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さよなら小喬ライブ in 長安城

 ウチ、アイル。

 年二回、ライブ観戦する女。

 長安城前――。


 特設ステージは、呂布軍りょふぐんが急ピッチで組み上げたとは思えないほど豪華ごうかやった。

 血と鉄の匂いが漂うはずの戦場に、レーザーが飛び交い、炎が上がる。


「みんなー! 今日は来てくれてありがとう!」


 小喬しょうきょうがピンクドラゴンの頭上からマイクを握る。


 この馬車、ライブの演出アイテムやったんやな。

 攻撃されへんのが不思議やったけど。


 観客は曹操軍そうそうぐん、呂布軍、ついでに通りすがりのラクダ商人まで混ざっとる。


 いや、さっきまで殺し合いしてたやん!

 敵同士で抱き合っとるし!


 関羽は、聴いていた新曲を熱唱しながら、あんころもちを観客席に投げつける。

 それはもはやライブグッズの域や。


「ウォウウオゥ! この熱気、最高ですな!」


 その横で、玄徳が号泣する。


「ううっ……小喬ちゃんが……卒業してしまうなんて! 蜀の未来より辛い!」


 どんだけやねん!



 ドン! 爆竹が鳴る。



 呂布軍はペンライト、曹操軍はサイリウムを振り回し、武器を捨ててノリノリや。

 戦場は一気にライブ会場化。



 関羽が涙を流して叫ぶ。


「推しが卒業なんて……拷問ごうもんよりツラい!」


 そのエプロン姿、こっちがツラいわ。



 孔明は冷静に分析する。


「観客動員数は三万、配信アクセスは十万突破」


 お前、どこで統計とっとんねん!



 小喬が歌い出す。


「♪ 戦場よりも大事なもの〜 それはあなたの笑顔〜」


 兵士たちが合唱に参加し、敵味方の区別は完全に消えた。



 曹操が感極まって全裸になる。



「♪ アカン! 乙女なウチの精神メンタルが限界突破〜」


 呂布までノリノリでサビをハモる始末。



 ステージ上の小喬は、最後の挨拶を始める。


「私、今日で戦国女子を卒業します。次の目標は、ネオトーキョーで世界デビュー!」



 ウチか?


 ウチはポップコーン片手に、ただ見守るしかあらへん。



 こうして長安城の戦いは、伝説の卒業ライブとして幕を閉じた――

 最後までお読みいただき、ありがとうございました!


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