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最強武将の弱点は、恋愛でした。〜完璧超人趙雲子龍、ギャップ萌えで洛陽を制す〜

 ウチ、アイル。

 洛陽のキューピットしてる。

 酒場 《レッドライオン》。

 ウチは毎日、恋愛相談を受け付けてる。

 もはや副業みたいなもんやな。


 今日の相談相手は、クエスト受付嬢のサッキュン。

 聞けば、あの趙雲子龍ちょううんしりゅう一目惚ひめとぼれしたらしい。


「どこがええねん?」

「全部よ!」


 マジか。

 あのおっさん、プライベートが想像つかへん。

 機械みたいに正確で、感情のないロボットみたいで、正直苦手やねん。


 話をよく聞くと、洛陽城の守護を務める趙雲は意外と女子に人気があるらしい。

 百万の敵陣のど真ん中、たった一人で玄徳の娘を背負って駆け抜けたこともある英雄。

 

 そんな話を聞けば、そらグッとくるわな。


 サッキュンのデートセッティングを条件に、ウチは趙雲から情報を聞き出すことにした。

 彼は口が堅いけど、女子には優しい。

 きっと何とかなるはずや。


 案の定、サッキュンの話をした瞬間、そっけなかった表情がほんの少しゆるんだ。


「俺もついにリア充か……」


 今、なんつった?

 聞き間違いかと思ったら、奴はほんの少しだけ笑った。

 

 ……って、まさか冗談やんな?



 そんな彼から得た情報は、国家機密級だった。


 劉備玄徳たちは、ナポレオン軍の先陣を撤退てったいさせたらしい。

 戦車や爆撃機にトノサマバッタがはさまり、立ち往生。

 まるでファンタジー小説に出てくるバタフライエフェクトや。

 

 食料は食い荒らされ、生き残った兵士は全面降伏。


 そのすきに技術班が敵の兵器を解析。

 孔明が異世界から輸入した魔導兵器と融合させたらしい。

 ロボットに変形して魔法弾を撃ち込むとか……やばすぎる。


「……これ、口外したらあかんやつやんな?」

「女を紹介してくれた、洛陽のありとあらゆる情報を売り渡す」


 趙雲は、まるで『俺ってイケてるやろ?』と言わんばかりの表情を浮かべた。


 チョロいな。


 孔明はあえて、曹操そうそう呂布りょふを見逃し、洛陽を後にしたらしい。

 司馬懿しばいと合流するらしいけど、嫌な予感しかしない。


「……あいつ、絶対なんか企んでるわ」


 ウチはそう呟き、サッキュンに電話をかけた。

 今日の晩御飯は、焼肉に決定や。

 最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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