竜巻の後、落ちてきたのは英雄の尊厳でした
ウチの名はアイル。
このところ空気感がハンパない。
竜巻が収まり、空からヒラヒラと何かが落ちてくる。
張飛が頭上を見上げた瞬間―― 顔一面に広がった。
曹操が叫ぶ。
「か……返してくれ……お、俺のパンツっ!」
張飛がこっちを向くと、舞踏会の赤い仮面がピッタリとフィットしていた。
アカン……絶対笑ったらアカンやつや。
「貴様らーーー!」
張飛の全身から紅蓮の炎が迸る――まるで不死鳥が地上に舞い降りるかのようや。
「死ね。フェニックス・ブレイジングクロー!」
炎に包まれた張飛が突進する。翼のように広がる火の尾が戦場の空気を焼き払い、地面を揺るがす。
ウチは慌てて手を前に突き出した。
すると、強烈な突風が吹き荒れ、張飛の勢いを押し戻した。
炎の咆哮が逆風に煽られ、張飛は必死に踏ん張る――それでも、炎の奔流に力ごと溶け込むようやった。
「押し戻されるだと? バカな……」
フェニックスの加護が消え、全てのバフが消えていく。
孔明が叫んだ。
「張飛、今すぐ撤退だ! 信号弾を放て!」
「軍師殿、まだ……俺は……」
「今、そなたを失うわけにはいかない。我が君も悲しむであろう」
「玄徳様……」
張飛は義兄の顔を思い浮かべ、空を見上げた。
なんかのコントみたいやな。
口にはようせんけど。
孔明が怒りの顔でウチを見つめる。
「貴様の名は?」
「勇者、曹操孟徳!」
全裸のアイツが、すべてをさらけ出しながら答えた。
はぁああああ?
何やて?
「また会おう、洛陽の勇者よ」
ウチはまだ名乗ってへんで?
ええんか……ええんかいなあああああ!!!
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