シナリオライターと武神──ジャンヌ・ダルクの誤算
目を覚ますと、成都の城に戻っていた。
周囲には大きな城壁がそびえ、街並みが広がっている。
空には見慣れぬ星々が輝き、異世界の匂いが漂っていた。
「ウチの罪、確定したんやろ?」
そう呟くと、隣から孔明が「安心しなさい」と、孫の手で背中をかいてくれた。
「私が無罪にしたので、問題ありません」
孔明は冷静に言った。
まるで、裁判がなかったかのように。
ジャンヌ・ダルクが顔をこわばらせていた。
彼女は納得していない様子で、少し荒い息を吐く。
「こんなことは初めてだ」
孔明は目を伏せ、沈思黙考にふけっていた。
「固有スキル、シナリオライター。あなたの世界観など、私の前ではメルヘンにすぎません」
一瞬、何を言われたのか理解できなかったが、その後、何かが腑に落ちる。
「いや、もうファンタジーやで」
ウチが呆れて言うと、孔明は静かに微笑んだ。
「どうして、あなたの目の届く所に、私たちがいるのかを考えなかったのですか?」
ジャンヌ・ダルクが目を見開いた。
「まさか、おびき寄せられたと……」
彼女が撤退しようとしたその刹那、伏兵で隠れていた関羽がスキルを発動した。
『武神の威圧 (ザ・ウォーゴッズ・ドミネーション)』
あたりを紅蓮のオーラが包み込んだ。
ジャンヌ・ダルクは、圧倒的な力でその場に縫い付けられた。
「武神たる我の前に、敵など存在しえぬ」
関羽の重々しい声が響き渡り、ジャンヌ・ダルクの表情は恐怖で歪んだ。
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