カオス・ハルマゲ丼は、笑いの風上にも置かれへん
ウチ、アイル。
やっとか。
低い轟音が街を揺らす。
上空を見ると、転送の光がもわもわと立ち上がっていた。
……なんや、めっちゃヤバそうな気配や。
「グオオオオオオオオッッッ!」
神か悪魔かUFOか、正体は知らんけど、とにかく空気がギュウギュウ。
息苦しいわ。
こんなんじゃ、ゆっくり昼寝もできへん。
隣のロウィンが眉をひそめ、ぼそっと言う。
「神格バーサーカー──混沌と破壊の化身、カオス・ハルマゲドンだ」
シルヴァーナが頷いた。
「時空の彼方に吹き飛ばしたんじゃないの?」
……カオス・ハルマゲ丼?
新メニューのネタにええかもしれん。
ルミナが手を叩き、思い出したように叫ぶ。
「それ……私も前にどこかへ飛ばした神!」
は?
そんな不運な神おるんかい。
シルヴァーナは暗黒ダークエルフの元締め。
ロウィンは異世界の神の息子。
ルミナは獄界の王。
そしてハルトは限界突破特異点。
……正直、ちょっとディスってもうたけど、謝ったら許してくれるやろ。多分。
ルミナがスマホを掲げ、アプリを起動する。
『――神聖結界』
光が走り、バーサーカーの暴走を抑え込んだ。
「小娘のくせに……」
どこからか声が聞こえたけど、まあ気のせいや。
次の瞬間、ロウィンの魔法が展開された。
『――パラドクス・リッパー』
ぐにゃんぐにゃん、と時間の矛盾に呑まれていく奴。
「俺に、名乗らせないとは……貴様ら……」
ウチはため息をつき、空を見上げる。
「大阪やで? ボケっぱなしで退場とか、笑いの風上にもおかれへん。せめてなんかオチつけろや」
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