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ラスボス撃破ログアウト!!!  勇者とトウモロコシ便の約束

 ウチ、アイル。

 お家に帰る。

 死滅王冠ネヴァーベンドは、黄金粒子により権能を封じられた。

 地球は生まれ変わり、新たな鼓動こどうを刻み始めとる。


 ラスボスが何か言うとるわ。


「……まさか、我を倒すために、この星がアップデートを始めるとはな」


 ――おいおい。

 アップデート通知くらい事前に出さんかい。

 勝手に再起動されたら、保存してへん小説データ全部消えるやろ。


 ネヴァーベンドの身体から黒い波動が噴き出し、黄金粒子を押し返す。


「フン、小賢しいシステムよ! 創世神ごときに我が理念は止められん!」


 ――はいはい。システムに八つ当たりするん、初心者のやることやで。

 ラスボスならもっと堂々とせんかい。


 右腕が肥大化し、まがまが々しい黒炎をまとった巨腕へと変貌へんぼうした。

 その腕がイツキめがけ、猛然と振り下ろされる。


 USV勇者ゼットメンが鋼鉄の肉体で突進、たてとなった。

 だが黒炎は鋼鉄すら蒸発させ、彼を宙へ吹き飛ばす。


 ――ゼットメン、あんた無茶しすぎや。

 保険きくんか、それ?


 その瞬間、遠方の空から朱色の閃光がはしった。

 呂布の方天画戟ほうてんがげきによる、超長距離からの援護射撃。


「神もどきよ! 我が一手から逃れられると思うな!」


 黒炎の隙間を突き抜け、ネヴァーベンドの神核を撃ち抜いた。


「チッ、しぶといやっちゃな」


 イツキが吠える。


星穿ほしうがつり』!


 銀河でさえ息を呑む究極の一撃。

 黒炎を切り裂き、身体ごとネヴァーベンドを貫通した。


「馬鹿な……その力、なぜ届く!」


 グジュルルルッ!


 黒炎ごと、ネヴァーベンドの身体は肉片ひとつ残さず消滅した。


 ――音のリアクションがドロドロ系すぎるやろ。

 エモすぎて、ごろごろ野菜カレーが食べられへん!


 堕天だてん叡智えいちラジェンドラ、永劫の残響エリュファスも抗う術なく、簒奪さんだつスキルで神格を奪われる。

 彼らはただの人間として地上で生きることになった。


 ――神格奪われて、地上で生きていけるんか? 

 履歴書の「特技」のらんどうすんねん。


 勇者たちは疲労困憊ひろうこんばい、その場に座り込む。


「俺たちだけなら、確実に全滅だったな……」


「何度も諦めかけた……」


「ミーはもう引退して、トウモロコシ農家になるよ……」


 ……住所教えとかな、トウモロコシ届かへんよな? 

 ちゃんとクール便で送ってや。


 孔明が号令を下す。


「全軍、撤退!」


 黄金粒子に包まれ、軍勢は穏やかな光とともに姿を消していく。


「最後まで素直になれんかった」


 ウチの寂しげな顔が、美しく映える。

 ……って、自分で言うとキモいやつやな。

 ま、映えとか言うてる時点でだいぶ末期やけどな。

 最後までお読みいただき、ありがとうございました!


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