6/31

ウチを出し抜いた全裸の覇王が、無双主人公だと勘違いした件

　ウチの名はアイル。

　そのうち暴露系のブイチョーバーになる女。

　洛陽は歓喜に包まれた。

「孔明軍が帰っていくぞ！」

「俺たちの手柄だ！」

「あの張飛に勝つなんて、信じられん！」

　曹操が民衆の間で、ドヤ顔を決めた。

　記者たちが一斉にフラッシュを浴びせる。

「我の力が天空を貫き、張飛の体を――」

　どの口が言うとんねん。

　千鳥足で手柄をかっさらったくせに！

　アイツ、裸の勇者やで？

　く、くやしぃ～～～。

　ウチが仮面ブイチョーバーになった時に、全部（ぜんぶ）晒（さら）したる。

　――その時だった。

　王城から使者が現れ、凛（りん）とした声で告げた。

「勇者様、王自ら御前（ごぜん）にてお会いになりたく、急ぎご登城を――とのことです！」

　ウチの心臓が一瞬止まった。

「ええこと思いついたわ……ウチをなめたら、どうなるか、わからせたる」

　民衆の歓声と曹操のドヤ顔が頭をかすめる中、王城の呼び出しは、次なる事件の幕開けをはっきりと告げていた。

　最後までお読みいただき、ありがとうございます！