異世界転勤はスクワットから! ~まさかのジャングルでお花摘みフリーズ~
ウチ、アイル。
最大のピンチがやってくる。
気か付くと、ジャングルの奥地に強制転送されていた。
世界を救って、ほんの二秒前の話やで?
もう絶対のんびりできると思っとったのに。
人生のアップデートかと思ったら、まさかの異世界転勤やん!
周囲は生暖かい湿気と土の匂い。
視界を喰らうほどのうっそうとした緑に覆われ、最悪や。
「コンビニ、ないんかい!」
せっかくの休暇や。
最大の油断とともに、ちょっとお花を摘みに木陰へ移動したそのとき――腹の底まで響くドラの音が轟いた。
「また戦か? 空気読めや、この大自然!」
思わず空に向かって毒づいた瞬間、音もなく背後のブッシュが揺れる。
あっ!
か、囲まれてる。
血走った無数の猛虎が唸り声を上げながらウチに迫る。
その瞳がギラリと輝くと、身体が石像のように動けへん。
最悪や。
極限の油断と、そして今まさに「お花を摘もう」としていた体勢。
ウチのフリーズポーズは、まさに無防備を極めた中途半端なスクワット!
こんな屈辱的なポージングで、伝説の勇者の子孫が歴史に名を残すんか!
「敵の間者か?」
「何かの儀式をしているようだ」
大地を揺らす『ドシン』という地響きとともに、虎の毛皮を纏った巨大な大男――南蛮王孟獲が眼前に姿を見せた。
「儀式やない! これは世界を救った女がプライバシーを死守するための、命がけの静止画や! ほんで、アンタら何でそんなに虎を連れとるんや! この体勢のウチを撮るな!」
ツッコミを咆哮に混ぜながら、闘気が爆発寸前に溢れる。
この異様な戦場で、第二章が幕を開ける。
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