英雄たちの酒乱パーティー──洛陽VIP席は地獄絵図
ウチの名はアイル。
そんじょそこらの勇者とは、格がちゃうんやから。
酒場 《レッドライオン》のVIP席は、もはや無法地帯やった。
娘々たちは片乳を出したまま、床に転がっとる。
自慢やないけど、ウチも何が起きたんか、さっぱり記憶にない。
孔明は焼酎をボトルで一気飲みして、顔が真っ赤っかや。
「オラだって、天下が欲しいだわさ」
……どこのZ戦士やねん。
「お酒飲ませたら本音が出るっていうけど! キャラ崩壊しすぎやろ!」
玄徳が泣きながら服を脱ぎ始めた。
「わしだって、脱ぎたくなる時もあるさ」
……デビューしたてのセクシー女優さんか?
「もう止めて! あんた、曹操とキャラかぶるやろ!」
ギルドマスターのエドワードはずっと笑っとる。
「資産運用でも始めるかのぉ、ガハハハハ」
……お得な話もあるってか?
「今が買い時って、なんでやねん! ナポレオンが攻めてくんのに、お金が灰になるんやないか!」
ウチはもう、ツッコミどころが多すぎて、頭がパンクしそうやった。
そんなカオスな状況の中、聖騎士長ヴァレンティアだけは、副長らしき女性と真剣な顔で話している。
「禁断の恋とやらはどうなったんだ? 聖騎士だから余計に燃えるんだろ?」
……おじさんトークか?
ヴァレンティアは副長に低く囁く。
「今夜は絶対に手放さない」
「いや、なんでやねん! 百合全開やん!」
なんでもアリか、この世界!
すると、タキオンがラップを詠唱しながら、蛍の光を流し始めた。
もう閉店か。
こんなんでナポレオンに勝てるわけ、あるかーい!
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