異世界召喚に羞恥プレイは含まれてません! なのに孔明が不敵に笑う件
ウチ、アイル。
流されるままの人生。
「ナポレオンの第二次遠征が始まりました」
突然、時計のハトが羽ばたきながら喋りだした。
……いや待て、なにこれ。まるで生きてるやん。
しかもナポレオンって……もう再登場かい!
シリーズ物みたいになっとるやん!
横では孔明が、涼しい顔で指示を飛ばす。
「ゴーレム部隊、亜空間転送開始」
……は?
てか今、コイツ……すっぽんぽんやし!!
「いやちょっと待て、まず服着ろや!」
「いずれ脱ぐことになるのだから、先に脱いでおいただけです」
「どこの時空の先読みやねん! 想像の十倍キモいわ!!」
その直後、ドアがガチャッと開き、趙雲子龍が入ってきた。
ガシャガシャ鳴る鎧。けど、どこかフラフラしてる。
……ああ、焼き肉屋で飲みすぎたんやな。
彼は孔明とウチを交互に見て、一瞬フリーズ。
咳払いひとつして、慌てて顔をそむけた。
「……お楽しみのところ、失礼しました」
そしてそそくさと退室。
ちゃうちゃうちゃうちゃう!!
ちゃうねん!!!
こんな羞恥プレイ、異世界召喚に含まれてへんやろ!
一方、孔明はというと、ウチの動揺なんて一切お構いなしで、
スッ……と表情を引き締めた。
……え、なにその顔。
急に“軍師・孔明”に戻ってるやん。
「――さて、ハネムーンに行きましょう」
ツッコむ間もなく、足元に転送陣。
部屋中に光が広がり、視界が真っ白に染まる。
「まっ……待てってば!」
――その刹那、見てしまった。
光に包まれる孔明の顔。
あの、どこまでも涼やかな知略の鬼。
でもその奥に――まるで獲物を狙う鷹のような、不敵な笑みが浮かんでいた。
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