん、愛という名の戦場に、です」
孔明によると、小喬は呂布に依頼をしただけらしい。
彼女の所属事務所は悪行が晒されて、世間からフルボッコ。
スポンサーからの多額の違約金が決め手となり、あっけなく倒産したようだ。
小喬は世間の同情を集めて、独立を果たした。
グッズはバカ売れ。
クラウドファンディングでウハウハしとる。
呂布と曹操の仲は悪いが、実際はよう分からん。
そういえば、孔明が袁紹を逃がしたらしい。
せっかく捕らえたのに、そんなんでええんか?
「丞相、急報です」
「何事だ」
「玉璽の行方が分かりました。孫堅です」
「誠か。袁紹を泳がせた甲斐があった」
孔明が天を仰ぎ、ニヤリと笑う。
なんや、そういうことやったんか。
策士やなぁ、このおっちゃん。
……まぁええわ。
ウチには関係あらへん。
もう、寝るで。
明日は美味しい肉まんが食べたいわ。
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