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天下統一より餃子。修羅場帰りの大阪女子が夜の街でショウガを叫ぶ
ウチ、アイル。
いつもは前しか向かん、過去を振り返らへん女や。
成都での開店準備も終わり、ようやくホッと一息。
今夜は洛陽の酒場 《レッドライオン》で、安い酒をちびちびやってた。
「すいませーん、ひねぽんおかわり!」
この時のウチは、まあまあええ感じに酔うてた。
そこへ、エドワードが血相を変えて店に飛び込んできた。
「アイル! 大変だ! 曹操が司馬懿と組んで、呂布を追い出した!」
呂布? 司馬懿? 何言うてるんか頭に入ってこんわ。
ウチの頭は、まだ大阪のことでパンパンやった。
ハルトへの未練はもうない。
ほんまに。
でも、大阪でのあの修羅場、まだ胃もたれしとるわ。
エドワードがさらに焦った声で叫ぶ。
「呂布が洛陽に攻め込んでくるぞ!」
うーん、怖いなあ。
……けど、今はもっと大事なことがある。
「すいませーん! ギョウザ三人前、お持ち帰り!」
「ショウガは多めに頼むで! 多めや!」
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