孔明に振り回される黄金粒子の不本意な日常
ウチ、アイル。
どこまでも流される女や。
身体が光に包まれて、黄金の粒子となって空に溶けていく。
「あかんわ……ここでお別れやな」
リルヴァナが息を切らしながら声をかけてくる。
「創世神の力を手に入れたなら――また会える。必ずだ」
ウチは目を閉じた。
「もう会うこともないやろ。元気でな」
──黄金の粒子になって散った……はずやのに。
気がついたら、孔明が孔雀みたいな扇子でパタパタしてた。
「……え、ウチ死んだんちゃうの?」
「死んだことにしておきましょう。ほら、風通しをよくすれば蘇生します」
顔に当たるのは生ぬるい風。
……はい、蘇生効果ゼロやん。
「で、お土産は買ってきてくれたのですか?」
「はぁ? あんた正気か」
ウチ、変顔どころか顔芸のフルコースを披露してもた。
「アイルに渡した袋に、欲しい物リストを入れたのですが……」
「……な、なにぃ!?」
心臓がキュッてなる。
「あの袋、ばぁーって光が出て、神獣を……!」
「何を言っているのやら……」
孔明は涼しい顔で首を傾げる。
「龍のウロコせんべい、鳳凰プリン、仙桃ゼリー。どれか一つでも持ってきてくれたのでしょう?」
「なにそのラインナップ!? 食い物かネタか分からんわ!」
「孔明は創世神と関係があるんやろ?」
「軍医。アイルが錯乱しております。まんきんたんを三粒」
「三粒もいらんわ!」
……よ、よう分からんけど、飲んどけばええんやな。
ウチの勘違いやったんか?
みんなはどう思う?
最後までお読みいただき、ありがとうございました。




