豆腐メンタルのタキオン、セクシー衣装で真っ赤に燃える
ウチ、アイル。
そろそろ彼氏が欲しいな。
後日。
孔明という男の恐ろしさを身をもって知ることになる。
酒場 《レッドライオン》には、王族、貴族、ギルド、キャラバン、傭兵――あらゆる勢力からの情報が集まっていた。どうやらナポレオンも、ウチのお店に間者を放っていたらしい。
「孔明はその情報を、世界各地の動きから読み取ったようです」
タキオンはレモンスカッシュをごくごく飲み干す。
今日の売上にカウントしつつ、心の中で正の字をひとつ足す。
……まあ、多めに書いとこ。バレへんやろ。
ナポレオンは、孔明が全裸になるのを見て油断したんか?
いずれにせよ、間者からの報告を受けたナポレオンは、高らかに言い放った。
「孔明、恐るるに足らず」
そして、進軍を開始した。
ところが孔明は、各地の城主に文を送っていた。
ナポレオン軍が来ると、適度に勝たせながらおびき寄せるよう指示していたのだ。
「司馬懿は、孔明に協力するようだ」
「ええように利用されるだけやな」
「まったく」
そろそろ、その話、飽きてきたわ。
タキオンの反応が見たいな。
「そういえば、孔明がセクシーな衣装をプレゼントしてくれたわ。今度、着るの手伝ってくれへん?」
タキオンの顔が、真っ赤に燃え上がった。
「え……ええっ、なにそれ!?」
なんや、チェリーなんか?
完全にウケる。
タキオンは咳払いをして、無理やり話を元に戻す。
「孔明はナポレオン軍を、八年周期で発生するトノサマバッタの大群に誘導した。自然の力まで利用するとは……」
この豆腐メンタルを可愛いと思いながら、ウチはコーラを飲み干す。
もちろん、タキオンの伝票に正の字を加えて。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。




